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2017年12月26日 10時48分 JST | 更新 2017年12月26日 10時48分 JST

膵臓がんと告知されたお母さんの日記(第22話:「普通の日記が書けない」)

死と関係ないことが、思いつきません。。

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不定期でブログを投稿させていただきます、西口洋平です。妻と小学生のこどもを持つ、一般的な38歳男性です。「ステージ4のがん」であることを除いては。

がんだと宣告されたときに、おぼえた孤独感。仲間がいない。家族のこと、仕事のこと、お金のこと......相談できる相手がいない。同じ境遇の人が周りにいない。ほんとにいなかった。

それなら自分で仲間を募るサービスをつくろうと、ネット上のピア(仲間)サポートサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を、2016年4月に立ち上げました。

こどももいて、地元には親もいる。仕事やお金...... 心配は尽きません。 そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そんな思いから、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行して、地道に活動を続けています。

キャンサーペアレンツのFacebookページで活動情報をアップしていきますので、「いいね!」をお願いします。

西口洋平

取材記事:36歳の末期がん患者が、娘に残すために始めた「最後の仕事」

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膵臓がんのナオさん。

2015年6月にがん告知を受け、手術や抗がん剤治療を経験。2016年に再発し、抗がん剤、放射線など様々な治療を行うものの、現在は無治療で生活。小学校一年生の息子さんと旦那さんの三人暮らし。

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ナオさんがキャンサーペアレンツに登録したのは、2016年9月。

発信するのは苦手とのことで、キャンサーペアレンツに登録するまではブログや日記などを書いたこともなく。そんなナオさんの日記を、ご本人の了承のもと、これから一つずつご紹介をさせていただきます。

第1話「はじめまして」コチラから

第2話「思い出の屋上」コチラから

第3話「旅行の効果」コチラから

第4話「息子の運動会に、思うこと」コチラから

第5話「放射線治療(一旦)終了」コチラから

第6話「角膜提供の話」コチラから

第7話「医療用麻薬、開始」コチラから

第8話「医療用麻薬、開始 その2」コチラから

第9話「生かされている、私」コチラから

第10話「今年の目標はただひとつ」コチラから

第11話「食欲の出し方」コチラから

第12話「がんになって、生きてる意味がわかった」コチラから

第13話「死ぬときは前のめり」コチラから

第14話「副作用と、生きること」コチラから

第15話「決断、死ぬまで生きる」コチラから

第16話「感謝/息子とがんの母」コチラから

第17話「がんを笑った息子」コチラから

第18話「36歳の終活」コチラから

第19話「死別と再婚」コチラから

第20話ホスピスは最期を迎えるための場所ではない?」コチラから

第21話死を待つ生活を送ること」コチラから

※キャンサーペアレンツは、子育て世代・就労世代のがん患者のコミュニティであり、様々な社会的な接点の中で生きています。こども、家族、仕事、地域、普段の生活、将来への不安。がん患者への偏見や誤解など、まだまだ「がんと生きる」ということに対する理解が乏しいというのが実態です。キャンサーペアレンツでは、ここに集う方々の意見を『声』として広く世の中に発信し、がんに対する理解を広げ、がんになっても生きていきやすい社会を実現すべく活動を行っています。

■投稿日

2017年9月25日(月)

■タイトル

普通の日記が書けない

■本文

前回の日記に、たくさんの『ありがとう(いいね)』をこちらこそ、ありがとうございました!!!

たくさんの方が読んでくださっている、という事実がすごく嬉しくて、少し、いやかなり、元気になりました。笑

いつも本当に、本当に、ありがとうございます。

キャンサーペアレンツ仲間のミーさんとLINEでよくお話するのですが、ミーさんに「次の日記書いてるの?」と聞かれ、「全然決めてないよ〜」と答えると、「あえて死とか一切匂わない、ふっつーな日記書いてみたら?」との返答が。

なるほど、死と関係ない日記か。たまにはいいかも。

死と関係ない。

関係ない。

関係ない.........?

