『がん患者』だからこそできること。それは何なのか?

「がんになったから、できること」を考えて、アクションを起こしていくことのほうが、残された人生を楽しめるのではないかと思う。

不定期でブログを投稿させていただきます、西口洋平と申します。

妻と小学生のこどもを持つ、一般的な37歳男性です。

「ステージ4のがん」であることを除いては。

がんだと宣告されたときに、おぼえた孤独感。仲間がいない。家族のこと、仕事のこと、お金のこと...... 相談できる相手がいない。同じ境遇の人が周りにいない。ほんとにいなかった。

それなら自分で仲間を募るサービスをつくろうと、ネット上のピア(仲間)サポートサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を、2016年4月に立ち上げました。

子どももいて、地元には親もいる。仕事やお金...... 心配は尽きません。

そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そんな思いから、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行して、地道に活動を続けています。

キャンサーペアレンツのFacebookページで活動情報をアップしていきますので、「いいね」をお願いします。

取材記事

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『不幸にも35歳という若さで、ステージ4のがんと告知される。子どもは当時6歳。自身の残りの人生だけでなく、残されるもののことも考え、絶望に淵に立たされる。』

『かわいそうに』『これからが楽しくなるのに』『余生を楽しんでほしい』

とまぁ、がん患者の私へは、こんなイメージなんだろうと推測する。

確かに、不幸かもしれないし、絶望かもしれないし、かわいそうかもしれないし、余生を楽しむべきかもしれない。おそらく、自分ががんの当事者にならなければ、がん患者に対して同じように思っていたかもしれない。

だが、がん告知後も、治療を続けながら、元気に日常生活を送ることができ、仕事もできるし、食べたいものを食べられている。そんな状況で、「がん患者らしく振舞う」ことはしなくてよいのではないか。

「がんじゃなければできたこと」と「がんになったからできないこと」の差があまりないことに気づき、だったら「がんになったから、できること」を考えて、アクションを起こしていくことのほうが、残された人生を楽しめるのではないかと思う。

(もちろん、都合が悪いときには、うまく「がん」を利用することはあるが)

私は、2015年2月のがん告知から3ヶ月で職場へ復帰、抗がん剤治療をしながらの社会生活に慣れ、復帰から半年が経過した2015年も冬に、「キャンサーペアレンツ」の活動をスタートすることになる。

ふつふつと、「助けてもらいっぱなし」「気を使われて当たり前」「自分は何ができているのか」「このままでいいのか」という気持ちが沸いてきたからだ。

「キャンサーペアレンツ」の活動を通じて、様々なことに気づかされた。がんを取り巻く環境において、問題や課題はたくさんある。

その問題や課題に向き合っていくとき、がん患者が「言わない」こと、周囲が「聞かない」ことに起因することが非常に多いと気づいた。

私自身、がんであることをカミングアウトするときには、大きな勇気が必要だった。最初は、うまく言えなかった。言われた側も、うまく受け止めらなかったはず。お互いにはじめての経験であり、最初からうまくいくはずもない。

そして、がん治療と仕事との両立の中においても、困っていること、サポートしてほしいことをきちんと伝えること。周囲も、しっかりと受け止めて、サポートだけでなく、状況にあわせて役割を任せること。

そんなことが大事なんだと思うが、わかっていてもなかなか難しいのが現実である。しかし、言うことで、着実に前進していた。

つまり、がん患者が声にして伝えることができれば、必ず前進する。

周囲の人も、聞きたくないわけではなく、がん患者に聞きにくいだけであり、がん患者から伝えることができれば、「聞きたかった」「聞きたい」に変わっていくのではないかと思う。

私は、いちがん患者として、これからもアクションを起こしていきたい。そして、「キャンサーペアレンツ」を通じて、子育て世代・就労世代のがん患者の声を世の中に発信していきたい。

声を発信する機会を増やしていきたい。がん患者ができることが増えれば、行動そのものが、自分に返ってくると思う。自己肯定感を得られ、支援環境の改善、周囲の理解、そして、生きやすさにつながる。

がんになったからできないことが、たくさんあるのは事実。

がん患者だからこそできることが、たくさんあるということも事実。

がん患者が一歩を踏み出せば、がんを取り巻く環境は変わっていく。

こどもの世代に、「言いにくい」「聞きにくい」環境を残してはいけない。

「がん患者の声を届ける」という、いちがん患者である私だからできることが、私のがんと戦う原動力になっているのは、間違いない。

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