豆スープ1杯、4万円の国はどこ? 食のコスト世界比較、トップは意外な?あの国

これは食にかかるコストの、意外な真実のお話です。

例えばごくごくありふれた豆や米、トウモロコシをトマトで煮たスープ1杯を作るために、日本の物価に例えると4万円近くもかかる国があることを、あなたは知っていますか?ロンドンやニューヨーク?超高級スーパーの並ぶ東京都心?

南スーダンの豆スープ
南スーダンの豆スープ
HuffPost Japan

これは食にかかるコストの、意外な真実のお話です。

実は豆スープ1杯、つまり標準的な食事1回分を作るためのコストが最も低いのは、先進国です。例えば米ニューヨークでは1日の収入の0.6%、1ドル20セント(134円)にすぎません。

しかし途上国となると、状況は一変します。人々の購買力がどんどん下がり、食費が収入に占める割合は上がっていきます。

豆スープが最も高くつく国は、南スーダン。内戦の中で建国され今も泥沼の紛争下にあるこの国では、1日働いた稼ぎをはたいても、スープ1杯作ることができません。日本の物価に例えると、1杯のスープを作るのに3万9,000円もかかることを意味します。

最も食費が高くつくのは、紛争下の南スーダン
最も食費が高くつくのは、紛争下の南スーダン
WFP/Gabriela Vivacqua

紛争で多くの人が避難を強いられ、農作業ができないために農地が荒れ、食料を作れない-。そんな悪循環のただなかにある南スーダンの人々に、そんなお金を払えるわけがありません。だからこそこの国は、人口の6割のもの人々が人道支援なしには生きられないのです。

スープ1杯を作るためのコストが高い国ベスト5は、以下の国々です。

1位 南スーダン 348ドル(約3万9,000円)

2位 ナイジェリア 222ドル(約2万7,000円)

3位 コンゴ民主共和国(DRC) 79ドル(約9,000円)

4位 マラウィ 79ドル(約9,000円)

5位 イエメン 62ドル(約7,000円)

※日本円はいずれも1ドル=112円で算出

5カ国のうちマラウィを除く4カ国は、紛争下にあります。また気候変動に伴い干ばつが深刻化しているサヘル地域の、マリやモーリタニアなども上位に入りました。

食事を作る際のコストが上昇するのは、市場経済が発達していないことや政府の統治力が低いことなど、様々な要因が挙げられます。

急性の栄養不良と診断されたイエメンの子ども
急性の栄養不良と診断されたイエメンの子ども
WFP/Jonathan Dumont

しかし最も突出した原因は、ランキングを見れば分かる通り紛争です。上位5カ国のうち、紛争が深刻化している南スーダン、ナイジェリア、イエメンは前年に比べてスープ1杯のコストが上がってしまいました。

紛争と飢餓は、どちらかが解決しない限り、残りのひとつも解消されない関係にあると言えます。

国連WFPは1杯の豆スープすら作ることのできない人々へ、生きのびるための食料を提供しています。飢餓は人道に反し、人々が人権を侵害された状態なのです。

世界各国の食料コスト比較(英文サイト)はこちら

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