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2018年04月30日 16時41分 JST | 更新 2018年05月02日 12時53分 JST

2020年東京パラリンピックまであと2年!ゴールボール選手山口さんの授業に行ってみた

いろんな人が同じスポーツを一緒に楽しめるということはとても素敵なことだと思う。

渡邊ひなの

ゴールボールという競技を皆さんは知っているだろうか。

夏期のパラリンピック種目にもなっている、視覚障害者のスポーツだ。アイシェードをして目隠しをし、1チーム3人のプレイヤーによって行われるパラリンピックの正式種目である。ボールの中に入っている鈴の音や仲間の声などを頼りに、自分のゴールを守ったり相手のゴールに投球したりして得点を競う競技。音を頼りにプレーするスポーツであるため、大声を出して応援できないことや、静寂の緊張感も、また新鮮でおもしろい。ロンドンパラリンピックでは、日本代表女子が金メダルを獲得した実績もある。

今回は、そんなゴールボールの日本代表選手の山口凌河さんの授業が都立高島高校で行われるということで、私もお邪魔させていただいた。山口さんは現在大学に通いながらゴールボールの選手として活躍し、またゴールボールの魅力を伝えるため、講演会などの様々な活動をされているという、とてもパワフルで笑顔の素敵な方だった。この日の授業は山口さんと、彼の友人2人によって行われた。

渡邊ひなの

高島高校の先生のお話によると、都立の高校では2020年の東京大会に向けてオリンピックやパラリンピックについて学ぶ機会を設けているのだそうだ。

山口さんは15歳の時レーベル症という病気を発症し、半年で視力を失ってしまった。高校から盲学校に通うことになり、そこでクラブ活動としてゴールボールをはじめることになったという。ゴールボールを通して彼は空間や音の感覚を身につけることもできたと話していて、彼が歩いている姿やゴールボールをする姿を見て、多くの生徒や先生が「あれは絶対目見えてるでしょ!」と驚いていたほどだった。

授業の様子

この日の授業は大盛り上がりだった。自分の友人たちがゴールボールを体験をする姿を見ながら、終始先生や生徒たちの笑い声や歓声が絶えなかった。中でも印象的だったのは、体験会で山口選手がプレーする姿を見て生徒たちが「かっけー」「いや、おもしろすぎるだろ」と感動していた姿。そこには、「障害者の」スポーツとしてではなく、純粋にスポーツとしてゴールボールの観戦を楽しむ生徒達の姿があった。どうしても、「障害者」と聞くと特別扱いをしてしまったり、自分とは違うと距離をおいてしまう人も多いと思う。しかし今回の講演を受けた生徒達は、障害を特別なこととして見る意識が小さくなり、純粋に「違い」として障害を受け入れることができるようになっているようにも感じた。講演会中、山口さんは生徒達に、「自分の友達が今病気やけがをした時、同じように接することはできますか。」と聞いていた。考え込む生徒も多い中、彼は、「目が見えなくなった時、見えていたときと同じように接してくれた友人に救われた」と続けた。それは難しいことのようにも感じられるが、「障害」ばかりを大きく見てしまうのではなく、その人自身を理解することができれば実は簡単なことなのかもしれない。スポーツを通して相手をより深く知るというのも、心のバリアフリーへの1つの大きな方法なのではないかと講演会を通して感じた。

渡邊ひなの

障害とは

そしてまた講演会の中で山口選手が言っていたある言葉もとても心に残っている。

「障害の有無とかっていうのは身長が低いとか高いとか、身体が大きいとか小さいとか、そういうのと同じように『違い』であって、特別なものじゃない。」

障害者と一括りにしてしまうことが多いけれど、障害者の中でも同じ人は1人としておらず、障害の程度も性格も全然違う。障害者スポーツには、車椅子バスケのように障害の重度にあわせて点数をつけるものもあればゴールボールのように全員アイシェードをして、みんな同じ条件で競技できるものもある。いろんな人が同じスポーツを一緒に楽しめるということはとても素敵なことだと思う。

体験会後、山口選手は2年後に迫る2020年東京パラリンピックについて、「『あ、あの学校に来てくれたお兄さん頑張ってるな』と思って見てくれると嬉しいなと思う」話されていた。オリンピック競技に比べると、まだまだパラスポーツはメディアなどで目にすることも少なく、どこか遠い存在のようにも感じてしまう。しかし、質疑応答で「その服はどこのブランドですか」「地元はどこですか」なんていう質問もでてくるほど親しみやすい山口選手と友人のお二人のおかげで、今回講演を受けた高島高校の生徒達にとってゴールボールは、以前よりずっと身近なものとなったはずである。