韓国で撮ったハリウッド映画は、なぜかトンデモになってしまう

実は数十年前からすでに、韓国でハリウッド映画が何本か撮影されていた。どれもほとんどヒットしなかったという点も味わい深い。

先日「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」の撮影チームが韓国にやってきてソウルの中心部で撮影したことが話題になった。経済効果が2兆ウォンに上るとか上らないといった議論があり、道路の通行止めもあったので、市民生活への影響に対する賛否も分かれた。韓国の姿がハリウッドのヒットメーカーの目にどう映るのか、あと11ヶ月後には分かるだろうが、実は数十年前からすでに、韓国でハリウッド映画が何本か撮影されていた。どれもほとんどヒットしなかったという点も味わい深い。今はすべて忘れられた映画だが、1970年代に韓国で制作された奇妙な合作映画、そしてハリウッド映画を紹介しよう。

映画史上これほど悪名高い映画があっただろうか。世界基督教統一神霊協会(統一教会)の故・文鮮明教祖が制作資金を投じたことで問題になったこの映画は、朝鮮戦争で序盤に劣勢だった米韓連合軍が攻勢に転じたことで知られる「仁川上陸作戦」を描いた戦争映画だ。製作費が4400万ドル(今のお金で計算すれば、1億ドルをはるかに超えるだろう)、「007」シリーズで有名なテレンス・ヤング監督が演出し、ローレンス・オリヴィエ、ジャクリーン・ビセット、テレビシリーズ「逃亡者」のデビッド・ジャンセン、「黒いジャガー」("Shaft")のリチャード・ラウンドトゥリー、日本の大俳優・三船敏郎、私の第1作映画「Too Tired To Die」にも出演したベン・ギャザラといった世界的な俳優が出演した。韓国からもイ・ナクフン、ナム・グンウォンらが出演した異色の映画だ。ところが、アメリカでは封切り後、興行収入が500万ドルにとどまり、歴史に残る惨敗興行として記録された。評論家も酷評のオンパレードだった。ニューヨーク・タイムズのヴィンセント・キャンビーは「映画史上最も制作費を投じたB級映画」と評した。何が間違っていたのか?

DVDもVHSも発売されなかったこの伝説の映画が、幸運にも(?)カリフォルニアのローカルテレビ局で放映され、たまたま録画したDVDをもらって見る機会を得た。映画を見た感想?を一言で言えば、安っぽいテレビドラマよりもクオリティーが落ちる、どうしようもない映画だ。しかし失笑させてくれる場面が結構あって、終始楽しく見られた。何よりもこの映画の楽しみ方は、今では想像すら難しいそのスケールだ。「アベンジャーズ」の撮影でソウル中心部の麻浦大橋を通行規制したことが話題になったが、「ああ!仁川」の撮影では、「(やはりソウル中心部の)漢江大橋を爆破し、また架け直してはだめか」と制作陣がソウル市に提案したそうだ。もちろん答えは「ノー」。だから、制作陣は韓国中西部を流れる錦江に橋を架けて爆破したという。とにかくスケールの面ではものすごい映画。1500人のアメリカ陸軍兵士と海兵隊員がエキストラとして投入され、仁川上陸作戦を再現するシーンでは通訳が未熟だったため、軍艦がカメラと反対方向に動いてしまい、撮り直さなければならなかったという笑えないエピソードもあるという。

最近は駄作も再発見される傾向があるので、いつか「ああ!仁川」もBDとして発売してほしいものだ。

映画を見るのが好きな人は、フェデリコ・フェリーニの「甘い生活」("La Dolce Vita")に出てくるトレビの泉のシーンを忘れられないはずだ。

世界中の男たちの心をとろけさせたアニタ・エクバーグが、韓国で映画撮影をしていたなんて、誰が信じるだろう? そう、この官能的なスウェーデンの女優は1972年に、韓国オールロケの映画「ソウルの北東」(Northeast of Seoul)の主演を務めていた。

韓国では「キャサリンの脱出」「ソウルの情事」「ソウルの脱出」などのタイトルで知られているが、「マルタの鷹」の筋書きをそのまま借りてきたようなこの映画は、高句麗の青銅剣をめぐる外国人たちの争奪戦を描いている。残念ながら、映画はアニタ・エクバーグがソウルの街を歩き回っているという以外、これといった見どころがない。

この映画もDVDは発売されていないが、VHSはかなり前に発売された。好奇心に勝てず、通信販売で10万ウォン近く払ってビデオテープを買った。この希少な映画を所有しているというだけで癒やされる。いつかビデオ再生機を持っている友達の家に行って、映画マニアの友人を集めて一緒に鑑賞してみようかと思う。

映画史上最悪の1本に数えられる「キングコングの大逆襲」。英語のタイトルは"A * P * E"だ。「ピースメーカー」「ディープ・インパクト」などを演出したミミ・レダー監督の父、ポール・レダー監督が1976年に韓国で撮影したこの怪獣映画は、当時制作されていた「キングコング」のリメイクに対抗するために(?)作られた米韓合作映画だ。

ストップモーションを利用した特殊効果もなく、ただ安物の毛でできたサルの仮面をスタッフが代わる代わるかぶり、韓国の農村とミニチュアのセットを行き来しながら、名もない巨大な類人猿がおもちゃのヘリコプターと対決し、赤いドレスを着たバービー人形を握りしめて朝鮮半島を徘徊する。誰が見ても死んでいるサメを捕まえて、世紀の対決も繰り広げる。まさに、まともな精神状態では見られない奇怪な映画だ。

前述の映画とは違ってDVDも正式に発売されており、YouTubeにも映画全体がアップされている。映画マニアの間では人気がある、知る人ぞ知る作品だ。この映画のレベルは実に、映画史上最悪の監督に数えられるエド・ウッド監督の作品を(粗雑さにおいて)しのぐと言える。

子供の頃、この映画のポスターを見て、てっきりキングコングの続編が韓国で撮影されたとばかり思って誇らしかったのを覚えているが、興味深いことに、私の次回作はこの映画からモチーフを得た「怒りの類人猿」(Ape of Wrath)だ。1970年代にアメリカの三流監督が韓国にやって来て、キングコングの亜流を撮る過程をコメディーとして描こうと思っている。そのためにオリジナルも数十回見た。見るたびに首をかしげてしまう。一体、制作陣はこの映画を作ったとき、何を考えていたのか? しかし、この映画は見れば見るほど愛情がわく。観客に向かって類人猿が中指を突き立てる映画を愛さないわけにいかない。

もう一つの興味深い事実。この映画は3Dで撮影された。もちろん当時の「立体映画」は粗雑きわまりないだろう。ところが、アメリカに「キングコングの大逆襲」の3Dプリントが存在するという。クリーブランドのある映画館では2009年に一度、3Dで特別上映したと聞いた。いつか韓国でも再びこの映画を3Dで見られることを期待したい。ただし、映画を見る前には飲酒をお勧めする。さっき言った通り、まともな精神状態では見られない映画だから。


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