2018年03月22日 10時45分 JST | 更新 2018年03月22日 10時46分 JST

復帰直後は無理しない。半年過ぎたらチャレンジしよう。育休明けに心がけたいこと。

私はこうやって「苦難」を乗り越えた

2016年4月に育休から復職した営業の山口。彼女は休職前に全社でもっともシンボリックな活躍をしている社員へ贈られる賞を獲得するほどの働きぶりを見せていました。復帰後に時短勤務でも変わらぬ営業成績を誇っている。傍目にはそんな印象があったのですが、本人曰く「苦難の連続だった」そう。

Profile : 2005年に新卒でエン・ジャパン入社。ミドル層専用の転職求人サイト「ミドルの転職」を運営する部署の営業として、人材紹介会社を中心とした企業支援を担当。2013年に社長賞を受賞。2015年に第一子を出産後、2016年4月に職場復帰。現在は17時までの時短勤務を続ける。

山口自身が「復帰後の1年を振り返った気づき」が、今後復帰する社員や、復帰者をメンバーに持つ管理職の参考になれば、とインタビューに応じてくれました。復帰者が多いこの時期、必見の内容です!

-出産前のフルタイム勤務時と変わらず、億単位での売上目標や新たなミッションを担っていると伺いました。高い成果を挙げる過程で、多くの気づきがあったそうですね。

はい。休職から復帰した社員が、いち早く以前のようなパフォーマンスを発揮していくためには、復帰者本人と上長双方が「復帰初年度にありがちな問題とその発生時期、対策」を事前に共通認識として持つと良いと感じています。

-確かに。特に初めて復帰者を迎え入れる組織は、戸惑いがありそうですね。なぜ、上記のような考えに至ったのでしょうか?

先に復帰した先輩ママとして、この春に育児休業から復帰予定の方と社内外ともに交流する機会が多々ありました。質問や相談を受けながら、私自身も復帰してからの1年間を振り返ってみたんです。

がむしゃらに走ってきた1年でしたが、復帰初年度にありがちな問題点と、発生時期には傾向があると気づきました。当時は気がつく余裕もありませんでしたが、事前に上司と共有できていればよかったと思っています。もっと早く対策を講じることができるので。

-興味深いですね。具体的にはどのような内容でしょうか?

大きくは2点。

( 1 ) 復帰直後-仕事と家庭の両方でうまく立ち回ろうとしすぎて、自滅してしまう。

( 2 ) 復帰半年後以降-仕事や家庭は安定。ビジネスパーソンとしての成長が停滞しかねないリスクが出る。

それぞれ、詳細をご説明します。

復帰直後(1~3ヶ月)

<発生する問題>

仕事と家庭の両方でうまく立ち回ろうとしすぎて、自滅してしまう。

・仕事面

時短勤務でも以前と変わらぬパフォーマンスが出せることを示したい。育児との両立が可能な環境を用意してもらっているのだから、早く「期待以上の成果を出さなくては」という焦りや気負いを感じていた。そのため、仕事を持ち帰るなど、無理やりにでも対応。心身ともに良くない状態に陥る。

・家庭面

保育園に通い始めた環境の変化から、育休中にはあまり発生しなかった子供の体調不良が頻発。事前に家庭での分担をじゅうぶん話し合えていないため、家族の協力がすぐ得られない。結果的に、本人が対応することが多くなって休みがちに。

特に私の場合...

「早く成果を出さねば」という焦り、お休みを頂くことへの負い目、病気でいつも以上に手のかかる子供へのいらだち、看病による自身の睡眠不足、体調不良の子供に片手間でしか対応できない罪悪感、これらが重なって心理的に悪い状況でした。

この心理的な不安や焦りを解消するために、自分の睡眠時間をけずって、仕事も子供も対応するという間違った判断をし、結果的に私も体調を崩したり、仕事で適切な判断ができにくくなったり、良くない状態に陥りました。

<対策>

頼れるメンターを見つけること

自身の気持ちを率直に発信すること

・仕事面

「仕事と家庭を両立し、成長していきたい」という想いを共有できる、先輩復帰者からアドバイスを受ける。

私の場合...一足先に復帰していた先輩社員に「どのように問題を解決してきたのか」に関する方法や考え方のアドバイスをもらい、解決の糸口を見つけることができました。

家族を巻き込むコツは「自分の想いや喜怒哀楽を率直に伝える」こと。心身のバランスが崩れてしまったときは、まず自分の健康を戻すこと。これらに気づかせてくれたのも、先輩社員からのアドバイスがキッカケでした。

-同じような境遇の先輩社員がいない場合、どうしたら良いのでしょうか?

