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2018年05月14日 14時49分 JST | 更新 2018年05月14日 14時49分 JST

フランスと日本ーライフスタイルの伝統や旅行習慣の違い

フランス人がヨーロッパ旅行する感覚は、日本では国内旅行と同等程度といえる。

Tsunanori Chinatsu

ゴールデンウィークとメーデー

今年のゴールデンウィークは、まとまった休みが取れ、リフレッシュした人も多いだろう。フランス人の「バカンス」に近づけた人もいるかもしれない。私の住むオーストリアは5月1日がメーデーで、一日休めば4連休だった(恨むなかれ、5月はキリスト昇天祭(10日)、聖霊降臨祭月曜日(21日)、聖体節(31日)と祝日が続く)。天気が良かったのでクロアチアに行ってみたのだが、日本人もよく見かけた。

さて、前回に続いて、日本人とヨーロッパ人の休暇とライフスタイルについてもう少し見てみよう。前回同様、在日経験のあるフランス人が書いた「日本人の休み方はフランス人には不思議だ」と比較しているので、参考に。

Tsunanori Chinatsu
プリトヴィツェ湖群国立公園

Photo by Tsunanori Chinatsu
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 4.0 International License

地理的感覚の違い

この記事の最初にフランス人〔彼女自身も)が気軽に海外でバカンスする話がでてくる。その日の気分でヨーロッパの隣国などを周遊し、羨ましいようにもうつる。ただ、これを日本人がするようなヨーロッパ短期旅行と比較するのは疑問だ。地理的要因を考慮していないからである。

仮にフランス人と日本人の旅行期間の条件を同じだと仮定した場合、フランス人が「海外」旅行するのと、日本人が海外旅行するのとでは時間的にも、心理的にも大きな違いがあると思われる。

それは「海外」という言葉に如実に表れている。フランス人が(多くの場合陸続きに)ヨーロッパ旅行する感覚は、日本では国内旅行と同等程度といえる。

例えば、東京に住む人が飛行機で国内旅行すると、羽田-札幌が1時間半、羽田-那覇が2時間半もかかる。これが海外旅行となると、近場でも、羽田-ソウルで2時間半、羽田-グアムで3時間半、羽田-香港で4時間半もかかる。

一方、パリから飛行機に乗って海外旅行すると、ヨーロッパの南端アテネまで3時間、西端のモスクワでも3-4時間で着いてしまう。

つまりヨーロッパ内の海外旅行は飛行機で2時間以内というのが圧倒的に多いのだ。この短時間では、日本でもまともな海外に行けない。

日本から海外旅行すると、当然のことながら、入出国審査・税関検査が加わるのだから、パリから入国審査のないヨーロッパのシェンゲン国を旅するのとは相当の違いがある。

つまり、休暇と仕事の制度や慣習の差を考えるまでもなく、フランス人がヨーロッパで気軽にのんびり「国外」バカンスするのと、日本人がわざわざヨーロッパまで来て急ぎ足で「海外」旅行するのを同列に扱うことができないのは明白だ。

また、フランス人も休暇が1週間しかないと言われたら、日本人のような休み方になる可能性も高いし、その反対も正であろう。事実、彼女も友人の証言をこう紹介している。

「日本は遠いから、せめて2、3週間は行きたい」。これが毎年一週間しか休暇がとれないと言われたら、日本人のように急ぎ足でもいろいろ回りたいと思うのが普通だろう。

まとめると、多くの日本人が海外へ詰め込み旅行をするのは、そうしたいからというよりも、仕事と休暇の関係から来るライフスタイルの伝統や海外旅行の感覚・習慣の違いに起因している。フランス人が言うような不思議は特にない。

お金の問題とキャンピング文化

ここで、経済的側面を考えてみよう。3,4週間の休暇をとるのはいいが、これには非常にお金がかかる。そこで、どうやって節約するかを考えねばならない。

例えば、ヨーロッパ人はキャンピングが好きだが、これは、車でキャンピング場に行ってお金をかけずに国内・国外旅行を楽しむというコンセプトで、ヨーロッパ人の地理的環境と経済状況に最適な休暇の過ごし方だ。日本ほど列車の交通網が発達していないので、車を保有・使用する人も多い。

首都などの大型都市を除けば、都市部でも駐車スペースは多いし、値段も安めだ。ほとんどの高速道路が無料だというのもポイントだ。場所にもよるが、数時間も走れば隣国につくことも多いので、言葉が通じない、通貨が違うといった、エキゾチックな体験がすぐに体験できる可能性が高い。

日本人にはこうした休暇は期待できないし、馴染みにくい。まず、人口が大都市圏に集中している。大都市では車を所有すると経済的負担が大きい。駐車スペースの確保をしなければならないし、駐車料金が高い。また、公共交通機関が発達しているので、車が必要がない場合も多い。キャンピングならば、大きな車が好ましいがその余裕もないだろう。

またほとんどの高速道路は有料であるし、大型連休などは渋滞がひどい。車で隣国に行けるのはフェリーで海を渡る韓国ぐらいだろう。もちろん国内でキャンピング旅行やバイクでツーリング旅行するような場合もあるだろうが、ヨーロッパに比べてキャンピングでのんびりというコンセプトは受け入れにくいと思われる。

Tsunanori Chinatsu
キャンピングカー

Photo by Tsunanori Chinatsu
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 4.0 International License

一方、仕事の都合上長期休暇が取れない日本人はどうするかというと、お金で時間を買うのだろう。

ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの連休はどうしても旅費が高くなる。しかし、汗水流して稼いだお金をこうした連休の数日間につぎ込む理由は十分あるだろう。日常から逃れられるせっかくの機会だ。少しくらい贅沢をしてでも、存分に楽しみたい。急ぎ足になるとしても、エキゾチックな海外旅行も人気だ。旅行日程を短くすることで旅費を圧縮できるというところもミソだ。

ここで、先のキャンピングに話を戻すと、キャンピングの問題の一つはあまりお金を落としてくれないという点だ。冗談ぽく聞こえるが、こんな話がある。フランスのキャンプ地に多くのオランダ人がやって来る。

しかし、ケチで有名なオランダ人は身の回りのものを全て持参するので、地元民は商売にならないらしい。先の記事で彼女は、フランス人は長期バカンスで節約をしたいと言っているが、そのフランス人が観光客による経済的な恩恵を受けないと文句を言っているのだから、矛盾しているものだ。よって、中国人観光客の「爆買い」(現在ではひと段落したかもしれないが・・・)に代表されるような行動が地元経済に与える影響も考える必要があろう。

日本のインバウンド経済にとっては、バカンスで地元民のように生活したいヨーロッパ人よりも、観光やショッピング目当ての中国人の方がありがたいと言えるかもしれない。

第三回に続く