保存に適した温度は?夏に知っておきたい食材保存のコツ

夏野菜は低温障害に注意
ウェザーニュース

暑い日が続くと、食材の傷みが心配です。冷蔵庫に入れておいても傷んだり、味や香りの品質がガクッと落ちたといった経験はありませんか?そこで、夏場に気をつけたい保存のコツを管理栄養士の柴田聡美先生に聞きました。

柴田先生によると、水分の少ないものは長持ちし、水分の多いものは日持ちしない傾向があります。

夏野菜は低温障害に注意!

夏に旬をむかえるトマトやキュウリなどの水分の多い野菜は、低温で保存すると細胞の構造が変化し、キュウリなら水っぽく、トマトなら実がブヨブヨと柔らかくなり、食感も風味も変わってしまいます。

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上の表で7℃以上での保存に適した野菜は低温に弱く適湿度が高いものが多いです。そのため本来は直射日光を避け室温で保存することが望ましいのですが、気温が高くなりやすい夏場は冷蔵庫以外での保存は傷みやすいので注意が必要です。

夏期は野菜室で保存した上で、なるべく冷気や乾燥に晒(さら)されないよう、1つずつペーパータオルや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて軽く口を閉じて保存すると良いでしょう。

【バナナ】

バナナも夏野菜と同じく冷蔵庫で保存すると低温障害を起こし、黒く変色して実が傷んでしまいます。皮に含まれる褐変物質のポリフェノールが原因なので、皮をむき、果肉にレモン汁をかけて食品用ラップフィルムに包めば、冷蔵・冷凍保存できます。

【レタス】

芯に小麦粉を塗っておくと、水分の蒸発を防ぐことができ、見た目も食感も長時間維持できます。

【葉物野菜】

水菜など葉物野菜は水分が出るため、傷みがちです。乾いたペーパータオルで包み、その上からポリ袋をかぶせると長く保存できます。

【卵】

ドアポケットに入れておくと、ドア開閉の衝撃や温度の変化等で傷みやすくなります。ただし、サルモネラ菌が付着している可能性があるのでパックのまま保存して、他の食材と分ける必要があります。また、洗うのはNG。殻の表面のクチクラ層が剥がれ、菌が侵入しやすくなります。尖った方を下にしておくと、中に菌が入りにくくなります。

【肉】

冷蔵室での保存期間は、牛肉のスライスで3日、ブロックで5日、豚肉は2~3日、鶏肉は翌日までです。ひき肉は空気に触れる面積も大きく傷みやすいのでその日に使いきりましょう。

また、パックのまま保存すると肉が空気に触れて、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。未開封でもパックのまま冷蔵、冷凍保存するのは絶対にNGです。パックから取り出し、肉から出た余分な水分を拭き、空気に触れないようにペーパータオルで包んだ上から食品用ラップフィルムで包んで、チルド室へ入れましょう。

冷凍する場合、氷水にくぐらせてから食品用ラップフィルムで包んでおけば、肉の表面を氷が覆って酸化防止になります。さらに、調味料に含まれる塩や酢は細菌の繁殖を抑えるので、下味をつけると保存がきくようになります。

【魚】

「とりあえず冷凍させておけばいい」と思われがちな魚ですが、こちらも注意が必要です。水分が少ないマグロやカツオなどの赤身の魚やタコなどとは違い、タラなどの白身魚、サケやブリなど産卵後の魚は水分が多く組織が脆くなっています。

そのため、そのまま冷凍すると解凍の際にパサパサしてしまうのです。肉と同じように氷水にくぐらせたり、下味をつけてから保存するようにしましょう。

一手間かけるだけで食材の持ちは大きく変わります。上手に保存して、最後までおいしく食べきりましょう。

『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』(監修:徳江千代子・朝日新聞出版)、日本食肉消費保護センター(http://www.jmi.or.jp/)

(2018年8月29日ウェザーニュース「夏に知っておきたい食材保存のコツ」より転載)