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土と命の原点に立つ「もうひとつのアメリカ史」

『もうひとつのアメリカ史』の出版で大反響のオリバー・ストーンさんが、共著者のピーター・カズニックさんと共に来日。広島、長崎で勢力的に発言、沖縄に向かう間の8月11日、東京で開かれたシンポジウムに出席した。

もうひとつのアメリカ史』の出版で大反響のオリバー・ストーンさんが、共著者のピーター・カズニックさんと共に来日。広島、長崎で勢力的に発言、沖縄に向かう間の8月11日、東京で開かれたシンポジウムに出席した。

日本への原爆投下の意味は何だったのか。

1962年のキューバ危機が全世界の核戦争の引き金になろうとした、その時、ロシアのフルシチョフとの間に平和交渉を成功させ、ギリギリのところで、戦争を回避した、J・F・ケネディについてなど、膨大なコンテンツをひっさげての来日、要約するのは難しいけれど、一番強く残ったのは?

アメリカという巨大な国は今、圧倒的な量の武器を持ち、世界中に基地を持ち、おそろしいほどの破壊力を持った国になってしまった。

抵抗する勢力がいなくなったローマ帝国が、その巨大化によって滅びたように、アメリカもいつか滅びるだろう。ロシア、ヨーロッパ、中国などと同じように、日本にも自立した国としての存在感が必要だ。

戦後の歴史の中で、まるで衛星国のようにアメリカに追随してきた日本に、ぜひ、独立性を持った国としてのあり方を実行して欲しい!

そのためには、日本は、第二次大戦の時に行ったアジアや中国や韓国での残虐行為などを明らかにし、これを、きちんと謝罪しなくてはいけない。

その謝罪によって初めてまっとうな友好関係が始まるはず。

これが今回のオリバー・ストーン来日で私が受け取ったメッセージだ。

コーディネーターを務めた藤原帰一さんは、こう発言。日本の外交は、必ずしもアメリカ追随ではなく、これまではアメリカの戦争協力にもいろんな理屈で、サボタージュをしてきた、その根拠は、軍隊を認めない憲法9条だった。今は頼まれもしないうちから、中国や韓国との火種を煽り、積極的に戦争協力しようとしている。

「このままだと、日本の若者もアメリカの若者と同じように、戦争に駆り出され、死体になって帰って来るようになりますよ。」

オリバー・ストーンの言葉がずしっとくる。

このシンポジウムでの話題はもっぱら軍事に集中するのだが、私の中では、今アメリカとの関係でもう一つ気になっているのは、TPPであり、遺伝子組み換えの事であり、日本の農業だ。

高校2年の時に安保反対のデモに参加した私、その時も激しく心を揺さぶったのは軍事大国日本への転換への危惧だった。

だが、あとで知ってショックだったのは、安保成立によって変えられたのは軍事的なことだけではなかった、ということだ。

1962年、日本では農業構造改善事業が始まり、それまで人糞も活用していた自然の農業だった日本の農業は、大型化、機械化、農薬、化学肥料の大量投与という近代農業へ舵を切らされることになった。

1976年、私の夫の藤本敏夫が「大地を守る会」を立ち上げた頃、有機農家が一軒でもあると、その地域に補助金が下りない、と言ったやり方、あるいは、小さな農地を大きくするための土地改良のやり方の理不尽さに抵抗する人たちへの弾圧など、大変なことが起こっていたのだ。

1962年といえば、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」がアメリカで出版された年。その前年にはすでに農薬被害に警鐘をならした彼女の論文に賛否両論が沸騰し、アメリカ中が大騒ぎになっていた。その時の大統領はJ・F・ケネディ。流石に彼は素晴らしい! いち早く殺虫剤の問題の調査に乗り出した。

その後アメリカ国内での殺虫剤使用を規制する政策が生まれる。

が、しかしその同じ時に、日本への農薬の輸出量は圧倒的に増えて行くことになり、同時にベトナムへの枯れ葉剤攻撃に拍車がかかることに。

日米関係のあり方も、先進国の「国益」のあり方もここに象徴される。日本が今、原発輸出に躍起となるのも同じ論理。

一年後の1963年、暗殺されるケネディが、その決定とどのような関係にあったかは、ぜひ知りたいところだけれど、いずれにしても軍産体制の巨大なプレッシャーの中で行われたこの「国益追求」が、ベトナムで、そして日本で、どれほどの致命的な犠牲を生み出したかを忘れる訳にはいかない。

最近の新聞で明らかにされたのは、アメリカのモンサント社が2003年に売り出したネキリムシに駆除効果のある遺伝子組み換えトウモロコシ「Btコーン」に耐性を持った害虫が現れ、根が真っ黒に食いちぎられ、トウモロコシの収量が落ち、農民たちを絶望に追い込んでいる、という事実。見えてくるのはぞっとするような未来だ。

農薬、殺虫剤、化学肥料、そして遺伝子組み換え、世界中のタネの遺伝子の独占へと、アメリカのもうひとつの侵略が進む中、その結果がどんな風に日本に押し寄せるのか、戦う準備を始めなければならない。

水と土を守る命の原点に立ち、「もうひとつのアメリカ史」に向き合っていかなければ、との思いを新たにしている。

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