支持政党なし、60万票獲得のポスター戦略 佐野代表「次回も挑戦」

選挙のたびに注目を集める「支持政党なし」は、今回の参院選をどのように戦ったのでしょうか。佐野代表に聞きました。

選挙戦を振り返る「支持政党なし」の佐野秀光代表

選挙のたびに注目を集める「支持政党なし」。前回衆院選で10万票を獲得、今回の参院選では60万票を獲得し初議席にまた一歩、近づきました。佐野秀光代表は「意義はあった。次回の衆院選も同じ党名で立候補したい」と語りました。票を伸ばした要因の一つが、入念なポスター戦略でした。話題を呼んだ「支持政党なし」は、今回の参院選をどのように戦ったのでしょうか。佐野代表に聞きました。

横一列のポスター

今回、「支持政党なし」は、東京選挙区の4人など選挙区に計8人、比例区に2人を擁立し、初の議席獲得を目指してきました。東京選挙区では、候補者名がなく「支持政党なし」と書かれたポスターが横一列に並んだ光景に、思わず足を止めたり、写真を撮る人も出ていました。

ネット上では、党名の紛らわしさを指摘する声がある一方、「出口調査に現れにくいから、開票してみないとわかない」という分析も。筑波大学助教の落合陽一さんは自身のツイッターで「議会制民主主義をインターネット直接民主主義に変えるってプロセスに挑戦してる」と指摘しました。

法案の採決にネットで参加

政党名と同じくらい特徴的なのが、インターネットで政策の是非を募るという方法です。「支持政党なし」のサイトでは、参院選で議席を獲得した場合、ネットで法案の賛否を党員に質問。画面上で「賛成・反対」を選んで送信し、議員はその結果を踏まえて賛否を決めると説明しています。

「議員の意志はまったく無視」

「党員の方々の使者となりきる」

ここまで言い切る姿勢には、批判的な意見も出ています。

法案の可否を決めるシステムで正しい民意が反映されるかどうかについて、佐野代表は「同一のIPアドレスからは2回投票が出来ないようにしている」と反論しています。

一方で、「賛否参加システムは投票総数が少ないと、特定の団体などに支配される可能性がある」と率直に認めています。

その上で、「党員が増えれば増える程ある団体による支配が難しくなる。他の団体が支配しようと考える位の存在になれれば逆に支配されないと思っております」と説明しています。

ポスター貼りに集中投下

これまで何度も選挙に挑戦してきた「支持政党なし」。2014年12月の衆院選では10万票超を集め、一気に注目を集めました。

衆院選での結果について大槻文彦事務局長は「突然、行われる衆院選と違って参院選は準備を整えて選挙にのぞめました」と振り返ります。

特に力を入れたのがポスターです。基本理念でインターネットによる法案の可否をかかげる一方、支持政党がないと考えている人たちはポスターなどで情報を得ることが多いと分析。スタッフをまずポスター貼りに集中投下しました。

結果的に、ポスターは賛否含め評判に。ツイッターでも掲示板を撮影した投稿が相次ぐなど、リアルからネットへの拡散にも成功しました。

佐野代表「二大政党以外の受け皿必要」

今回、注目をあびたポスター戦略。佐野代表は「当初から考えていた」と言います。

ただ、きれいに並ぶかどうかは全体の立候補者次第なので「うまく4人並ぶか心配だった。縦の方に1人だけいっちゃわないか...」とも。

ポスターに注目したのは「政党名を知ってほしかった」から。

「ポスターに候補者の名前を書いたところで覚えてくれるとは思っていなかった」

党のホームページはポスターを貼った後、アクセスが急増したそうです。「誰が立候補しているのか気になった人が多かったのだと思う」と佐野代表。選挙期間中は7万PVから10万PVのアクセスがあったそうです。

話題は集めましたが初議席には届かなかった今回の参院選。佐野代表は「誤解を招いた票を取ろうとしているなど、党の考え方が正確に伝わっていなかったのかもしれない」と分析。

加えて、衆院との違いについて「なるべく自分の名前を表に出さないようにしたが、候補者が注目される参院選には合わなかった」と振り返りました。

今後については「今回、『支持政党なし』に投票してくれた人は、次回も、選挙に行くはずだ。二大政党以外の受け皿は必要だと思っている」と、次回への意欲を強調しました。

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