気候変動対策No.1の自動車メーカーは?「企業の温暖化対策ランキング」第二弾発表

「企業の温暖化対策ランキング」の第二弾を発表。自動車業界を中心とした輸送用機器を取り扱う企業のランキングを公開しました。

猛暑や豪雨、台風の大型化... 今、世界中で気候変動にともなうと考えられる異常気象が深刻な問題になっています。日本政府は、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標に向けた国際社会の動きに、大幅な遅れを取っていますが、一方で産業界では、自主的かつ積極的な動きが出始めています。WWFジャパンは2015年2月24日、そうした企業による温暖化対策を評価した「企業の温暖化対策ランキング」の第二弾を発表。自動車業界を中心とした輸送用機器を取り扱う企業のランキングを公開しました。

『輸送用機器』業種のNo.1は?

WWFジャパンは2015年2月24日、「企業の温暖化対策ランキング」の第二弾となる報告書を発表しました。

これは『輸送用機器』の業種、つまり自動車メーカーやそのサプライヤーを中心とした日本企業28社を調査対象としたもので、2014年8月に発表した同ランキングの第一弾『電気機器』編に続くものです。

結果は、日産自動車が100点満点中87.5点で第1位となり、以下 本田技研工業(同70.4点)、豊田合成(同65.0点)、トヨタ自動車(同63.9点)が続く結果になりました。

この報告は、各社が環境CSR報告書などで公開している情報に基づき、WWFジャパンが各企業の取り組みを同じ指標(全21指標)を用いて評価した結果です。

中でも重要なのは、実効性をはかる上で特に有効な下記の7つの指標です。

第1位の日産自動車は、重要7指標の内、長期的ビジョン、再生可能エネルギー目標、ライフサイクル全体での排出量の開示など計5つの指標で満点を獲得し、2位以下の企業に差をつける結果となりました。

業界の持つ可能性

また、第2位となった本田技研工業は、日産自動車ともども、2050年に向けた長期的な温室効果ガスの削減目標を明確に掲げ、それに向けてライフサイクルを通じた戦略的な取り組みを進めていることが判明。

第3位の豊田合成も、省エネと共に温暖化対策の鍵をにぎる再生可能エネルギーの活用において、定量的な導入目標を掲げるなど、着実に取り組みを進めており、高い評価を得ることにつながりました。

こうした『輸送用機器』業種は、自動車業界と大きく重なることから、燃料電池自動車や電気自動車、ハイブリッドカーといった、いわゆるエコカーの普及と温暖化対策に大きくかかわる業界であり、実際の温室効果ガスの削減効果と、社会的な注目度も高い業界といえます。

実際、自動車業界による温暖化対策は、顧客である消費者の温室効果ガスの排出にも深く関わっており、各社がどれくらいそうした広い視野を持って、対策に取り組んでいるかが、強く問われるところでもあります。

今回の調査では、豊田合成や日産自動車、本田技研工業、マツダなど計7社が、自社の事業範囲にとどまらない視点で、温室効果ガスの排出量を開示しており、この業界が持つ先進的な姿勢がうかがえる結果となりました。

「2度未満」の世界を実現するために

国連は、気候変動による地球環境への深刻な影響や被害を抑えるためには、世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べて「2度未満」に抑える必要があるとしており、日本を含む各国政府もその認識に立ち、温暖化対策を進めています。

しかし日本は、京都議定書の第2約束期間には目標を掲げず、2030年に向けた削減目標の議論も大幅に遅れており、政府レベルでは温暖化対策の取り組みが停滞しているのが現状です。

そうした中で、第3者の立場からの評価にも耐える取り組みを、自主的に行なっている日本企業の存在が、あらためて明らかにされたことは、今後の企業活動、そして日本の温暖化対策において、期待をもたらすものといえるでしょう。

企業の環境保全に向けた取り組みは、地球温暖化対策に関する情報を含め、多くが環境報告書類などで開示されています。

しかし、温室効果ガスの削減目標の定め方や、削減対象となるガスの種類、開示データの範囲などは、企業によって異なっており、一般の消費者はもとより関心の高い人々でさえ、開示情報をもとに企業の取り組みを正しく理解し比較を行なうことが難しいのが現状です。

WWFではこれからも、先を見据えたビジョンを持ち、着実に温暖化対策を進める企業が、強いリーダーシップを発揮して、産業界の変革に寄与することを期待し、それを後押しする評価と提言に取り組んでゆきます。

報告書

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