【いきものトークカフェ】南西諸島の生きものたちの未来 ~人による利用と影響 開催報告

まるで無法地帯 世界遺産候補地で明るみになった取引の実態

2018年6月8日、沖縄県石垣市の環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターにて、いきものトークカフェ「南西諸島の生きものたちの未来 ~人による利用と影響~」を開催しました。本トークカフェでは、2018年5月23日にWWFジャパンの野生生物調査部門であるトラフィックが発表した報告書「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引」の報告と、南西諸島の野生生物に詳しい専門家からの話題提供を得て、参加者のみなさんと豊かな自然を守り、野生生物を共存するために求められることについて考える場となりました。

まるで無法地帯 世界遺産候補地で明るみになった取引の実態

世界自然遺産候補地である奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島を含む南西諸島は、世界的にも貴重な多くの固有な野生の動植物が生息している地域の一つです。その中で、特に日本固有の両生類・爬虫類では半数以上の種数が南西諸島に分布・生息しています。

また、2017年末に更新されたIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで評価対象となった日本固有爬虫類46種のうち、その3分の1が、生息地の減少、外来種による捕食や、ペット目的の捕獲の影響を受け、絶滅の恐れが高い状態であることが示されました。 その中には南西諸島に生息する種も多く含まれています。トラフィックはこうした現状を受け、南西諸島固有の両生類・爬虫類の67種を対象に、ペットとして利用されている実情について市場調査を実施しました。

調査の結果、対象とした南西諸島の固有の両生類・爬虫類の67種のうち55%にあたる37種が国内または海外市場において取引されているという驚くべき実態が明らかになりました。

八重山地方の固有種保全に向けて高い関心が集まったトークカフェ

国内で5番目の世界自然遺産登録が期待されていた南西諸島、2018年5月に登録が延期された理由のひとつに、保全対策の不十分さが指摘されていました。これは、まさにトラフィックの行った調査結果でも示されたものでした。

指摘された課題を解決してゆくためにも、まずは地域の行政や市民団体に問題意識を持ってもらうためにもトラフィックは、2018年6月8日にいきものトークカフェ「南西諸島の生きものたちの未来 ~人による利用と影響~」を開催しました。 トークカフェには小学生からご年配の方まで定員を超える36名の参加者に加え、地元のメディア6社の参加者が、熱心に耳を傾けていました。

日本は世界第4位の生きた爬虫類の輸入国であり、ペット市場の広がりも示唆されて、外来種はより身近な生き物になりつつあります。しかし、こうしたペットとしての消費や取引が、日本固有の生きものを追い詰める原因の一つにもなっています。

トラフィックとWWFは、引き続きペット取引が爬虫類をはじめとする野生生物に脅威を及ぼすことのないように、また、世界自然遺産登録を目指すものの義務としても、行政、執行機関、企業、市民団体、住民が協力して世界の"ここにしかいない野生生物"を守るために意識することと、実効性のある保全対策を講じることが必要と考えます。

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