ガチャ確率公開、各社の対応は? 2強メーカー「予定なし」の理由

スマートフォンゲーム業界で「ガチャ」と呼ばれる課金くじをめぐる自主規制が広がっています。ただ、ガンホー、ミクシィの「2強」は、今のところ公開を決めていません。

スマホゲーム業界で、情報公開の流れが強まっている

スマートフォンゲーム業界で、「ガチャ」と呼ばれる課金くじをめぐる自主規制が広がっています。これまで不透明だったレアアイテム一つ一つの当たる確率を、情報公開するメーカーが急増。ただ、屈指の人気ゲームを運営しているガンホー、ミクシィの「2強メーカー」は、今のところ公開を決めていません。メーカー各社の考えを聞きました。

背景にガチャへの不信感

163社が加盟する業界団体「コンピュータエンターテインメント協会」(CESA)が4月に発表したガイドラインは、太字でこのように定めています。

「すべてのガチャアイテムの提供割合が分かる表示」をすること――

これまで多くのゲームが、アイテムの出現確率を「レア」「スーパーレア」などと、あいまいに表現するだけでした。

しかし人気ゲーム「グランブルーファンタジー」(Cygames)で、年末年始に「出現率アップ」をうたいながら、数十万円を使っても目当てのアイテムを入手できない利用者が続出。苦情が殺到し、今年3月からすべてのアイテムの出現確率を公表する対策に踏み切りました。入手困難なアイテムの出現確率がわずか「0.014%」。実にガチャ約7000回に1回の確率で、利用者に驚きが広がりました。

CESAのガイドラインが作られた背景には、こうした利用者の不信感の高まりがありました。担当者は「これまでのガチャは、利用者にとって分かりにくい部分が多く、クレームにつながっていた」と話します。

確率公表、8社が決める

CESAは1年間の移行期間を設け、加盟社にレアアイテム一つずつの出現確率を表示するよう求めています。どうしても出現確率を表示したくない場合、代替策をとる余地も認めていますが、担当者は「あくまで出現確率の表示が原則」と強調します。

出現確率を表示すれば、利用者にとっては課金を続けるどうかの判断材料になります。一方で、メーカーにとっては課金収入が減る可能性があるほか、人気が定着しているゲームの関係者からは「細かな数字を表示することで、ゲームの世界観が崩れる恐れがある」との声も聞かれます。

どれだけのメーカーが、情報公開に踏み切るのでしょうか。

主要各社に聞いたところ、ガイドライン策定を受けて、すでにカプコン、グリー、コーエーテクモ、コナミ、スクウェア・エニックス、セガゲームス、DeNA、ボルテージの8社が出現確率の公表を表明しています。

コナミは「課金内容や入手できるアイテムが、容易に理解できる環境をご提供することが最重要」と、ガイドラインに賛同した理由を説明します。

ボルテージは「ユーザー様の不信感を和らげ、安心してアプリをプレイしていただきたい」といい、まずは7月中に「花より男子~F4とファーストキス~」など10タイトルで出現確率の表示を始めるといいます。

セガゲームスは夏までに、スマホ向け人気ゲーム「チェインクロニクル~絆の新大陸~」「ぷよぷよクエスト」など16タイトル、さらにパソコン向けゲームも 「ファンタシースターオンライン2」など5タイトルで確率表示する準備をしています。

「確率表示が全てではない」

一方、業界を代表する「パズル&ドラゴンズ」を運営するガンホーは、いまのところ出現確率の表示予定はないといいます。

同社の担当者は「一番重要なことは、お客様にとって分かりやすく、誤解の無い表示をすること」としたうえで、「ガチャの確率表示も一つの手段ではありますが、それが全てではないと考えております」と説明します。

今後については「お客様の要望や業界の流れなどを見極めながら、確率表示も含めた様々な対応方法を検討してまいりたい」といいます。

「モンスターストライク」を運営するミクシィも「現時点におきましては、個別の出現確率表示は予定しておりません」としています。

また、人気メーカーのコロプラも、ガイドラインへの「対応内容、対応予定時期は未定」だといいます。

ガンホーやミクシィは、業界で先駆けて「レアアイテム獲得までの推定金額を、ガチャ1回の課金額の100倍以内とする」といった過度な課金への自主規制を設け、人気を高めてきました。ただ、今回CESAがより厳しい内容のガイドラインをつくったことで、新たな「業界標準」とはズレが生まれている状態です。

今後について、CESAの担当者は「利用者の声に注意し、不満が余りに多いゲームには是正を求めていく」としています。

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