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2015年01月24日 22時49分 JST | 更新 2015年01月24日 22時49分 JST

エボラ出血熱:アフリカ諸国の大半は深刻な経済的損失を免れるも、ギニア・リベリア・シエラレオネは依然「壊滅的」

エボラ出血熱の大流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネで感染率が大きく低下したものの、今後も3カ国の経済に深刻な打撃を与え続けるだろう、と世界銀行グループは分析しています。

World Bank Group

エボラ出血熱の大流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネで感染率が大きく低下したものの、今後も3カ国の経済に深刻な打撃を与え続けるだろう、と世界銀行グループは分析しています。2015年、3カ国でのエボラ出血熱による損失額は、16億ドル以上になると見られます。

他方、「2015年世界経済フォーラム」を前に世界銀行が発表した新報告書によると、上記3カ国を除き、感染拡大と経済的損失の見通しが、先に懸念されていた水準を大きく下回りました。国際社会と3カ国政府による過去数カ月間の徹底した対応が功を奏したと言えます。

世界銀行グループは2014年10月8日に発表した報告書で、2015年の経済的損失は西アフリカ地域だけでも、「感染率高位推計」シナリオで250億ドルに達すると予測しましたが、今回の報告書では、サブサハラ・アフリカ全体で最低で5億ドル、最高でも62億ドルと推定しています。

当該国や国際社会が講じた対策により、西アフリカ3カ国では公衆衛生面で多くの改善が見られています。具体的には、より安全な埋葬法、感染者の早期発見、医療従事者増員と治療施設増設、市民を対象とした啓発運動、感染経路の追跡拡大などです。こうした政策や人々の「恐怖心による行動」への対応が、隣国への感染拡大リスクの軽減に役立ちました。また、今回、損失推計額が下方修正された背景には、マリ、ナイジェリア、セネガルといった近隣国での封じ込め対策が迅速かつ効果的だったことも貢献しており、これら3カ国では現在、エボラ禍の終息が宣言されています。

「感染が封じ込められ、今後の流行が収束したとしても、2015年、経済的影響は、サブサハラ・アフリカ全域に及ぶでしょう。今回の大流行によって消費者や投資家の信用が損なわれ、渡航や貿易の一部禁止措置が取られました。そのため、2015年は、直接被害を受けた3カ国を除いた域内累積損失額が5億ドルを上回るでしょう」と同報告書は推定しています。さらに、エボラ熱感染が域内全域に拡大した場合は、推定値の上限に迫る60億ドルに達する恐れもあるとして、流行を早期に終息させる必要性を改めて強調しています。

同報告書は、封じ込めと事前準備を進めたことで、エボラ出血熱によるアフリカ経済への潜在的影響は、当初の最悪のシナリオに比べて大幅に緩和されたと指摘しています。

■ギニア、リベリア、シエラレオネへの経済的打撃

同報告書は、「エボラ出血熱の流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネの経済に壊滅的な打撃を与え続けると予想されます」と分析しています。シエラレオネでは、2014年の年間成長率は、危機前の予測の11.3%から4.0%へと半分以下に落ち込み、ギニアとリベリアでも大幅に低下しました。2014年に3カ国の財政が被った影響は、3カ国のGDP合計の5%近くに相当する総額5億ドル以上に及びました。

投資家離れがさらなる追い打ちとなり、2015年の成長率は、ギニアでマイナス0.2%、リベリアで3.0%、シエラレオネでマイナス2.0%に落ち込む見通しです(エボラ発生以前の予測はそれぞれ4.3%、6.8%、8.9%)。金額にすると、2015年は3カ国のGDP合計の12%以上に相当する約16億ドル(ギニアが約5億ドル、リベリアが2億ドル、シエラレオネが9億ドル)の経済損失が発生すると予測されています。

エボラ及び世界的経済情勢に起因するGDP推定損失額(2015年、単位:ドル)

■2015年にアフリカ全土に及ぼす影響

世界銀行グループは、サブサハラ・アフリカ地域の2015年の成長率は、2014年6月時点の予想である5.0%を下回り、4.6%となると予測しています。下方修正の要因は、西アフリカにおけるエボラ出血熱流行に加え、原油価格や他の一次産品価格の急落により恩恵を享受する国と打撃を受ける国の相殺後の影響など国際的な事象によるものです。この成長率予想に対する主なリスクとしては、エボラ出血熱流行の再燃、反政府勢力による暴動、一次産品価格のさらなる下落、国際金融市場のボラティリティなどが挙げられます。

エボラ出血熱が直接的影響を受けた西アフリカの3カ国以外に及ぼした経済的影響は、10年前に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の場合と同様、恐怖心に由来します。

■世界銀行グループのエボラ危機対策

世界銀行グループは、エボラ危機により最も深刻な影響を受けている国々に対し、10億ドル近い支援パッケージを決めています。その内、国際開発協会(IDA)からの5億1,800万ドルは流行への対応に充てられ、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)からの4億5,000万ドルが、ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて貿易、投資、雇用の促進に充てられます。

新報告書の詳細は以下のウェブサイトでご覧いただけます。

http://documents.worldbank.org/curated/en/000112742_20150119170232