「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ」が始動 2030年に向けた母子保健に数十億ドルを動員

国連、世界銀行グループ、各国政府は「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略」を支援する「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)」を立ち上げた。
世界銀行

新たな協力メカニズムを立ち上げ、民間資本市場から資金を調達。

女性、青少年、子供の健康改善に向けた投資資金の不足解消へ

国連、世界銀行グループ、カナダ、ノルウェー、米国の各国政府は13日、エチオピアのアディスアベバで開催されている第3回開発資金国際会議の場で、保健分野における世界の主要なリーダーと共に、「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略(Every Woman Every Child)」を支援する「グローバル・ファイナンシング・ファシリティ(GFF)」を立ち上げた。最初に支援対象となるのは、コンゴ民主共和国、エチオピア、ケニア、タンザニアの4カ国で、これらの国が女性、子供及び青少年の健康に対して策定した5カ年投資計画に充てる資金として、内外の官民両セクターより120億ドルの調達が見込まれる。

「第3回開発資金国際会議」の場で発表されたGFFは、国連事務総長の「女性、子供及び青少年の健康のための世界戦略」と「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援する主要な資金調達プラットフォームである。

今回の発表に当たり世界銀行グループは、グループ機関である国際復興開発銀行(IBRD)とGFFによる新たなパートナーシップの立ち上げを明らかにした。同パートナーシップは、「性と生殖に関する健康と、母子保健(RMNCAH)」の改善に対する資金が大幅に不足している国々を対象に、必要な資金を資本市場で調達するという画期的なもので、GFFに対する1ドルの投資につき、民間資本市場から3~5ドルの動員が見込まれている。同パートナーシップに対してカナダ政府はいち早く、(1)現地の保健医療システムの強化と地域の医療従事者の増強、(2)子供の死亡率低減のためのマラリア抑制、という2つの重点課題への取り組みに対し、4,000万ドルを投入すると発表した。

さらにビル&メリンダ・ゲイツ財団と、カナダ、日本、米国の各国政府は、新たに総額2億1,400万ドルを提供する用意があると発表した。これは、世界銀行グループが運営するGFF信託基金に対するノルウェーとカナダ政府による、それぞれ6億ドルと2億ドルの拠出誓約に追加してである。

各国の保健分野の優先課題・計画への支援資金の増強・動員、世界中の女性、子供、青少年の健康の改善については、各国、国連機関をはじめ、世界銀行グループや世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)、GAVIアライアンスなどの国際機関、官民両セクターの金融機関、市民社会組織によりこれまでも様々な取組みが進められてきたが、GFFの取り組みはかつてない規模となるだろう。本日の発表は、RMNCAHに対する年間不足資金333億ドルを補うための第一歩でもある。

GFFパートナーはまた、今後5年間に深刻な課題に直面する62の低所得国と低位中所得国を支援することを目標に、次の支援対象国としてバングラデシュ、カメルーン、インド、リベリア、モザンビーク、ナイジェリア、セネガル、ウガンダの8カ国を発表した。

民間セクター投資を活用して女性、子供及び青少年の健康改善を目指す新たなGFF-IBRDパートナーシップ

GFFの主な目的は、女性、子供及び青少年の健康改善に不可欠な支援に不足している資金を、公的資金源だけでなく、民間セクターからも動員することにある。そのためにGFFは、世界銀行グループのIBRDとのパートナーシップの下、RMNCAH改善のための資金が大幅に不足している国々を対象に、資本市場から必要な資金を調達する。

IBRDは、国際資本市場で世銀債を発行して民間セクターから資金を借り入れることにより、開発途上国の持続可能な開発のために、自身の資本金を超える貸出資金の供与を可能としている。GFFとIBRDの新パートナーシップは、IBRDの資金調達基盤の活用、新たなリスク分散の仕組みの導入等により、女性、子供及び青少年の健康改善に必要な資金を国際資本市場からも調達する。

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