集合知から新しいモノは生まれない。一点突破を繰り返す新規プロジェクトの起ち上げ方

今回は「新しいことやろう!」的な話になった時に、やたらめったら人の意見を聞いて悩んで皆の意見をまとめて...で悩んでるかつての僕みたいな方のために。

はじめまして。ビズリーチという会社で、教育アプリ『zuknow』の立ち上げから運用までやっているエンジニアの鳥海です。

今回は「新しいことやろう!」的な話になった時に、やたらめったら人の意見を聞いて悩んで皆の意見をまとめて...で悩んでるかつての僕みたいな方のために。ってことで、ディレクターズマニュアル初寄稿ですがちょっと書いてみようかと思います。

多すぎる意見の集約はプロジェクトに混乱を招く

「新しい事をやろう」「新規事業を立ち上げよう」「これまで届かなかった層にリーチするモノを作ろう」

ステキなことだと思います。そして、WebやITに限らず何がしか仕事をしていればちょいちょい聞く号令だと思います。

で、そんな話が持ち上がると、大抵は以下のようなフローで進んでいくんですよね。

  • まずプロジェクトチームが立ち上がって
  • リーダーが選定されてメンバーがアサインされて
  • 色んな人と繰り返し会議を行って骨子が固まって
  • 何やるか決まったら期日を決めて動かしていく

別になんの違和感もなく、問題もなさそうに見えます。よくある新プロジェクト立ち上げの風景です。

でも、僕自身はこれ、基本的には間違ってると思うんです。

なんにしたって「物事の立ち上げ期」に、やたらに多くの人を参加させたり多くの声に耳を傾けるのは本来シンプルであるハズのプロジェクト課題を無駄に複雑にしてしまうと思うんですよ。

壁の突破はまず一点に集中して結果を冷静に見るスタンスで

何か新しいことをやろうとすれば無数に課題が出てきます。で、その課題を解決しようとするとまた新たな課題が出てきます。

で、その課題が集まりまくって『プロジェクトの壁』となって立ちふさがるんです。

この壁を突破するために必要なのって、多分「戦力を分散して全面攻撃する」ことではなく、「まずは一点突破してみること」だと思うんですよ。

壁をぶっ倒すのではなく、まず小さい穴を開けることを目指す...みたいな。

どれだけ強大に見える壁だって、どこかに薄かったり弱かったり、守られていなかったり突破できそうだったり、そういう部分が存在するもんです。

なので、まずはそこを見つて(あるいは見つけたという仮説を立てて)戦力を集中してぶつけてみる。そしてその結果を観察してみる。

焦げたのか、ヒビが入ったのか、または無傷なのか。次の一手は同じ部分にさらなる攻撃を加えるべきなのか、別の武器で攻撃するべきなのか。あるいは別の部分に狙いを変えるのか。

こと起ち上げのタイミングであれば、そういう攻め方を素早く何度も行ったほうが結果的に「壁みたいな課題の山の突破」には向いてるように思うんです。経験的に。

原因が分からないという課題をいかに直視して回避するか

戦力を分散してあれこれ一気にやった場合、最悪どこにも響かないかもしれないし、どこに反応があるのかも予測しずらくなっていきます。

つまり、上手くいってもいかなくても「何が原因なのかハッキリしない」という事態が起こりやすくなっていくんです。

全面に対してやみくもに攻撃し続け、いつか壁が壊れることを期待する...というやり方を貫くのであればそれはそれで良いのかもしれませんが、とにかくお金も時間もかかる上に、見通しが立てづらい状況が続きます。

そんなもんやってられません。

だから、本来起ち上げ期に限って言えば「打った手の成果」を毎回求めて進めていくんではなく、次の一手の精度や期待効果を高めていくためにいくつもの施策をやっていくべきなんじゃないかな?と考えるんです。

そうじゃなきゃ多分倒れちゃいますもん。チームも、プロジェクトも、事業も。もしかしたら企業だって。

たったひとつの種に全力を向ける重要性

人の善意や思い、意見や指摘を受け止めることは大事です。無駄なものじゃないと思います。

でも、それによって迷ったり手戻ったり停滞したり...ってのは「しかたないこと」では無いと思うんですよ。

やるべきなのは、沢山の良さそうな種を集めてできるだけたくさん育てることではなく、たった一つの一番良い種を見つけて、それだけを埋めて丁寧に世話をし、一番美しい花を一番早く咲かせることを目指すこと。

人が増えれば増えるほど、やりたいことは増えてくる。そうすると、やることを決める以上に、やらないことを決めることが難しくなってくる。それはもう当たり前の話。

だからこそ、僕たちが届けたいコアなバリューや目指す世界に辿り着くために、今必要なのは何なのかということを一人ひとりが考え、そこをリーダーが強い意志を持ってドライブして行くことが必要なんだと思うんです。

そしてねじ込む唐突なイベント告知

そして寄稿いただいた記事の下にもこんにちは。ナカムラです。今回は自身のイベント告知をねじ込ませていただきます。

上記の記事内容でも触れている通り、結局のところ「決めて打って成果を見て育てる」が重要となってくるこれからの事業設計において、いったい何をどうすりゃいいのよ?という問いにダイレクトに応えるセミナーを開催予定となります。場所は東京と福岡で2週連続開催。

せっかくなので気になる方はぜひぜひー。