第三回 働き方改革実現会議はベースアップ、給付型奨学金など

総理の「ベースアップを」という声に対して経団連の榊原会長が「4年連続のベア(ベースアップ)」を約束するという場面がテレビカメラの前でありました。

11月16日は第三回働き方改革実現会議でした。

テーマは

① 格差を固定化させない教育(給付型奨学金の在り方、社会人学び直し、職業訓練)の在り方

② 人材育成の充実の在り方

③ 雇用吸収力・生産性の高い産業への転職・再就職支援の在り方

④ 春闘に向けた賃金引上げの方向性」

私は今回は給付型奨学金の創設、転職・再就職支援の在り方、ベースアップについての提言をしました。

労働時間の上限や同一賃金同一労働について、ガンガン議論しているように思われがちですが、毎回テーマは決まっていて、その二つはまだテーマになっておりません。しかし水面下での経済界などとの交渉は既に始まっているのです。

電通の過労自殺を受けて始まった「長時間労働撲滅キャンペーン」の署名運動もついに4万に迫ろうとしています。みなさまのお力が必要です。よろしくお願いいたします。

さて、会議は一時間。最後にマスコミが入って総理のスピーチがあって終わりなのですが、今回は春闘に向けての「ベースアップ」があり、総理の「ベースアップを」という声に対して経団連の榊原会長が「4年連続のベア(ベースアップ)」を約束するという場面がテレビカメラの前でありました。会議を効果的に使っている政府です。

今回の提言や資料も多くの皆様の力によって作成しております。

こちらがスピーチ原稿です。

1) 賃上げの方向性

まずは賃金引上げの方向性ですが、本実現会議での主な検討項目である「36協定における時間外労働規定のありかた再検討」が話題になる度に「生活残業をしているので、残業が少なくなるのは困る」という意見がでる。調査では残業代目当てに残業をしている人は30代中心で4.6%でした。しかしわずかでも負担を感じる方がいるならば、ぜひ労働時間に上限を入れることとベースアップはセットで実現していただきたいと思います。

2) 給付型奨学金の創設

『給付型奨学金の創設』についても積極的な取り組みをお願いしたい。

財源は特定扶養控除などのように同世代間から捻出するよりも、富裕層の相続税率を上乗せして、まかなえないか。富裕層は教育資金贈与信託を使って一括贈与するという方法があり、富裕層の子や孫の教育資金は十分担保される法制度が整えられています。子や孫だけでなく親類や篤志家からの寄付などの拡大できないか?教育資金贈与信託をつかっても、相続税は残りの財産にかかるので、相続税率を上げても、富裕層の子や孫の教育資金を浸食する心配はないと思われます。

3) 転職・再就職支援のあり方

①就職氷河期世代の非正規独身女性(独身の4割が非正規)、および退職した子育て女性の再就職支援にはぜひ配慮してほしい。

この両者の支援で重要なところは「学びなおしやインターンなど、育成の機会とセットでの就業を支援する」ことだ。「女性や非正規労働者などの再チャレンジ、キャリアアップを支えるためには、大学や専門学校における社会人学び直しプログラムの強化を図るとともに、経済的支援の充実が必要です。

また企業サイドにも雇いたいと思わせるインセンティブや工夫が必要となります。

子育て中の女性を雇わない企業の理由としては 1)子どものことで休まれると困る。2)子育て中の女性を雇った経験がない」というもの。

厚労省で検討されている氷河期世代を雇用する企業向けの給付金などのようなインセンティブが必要です。

また、女性が正規職を失う理由の1位は出産、2位は転勤です。

企業が「転勤を断る権利」などを雇用者に与えることも必要だが、また「再雇用制度」をもうける企業も増えています。この再雇用制度はどんどん普及してほしい。しかし、問題は「再雇用された時に、前のキャリアが0リセットされてしまう」ことだ。

ただ再雇用されるだけでなく、再雇用時におけるキャリアのスタート位置についても「見える化」していただきたいと思います」

(2016年11月20日「白河桃子オフィシャルブログ」より転載)

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