考えても考えても、

...............死と関係ないことが、思いつきません。。

例えば、趣味。

お高いものではないですが、食器を集めるのが好きでした。

でも今は、食器を買うのは躊躇してしまいます。

私の死後、男二人暮らしで、そんなに食器が必要なはずもなく。

そしてどうしても気に入って買う場面でも、悩むのが、数。

みっつ、いや、ふたつでいいんじゃないのか。

夫の影響で好きになったのが、サッカー観戦。

ピクニックがてら、地元のJリーグクラブの応援に行ったりします。

スポーツってのは『移籍』や『監督交代』の話なんかがつきもので、友達や夫と話していて、自分でも「来シーズンはさぁ」なんて言っちゃってから、ハッとする。

来シーズン、観られへんやん......。

料理も好きなのですが、息子に「これおいしい!また作ってね」なんて嬉しいこと言われても、いつまで作ってあげられるかなぁ。

夫にレシピ残しておかないとなぁ。って、後ろ向きなことばかり考えてしまう。

一事が万事この調子で、何をしても『死』ばかりがつきまとう。

これは自分の行動だけでなく、相手の行動に対してもそうなのです。

私は某SNSを利用しているのですが、もともとそのSNSを頻繁に利用していない人が、

「ナオちゃんが元気かどうか知りたくて」と、私の投稿だけをチェックしていることがあります。

私はこの行為に、大変傷つきます。

ああ、この人は私がいつ死ぬかチェックしているんだ、と。

元気かどうか見守ってくれている、とはどうしても思えないのです。

同じく、遠方から私に会いに来てくれる人にも、「私がもうすぐ死ぬから会いに来るんだ」と考えます。

お見舞いに来てくれるんだ、とは思えない。

今まで何年も会わずにいた人なら尚更で、「この人は最後のお別れに来るんだな」と思います。

私の中で、まわりで、ぐるぐると『死』が渦巻いています。

少なくとも、治療を続けているときはこうじゃなかった。

まだ自分でも「死ぬなんて口に出しちゃダメだ」という、ブレーキのようなものがあった気がします。

治療をやめると、治ることがありません。

そのことはしっかり理解していたはずなのに、頭ではわかってるんやけど、つい『死』の存在を常に感じてしまう自分。

そのことを、嫌という程思い知った、ミーさんとの会話でした。

**

でも最近、『死』を忘れさせてくれる対極の出来事もありました。

8月に結婚10周年を迎えました。

私は、散々な10周年やね、と笑っていたのですが、夫は忘れずにいてくれました。

私の大好きなアクセサリーブランドがあるのですが、そこの指輪を贈ってくれました。

小箱に添えられたメッセージカードには

『ずっと一緒にいよう』

と書いてあり、涙が止まらなくなりました。

普通の夫婦が言う『ずっと一緒に』とは違う。

どんな気持ちでこの言葉を書いたのでしょうか。

指輪だって、死んじゃうのに、もったいない...... 現実的

でも、本当にありがたかったです。

息子とふたり、ケーキも用意してくれ、幸せを噛みしめる楽しい10周年となりました。

ここまで生きててほんとによかったなー。

息子とも最近は『コード・ブルー』を一緒に観ていて、

「灰谷先生ガー!」「挿管ー!」「骨盤骨折キター!」と

大変盛り上がっています(夜遅いので、翌日にね)。

一緒に医療ドラマなんか観られるようになったんやなー。

このひとときもまた、『死』を忘れる大事な時間でした。

家族に感謝です。

なるべく『死』を忘れるときがたくさんありますように。

けれど、『死』を実感するときもたくさんありますように。

生きてるから『死』を感じるんだということも忘れずに。

気持ちはいつもぐちゃぐちゃに絡まりますが、

結論、まだ死にたくないと思える人生に感謝ですね。

抗がん剤をやめてから4ヶ月経過。

私の旅はどこまで続くのかな?

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■「コメント」の数:20

(第23話へつづく)

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