TICAD特集【第一弾】:TICADと市民社会

今年は持続可能な開発目標が採択されて初めてのTICADとなります。この新しい時代において、日本とアフリカがどのような関係を築いていくか、注目されています。

「アフリカと日本が対等な関係で、お互いに成長したい。」

「援助だけでなく、アフリカと日本が共に経済を活性化させていきたい。」

アフリカ開発における新しいパラダイムの中で、

「TICADを始めたときの理念は何だったのか。」

「大切にしたい価値は何だったのか。」

今、市民社会の役割はここで発揮されています!

ケニア開催のTICADに参加し、アフリカと日本の人々の声を届けたい!というミッションにぜひ皆さまの応援よろしくお願い致します!

TICADとは、日本政府が主導し、国際連合(国連)や国連開発計画(UNDP)、世界銀行(世銀)、アフリカ連合委員会(AUC)が共催となって開催する、アフリカ開発に関する国際会議です。

1993年より5年に一度、日本で開催されてきましたが、2013年のTICAD Vでアフリカからの声により、3年に一度、アフリカと日本の交互で開催されることとなり、今年8月27-28日、ケニアのナイロビにて第六回アフリカ開発会議(TICAD VI)が開催されます。(今回初めてのアフリカ開催となります!)

当初、TICADへの市民社会の参加はありませんでしたが、国際的にミレニアム開発目標(MDGs)が採択されたことや、人間の安全保障が日本の外交軸となっていったことを背景に、市民社会も参加できるようになりました。

現在、日本の市民社会は「市民ネットワーク for TICAD」が、アフリカの市民社会は「アフリカ市民協議会(Civic Commission for Africa)」が取りまとめるかたちで活動しています。

今年は持続可能な開発目標(SDGs)が採択されて初めてのTICADとなります。

日本政府もSDGsの実現にとってTICAD VIは重要としており、5月20日にSDGs推進本部を設立し、この新しい時代において、日本とアフリカがどのような関係を築いていくか、注目されています。

アフリカは人口や経済的なポテンシャルを秘めており、停滞する先進国や新興国から注目を浴びています。

これに伴い、2000年代以降、中国やインド、欧州や韓国、米国等、多くの「アフリカ・フォーラム」が開催されており、TICADの意義は何なのか、改めて問われています。

現在作成中の成果文書の中では、TICADの特異性に関しては「国際機関を共催とし、市民社会も参加したオープンで包括的なフォーラム」としており、市民社会の参加も欠かせない要素として位置付けられています。

とはいえ、初めてのアフリカ開催という文脈で、市民社会の参加も簡単なものではありませんでした。

経済が停滞し、ODA予算も削減されている中、日本がアフリカに求めているものは、日系企業が進出して民間資金を導入し、アフリカの開発と経済成長を後押ししながらその恩恵を日本に取組むことです。

それに伴い、2008年のTICAD IVからTICADへの企業の参加が目立つようになりました。今回のTICADではこの動きが一層加速し、官民円卓会議や経済戦略会議が行われている他、日本から約100社がナイロビに集結して企業のマッチングが行われます。

TICADに向けた市民社会の活動として最も重要なのが、TICAD関連会合へ参加し、「人々の声」を届けるということです。

TICADの成果文書は、日本のアフリカとの国際協力、対アフリカ外交の柱となり、そうした枠組みは人々の生活に影響を及ぼします。

-「人々の声」を届け、反映させて、より良い成果文書を作っていくこと。

-サイドイベント等に参加して「人々の声」をハイレベルな方たちに届けたり、問題提起をする。

それが私たちの役目の一つです。

今回、特に重要なのはTICADが初めてアフリカで開催されるということで、アフリカ側の市民社会が盛り上がりをみせているという点です。

アフリカ市民協議会は、TICAD Vが終了してから活動を停滞していましたが、TICAD VIに向けて再起動すべく、2015年11月に総会を開催。大陸全土5地域と開催国ケニアの代表からなる執行部を立ち上げました。

3月の高級実務者会合に出席した足で来日もし、日本国内でのTICAD啓発イベントやCivil G7にも参加し、からの声を日本に届けました。

(気候変動の影響を最も受けているアフリカの現状を訴えるミティカ・ムウェンダ氏(パンアフリカ気候正義同盟))

最近では6月9-10日閣僚級準備会合を前にナイロビで「TICAD VI市民社会啓発会合」を開催しました。

AUCやケニア政府地方分権・計画省等の後援を受けて開催したこの会議には、100名を超すケニアをはじめとするアフリカの市民社会が参加し、TICAD VI成果文書に対する市民社会からの宣言文を採択しました。

(ワークショップの様子)

実はこれに先立って明らかになった成果文書ドラフトは、最近の民間重視の経済成長モデルが前面に出ており、従来のTICADで継承されてきた人間の安全保障や市民社会の役割に関する視点が十分に反映されていませんでした。

民間志向でアフリカと日本双方の経済成長につながる協力関係を築く中でも、人ひとりの尊厳や人権を大切にし、安心して暮らせる開発を行っていきたい。

そのためには、現場の声をよく知り、様々なネットワークを有する市民社会が参加することが重要である。

このような視点から、私たちは人間の安全保障の理念が継承され、市民社会の重要性や、SDGsの理念でもある誰一人取り残されない社会を築くことを宣言文に盛り込まれることを中心に政策提言を行ってきました。

(閣僚級準備会合での共催者との意見交換の様子)

ナイロビで採択された市民社会宣言文は、閣僚級準備会合が行われたガンビアの市民社会、これに日本や各地からきたアフリカ人の意見を盛り込み、共催者との意見交換の時間を設け、インプットをしていきました。

また、同会合のすべてのセッションの中で市民社会からの発言ができ、大筋合意に至った成果文書では市民社会からの意見を幅広く取り入れられたものとなりました。

首脳会議ではアフリカ各国政府代表団や日本政府、国際機関、市民社会、ビジネス界等から、約6000人がナイロビに集結すると言われています。

アフリカの人々の声をTICADに届ける」というミッションを達成すべく、8月に向けて力強く活動していきたいと思います。

現在、ジャパンフェアや日本のNGOのサイドイベント等を計画しています。決まり次第、市民ネットワーク for TICAD のHPにアップしていきますので、引き続きご協力よろしくお願い致します。

また、参加に向けたクラウドファンディングも実施しています。

TICAD VIへの市民社会の参加は、これまで共催者から一部支援をいただいておりましたが、アフリカ開催となり、十分な資金確保ができていません。

皆様からのご支援、ご協力を賜りたく、どうぞよろしくお願い致します。

クラウドファンディング達成額まで、残り【67万2千円】となりました!

皆さまからの応援お待ちしております!

※プロジェクト達成期限は、8月31日(水)23:00まで!

NGOネットワーキング・コーディネーター

藤井泉

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