襲い掛かる干ばつ、人口の6割が貧困…中南米・ホンジュラスをEXILE ÜSAが視察【報告会開催10/25】

ÜSAさんはこれまでEXILEの活動と並行して、世界約20カ国を訪れ、貧しい子どもたちにダンスを教えるなどの社会貢献活動を続けてきました。

人口の6割が貧困状態にある最貧国のひとつ、ホンジュラス。中南米の「Dry Corridor」(ドライ・コリドー=乾燥回廊)に位置し、たびたび襲い掛かる干ばつのため、人々は食料不足に苦しんでいます。

国連WFPサポーター、EXILE ÜSAさんは8~9月にかけて同国を訪れ、国連WFPの食料支援現場などを視察しました。10月25日に国連大学(東京都渋谷区)で報告会を開催し、現地の子どもたちや食料支援の様子などを語ります。

ホンジュラスは日本の3分の1ほどの国土を持ち、人口は910万人。国民の約6割が貧困状態にある、中南米の最貧国の一つです。人口の7割が農業で生計を立てており、主にバナナやコーヒーを栽培しています。

しかし近年、この国は気候変動に翻弄され、食料不足が慢性化しています。

ホンジュラスを含む中米一帯は2014~17年、エルニーニョ現象の発生によって深刻な干ばつに見舞われました。農作物の収穫が減り、多くの農家が打撃を受けました。

一方で2015年には異常な豪雨によって、農作物の半分以上が失われています。

「私はシングルマザーです。これまではトウモロコシや豆を育てていました」

ホンジュラスで農業を営むマリアさん一家。Photo:WFP/Rocío Franco
ホンジュラスで農業を営むマリアさん一家。Photo:WFP/Rocío Franco

乾燥地域のチョルテカ県で農業を営むマリア・アクシラドラは話します。彼女と74歳の母、12歳と7歳になる2人の子どもたちは干ばつにたびたび襲われ、生活できなくなってしまいました。

同じ集落に住むチャネルは男女5人ずつ、計10人の子どもの父親です。彼の一家も農業が立ち行かなくなり、食料支援に頼らざるを得ない状態です。

10人の子どもを抱えるチャネルさん一家。Photo: WFP/Rocío Franco
10人の子どもを抱えるチャネルさん一家。Photo: WFP/Rocío Franco

同国では、5歳未満の子どもの2割以上が、年齢に比べて発育が遅れています。特に先住民の人々が多数暮らす乾燥地帯では、発育不全の子どもが全体の4割に達します。

国連WFPは2018年6月時点で約60万人に食料支援を実施しています。配給のほか学校給食の提供や、乳幼児と妊産婦へ栄養強化食品を配るなどの支援も行っています。

一方、ÜSAさんはこれまでEXILEの活動と並行して、2006年から「ダンスは世界共通言語」と題した個人プロジェクト「DANCE EARTH」を始動。世界約20カ国を訪れ、貧しい子どもたちにダンスを教えるなどの社会貢献活動を続けてきました。

世界20カ国以上を訪れたEXILE ÜSAさん Photo:A-works
世界20カ国以上を訪れたEXILE ÜSAさん Photo:A-works

ÜSAさんにとって、ホンジュラスは国連WFPサポーターとなって初めての視察国です。視察前のインタビューで、このように語りました。

これまで訪れた国では、楽しい事だけでなく悲しい光景も沢山目にしました。

一番印象深かったのはインドのバラナシです。物乞いの子がより哀れに見えるよう、手足を切り落とされたり、盲目にさせられたりという現実がありました。赤ちゃんたちも裸で、屋根のない場所で暮らしており、直視できないくらい心が痛みました。そんな中で自分に何ができるか、真剣に考えるようになったんです。

そして、自分は踊ることしかできない、ならばそれを通じて、世界から悲しい事を少しでもなくしたいと思いました。貧しい子どもたちが通う小学校を支援し、彼らにダンスを教えました。物乞いの子たちがストリートダンスチームを作ってお金を稼げたら、手足を切り落とされずに済むかもしれないし、貧困から抜け出すチャンスにもなるかもしれません。

僕はダンスを通じて、多くの夢をかなえることができました。これからは、世界の人たちを少しでも幸せにできる活動に、本気で取り組もうと思います。

インタビューに答えるEXILE ÜSAさん Photo:WFP
インタビューに答えるEXILE ÜSAさん Photo:WFP

また視察に当たって、ダンサーとしての創作活動にも意欲を見せていました。

ダンスは道具がいらない無料の遊びで、どこでもできるし、決まりはありません。子どもたちが自由に踊ると、想像もしないような動きが出て、みんな天才じゃないかと思います。彼らにはぜひ、平和で幸せな世界を渡したいです。

現地の人たちとは言葉も習慣も違うけれど、ダンスで会話できる「ダンス語」のようなものを作りたいですね。あと今回の視察中、現地の人たちの「おいしい」がどんな表現なのかリサーチし、「おいしいダンス」を作ってみんなで踊ってみたいです。ガーナに「アゾント」という、日常生活をダンスで表現する踊りがあるのですが、こうした踊りもヒントにするつもりです。

ÜSAさんは実際に、ホンジュラスで子どもたちと一緒に踊り、交流を深めました。報告会では現地での様子を記録した動画上映のほか「おいしいダンス」も初めて披露します。

視察報告会は入場無料、10月25日午後7時から開催します。申し込みはPeatixで。

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