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2018年10月01日 18時19分 JST | 更新 2018年10月01日 18時19分 JST

「国連をすべての人の関心事とするために」:マリア・フェルナンダ・エスピノサ第73回国連総会議長

ジェンダーに基づく差別は、私の最優先課題の1つです。

UN Photo/Manuel Elias
第72回国連総会閉幕式で宣誓を行うマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルセス 第73回国連総会議長

世界のリーダーが今年も、国連総会への出席のためにニューヨークに集う中で、私はこの会議で議長を務めるわずか4人目の女性、そして初のラテンアメリカ・カリブ地域出身者となりました。私は任期中、あらゆる形態の差別と闘う決意でいます。中でもジェンダーに基づく差別は、私の最優先課題の1つです。

私は加盟国により、その利益に奉仕することを目的に選任されました。任期中はそのことに専心するつもりです。国連総会は、現時点で世界議会に最も近い存在ですが、全世界の首脳がマンハッタンのイーストリバーにあるこの巨大なドームに参集し、現代の大きな課題について話し合おうとしている中で、私たちは政治的な溝が深まっているという事実に目を向けなければなりません。こうした課題に効果的な解決策を見出すために必要な共通の目的意識の共有は、かつてなく難しくなっているように見えます。事実、国連がこの数十年間で苦心して成立させてきた多国間協定の多くには、深刻な疑問が投げかけられています。

国連憲章が「われら人民」という文言で始まることは、あまりにも忘れ去られることが多くなっています。この言葉は、第2次世界大戦の窮乏と恐怖を経て、外に目を向けた包摂的で一致団結した決意と楽観主義を反映するものでした。私は、国連をすべての人の関心事とする一方で、すべての加盟国に対し、平和で公平、かつ持続可能な社会を確保するために必要な共有の責任を認識するよう促さねばならないと強く信じています。

そのプロセスの一環として、気候変動から中東和平、安全保障から移民の権利に至るまで、あらゆる問題に関する合意を取り付けるため、国連が各国を結集させるうえで果たしている重要な役割について、一般市民によりよい情報を提供しなければならないことは確かです。私たちは、国連機関全体が夜も昼もなく人々に奉仕し、果たしている不可欠な役割について、人々に改めて思い起こしてもらう必要があります。

UN Photo/Ariana Lindquist
第73回国連総会の一般討論で演説を行うマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルセス国連総会議長

しかし、このプロセスで重要なのは、多くの人々にとって、国際社会はその方向性を見失っているように映っているという事実を認識することです。実際のところ、私たちが直面する最大の課題の1つは、すべての市民に奉仕することを目的に設立されながら、ごく一部の人々を優遇しているように見られることが多くなった政治制度に対し、不信感が広がっていることにあります。

国連は加盟国が望む以上の実効性を持ちえませんが、私たちは、戦後にでき上がった体制の中に、徹底的な改革を必要とするものがあるという現実にも対処しなければなりません。いくつかの国では、恐ろしい紛争が続き、国連が本来予防すべきであるはずの破壊や劣化、窮状が広がっています。

多国間主義に対する信頼を取り戻し、孤立主義や極端な形の国粋主義、排外主義の動きと、絶えず存在する暴力的過激主義の脅威を逆転させるためには、こうした諸勢力がいずれも、真空地帯から生じたものではないことを認識しなければなりません。よって私は、世界中に広がるプラスチック汚染問題をはじめとする環境対策から、障害者による基本的権利享受の確保、全世界で6,850万人に上る難民のニーズへの優先的対応に至るまで、幅広い問題に取り組みの多くを集中させたいと考えていますが、その一方で私たちは、豊かな国でも貧しい国でも、現実に閉塞感の広がりを助長している不平等や失業の増大も認識しなければなりません。

私は2008年3月、初めて母国エクアドルの国連常駐大使に就任しました。そのわずか6カ月後、リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の破たんは、1930年代の恐慌を想起させる破壊的な金融危機の発端となりました。この期間の大惨事はほぼ免れたものの、現在の閉塞感の多くは、10年にわたってリーマン・ショックの余波に対する公正かつ適時の対応がなかなか行われてこなかったことを反映しています。

こうした背景には、個々の国は他国と協調するよりも独自に行動したほうが効果的であるという、危険な考え方が広がっていることが挙げられます。私たちは、多国間主義が単独行動よりも効果を上げられることを証明するとともに、各国の政策立案者が、人々の雇用や生計に壊滅的な影響を及ぼす様々な力を緩和できる余地を確保する必要があります。

今年の私の最優先課題には、若者や女性、障害者、失業者に人間らしく働きがいのある仕事を提供するねらいを持って、加盟国と様々な国連機関の専門家が検討中の最善の研究や分析、政策提言を明らかにすることが含まれています。

私たちの誰もが望んでいるより良い社会の実現は、すべての人に利益が及ぶ経済的、社会的、身体的福祉の好循環を構築できるかどうかに大きくかかっています。この目標は、第2次世界大戦の廃墟から国連を構築することに貢献した人々の希望と野心の源となりました。それはまた、総会議長としての私の希望と野心の源でもあります。世界的な世論と政治的リーダーシップの焦点を、解決策をともに模索する方向へと導くうえで総会議長という職務を活用できれば、私は部分的に、国連を私たちが奉仕する人々の関心事とすることに成功したと言えるのではないでしょうか。

UN Photo/Eskinder Debebe
第73回国連総会議長に選任されたマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルセス氏と会見するグテーレス事務総長

*マリア・フェルナンダ・エスピノサ氏は第73回国連総会議長で、元エクアドル外相。

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