主体的に発信をして、組織を超えた接点を持つと良いと思います。私は当時の上司に「復帰して活躍されている方を紹介してほしい」と伝えて、他の事業部の先輩ママを紹介してもらいました。「アドバイスを聞きたい!」と発信することで、周囲が快く協力してくれました。

・家庭面

家族へSOSを出せるよう、話し合いを重ねること

夫とは家事・育児の分業について複数回話し合いました。特に、下記のような内容を夫へ自己開示しました。

-なぜ働きたいのか。

-今、自分の仕事がどういう状況なのか。

-どのような助けがあれば、仕事・家庭両方が上手くいくと考えているのか。

-すごく具体的で良いですね。自分たちの家庭は話し合えているのか、チェック項目として活用できそうです。

はい。話せていない点があれば、ぜひ参考にしていただきたいです。

この話し合いの結果、さらに家族の協力を得られるようになり、仕事に向き合える時間をつくることができました。双方の実家が遠方だったり、伴侶の会社次第では家庭協力に理解がなかったり、帰宅時間が遅くて協力を得られなかったり、と具体的な支援をしてもらいづらいケースもあるかと思います。それでも、理解が進むだけで心理的には大きく改善されます。

復帰半年以降(6~9ヶ月後)

<発生する問題>

仕事や家庭は安定。ビジネスパーソンとしての成長が停滞しかねないリスクが出る。

私の場合...

復帰直後の問題が解決され、仕事に集中できる環境が整いました。仕事は成果が出せるようになり、家庭では子供があまり体調不良を起こさなくなり、結果的には余力がある状態に。そのままチャレンジングな目標を掲げないと、成長が停滞してしまうと危機感をおぼえました。

<対策>

本人が新しいミッションを積極的に獲得すること

本人からの申し出がなければ、上長から「そろそろもっと任せたい」と期待をかけるこ

私の場合...

「成長を実感できないまま働く」ことは、復帰当初と異なる意味で心の健康が保たれていない状態でした。「今までの延長線上でほどほどに働いていても、自身の成長にはつながらず、復帰した意味がない」と考え、当時の上司へ「実は今、ちょっと余裕があります。なにかもっとやりたいです」と率直に申し出ました。

上司も、私の成長が停滞しているのでは?と心配してくれていたようです。第一声が「ですよね!(待ってました!)」という反応で。元々期待いただいている実感もありましたが、嬉しかったです。

「任せたいことは色々あるんだけど、どうする?」というところから、事業部内で進めていた新規プロジェクトの推進役を担わせてもらったり、リーダーとして部下をもたせてもらったり、と話がとんとん進みました。

-すごい、かっこいいですね。でもそこまで明確に自分から伝えられる人は少なそうです。とはいえ、上司からの働きかけも難易度が高そう。特に初めて部下に育児中社員を持つ上司の場合、どこまで本人に要望して良いものか、遠慮してしまうこともあると聞きます。どうずれば良いのでしょうか?

遠慮してしまう気持ちも分かります。だからこそ、復帰前後で「なんのために働くか」「働くうえで大切にしたい考え方」のすり合わせが上司と本人の間で出来ているとスムーズです。

具体的には......

「なぜ復帰しようと考えたのか(復帰せず育児に専念する、仕事量を減らして子供との時間を重視する、という選択もある中で、正社員で復帰する理由)」、「将来、どうなりたいのか」はぜひ議題に上げて欲しいです。

仮にその時は当人が深く考えられていなくても、改めて整理して家族とも話し合ってもらう良い機会になるはずなので。後々本人のためになります。

-本人のためになる、はどういう意味でしょうか?

仕事と育児で行き詰まったときに立ち戻る原点になるからです。

たとえば、子供の体調不良や時間的制限への戸惑いがあったり、1から仕組みをととのえたり、大変なことが重なったとき。「なんでこんなにまでして働いているんだろう」と思ったときに、「成長したい」という原点へ立ち戻ることが何度もありました。

チャレンジすることで、またさまざまな工夫や調整が必要になりました。それでも復帰直後の経験(人の協力を得ること、自身の気持ちを率直に伝えることを意識して問題に向き合ってきた)があったので、同じ手法で立ち戻って解決することができます。

改めて、2点。つまずきポイントと対策が事前に把握できて、上司とも共有できていれば良かった。という私の学びが、これから同じ課題に直面する方の参考になれば、嬉しいです。

( 1 ) 復帰直後-仕事と家庭の両方でうまく立ち回ろうとしすぎて、自滅してしまう。

-頼れるメンターを見つけること

-自身の気持ちを率直に発信すること

( 2 ) 復帰半年後以降-仕事や家庭は安定。ビジネスパーソンとしての成長が停滞しかねないリスクが出る。

-本人から、新しいミッションを積極的に獲得すること

―本人からの申し出がなければ、上長から「そろそろもっと任せたい」と期待をかけること

-今まさに直面している!これは私のことか?!と感じた方も多いのではないでしょうか...。山口さんのような仕事へのこだわり、成長実感へのこだわりが、周囲のみなさんを動かしたんですね。改めて「仕事と家庭を両立して、成長を続けていきたい」という強い想いが大事だと勉強になりました。ありがとうございました!!

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