インドネシアの植林地にIFCC/PEFC認証 WWFが懸念を表明

スマトラ島にある製紙用植林地に対し、インドネシア森林認証協力機構、IFCCの基準に基づく認証が与えられました。しかしWWFは、これらの認証の信頼性についての懸念を発表しました。

2015年、インドネシアのスマトラ島にある製紙用植林地に対し、インドネシア森林認証協力機構、IFCC(Indonesian Forest Certification Cooperation)の基準に基づく認証が与えられました。IFCCは、国際的な森林認証制度であるPEFC(Programme for The Endorsement of Forest Certification)の相互承認を受けたインドネシアの機関です。

しかし、この地域の製紙用植林地の大部分は、自然の熱帯林を破壊して開発されたもので、その多くが地域社会との間に未解決の紛争を抱えています。そのためWWFは、これらの認証の信頼性についての懸念を発表しました。

スマトラ島の森林減少と植林地開発

かつては鬱蒼とした熱帯の森に覆われていたインドネシア、スマトラ島。そこにはトラやゾウ、オランウータンなどの絶滅が危惧される希少な野生生物が今も生息しています。

しかし、世界で最も速く森林が減少すると言われたこの島は、1985年からの30年間で半分以上の熱帯林が失われ、今も減少し続けています。その跡地には、広大な紙を生産するための植林地やパーム油を生産するためのアブラヤシ農園が多く造成されてきました。

自然の森が製紙用植林地やパーム農園へと転換されることにより、希少な野生生物と地域住民との間で衝突事故が起きたり、地域住民の安全や植林地を安全に管理するなど理由で、そうした野生生物が捕獲、毒殺されるなどの事例も報告されています。

また土地を利用する権利をめぐっても地域社会との紛争が生じているほか、地中に炭素を大量に含む泥炭湿地と呼ばれる湿地を植林地や農園として使用するために乾燥させることにより大量の温室効果ガスが排出されています。

さらに、この泥炭湿地を人為的に乾燥させた土地で毎年のように深刻になる火災と煙害は、さらなる温室効果ガスの排出、人々の暮らし、健康への被害が報告されています。

これらの問題への関与が指摘されてきた、製紙メーカー、APP(アジア・パルプ・アンド・ペーパー)社とAPRIL社(ロイヤル・ゴールデン・イーグルグループ)は、両社ともこれまでの操業のあり方を改め、長年にわたる森林破壊や泥炭地開発が社会や環境にもたらした負の遺産を改善に向かわせることを繰り返し誓約してきました。

しかし、現地で森林や企業の操業をモニタリングするNGOやWWFインドネシアは、依然として多くの問題が未解決のままであることを報告しています。

このような状況下で与えられた森林認証IFCC/ PEFCに対しWWFは、「これらの認証は、インドネシア最大手の両社による改善誓約に沿って森林や泥炭地が再生、保全、管理され、社会紛争が解決されたことの証拠とは言えない。そのことを市場に対して警告する」と懸念を表明しています。

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