膵臓がんと告知されたお母さんの日記(第13話:「死ぬときは前のめり」)

私には私の味方をしてくれる人がいっぱいいるのだから、安心して生きればいいんだ、と思えました。

不定期でブログを投稿させていただきます、西口洋平です。妻と小学生のこどもを持つ、一般的な37歳男性です。「ステージ4のがん」であることを除いては。

がんだと宣告されたときに、おぼえた孤独感。仲間がいない。家族のこと、仕事のこと、お金のこと......相談できる相手がいない。同じ境遇の人が周りにいない。ほんとにいなかった。

それなら自分で仲間を募るサービスをつくろうと、ネット上のピア(仲間)サポートサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を、2016年4月に立ち上げました。

こどももいて、地元には親もいる。仕事やお金...... 心配は尽きません。 そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そんな思いから、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行して、地道に活動を続けています。

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西口洋平

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*****************膵臓がんのナオさん。

2015年6月にがん告知を受け、手術や抗がん剤治療を経験。2016年に再発し、抗がん剤、放射線など様々な治療を行うものの、現在は無治療で生活。小学校一年生の息子さんと旦那さんの三人暮らし。

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ナオさんがキャンサーペアレンツに登録したのは、2016年9月。

発信するのは苦手とのことで、キャンサーペアレンツに登録するまではブログや日記などを書いたこともなく。そんなナオさんの日記を、ご本人の了承のもと、これから一つずつご紹介をさせていただきます。

※キャンサーペアレンツは、子育て世代・就労世代のがん患者のコミュニティであり、様々な社会的な接点の中で生きています。こども、家族、仕事、地域、普段の生活、将来への不安。がん患者への偏見や誤解など、まだまだ「がんと生きる」ということに対する理解が乏しいというのが実態です。キャンサーペアレンツでは、ここに集う方々の意見を『声』として広く世の中に発信し、がんに対する理解を広げ、がんになっても生きていきやすい社会を実現すべく活動を行っています。

■投稿日

2017年3月11日(土)

■タイトル

死ぬときは前のめり

■本文

昨日は抗がん剤と放射線治療の効果判定の日でした。いつまで経っても慣れない造影CT...

昨日の判定では、少し腫瘍が大きくなっているとのこと。腫瘍マーカーもだんだん上がってきていて、今使っている抗がん剤に耐性がついてきたのでは、ということでした。うん。薄々わかっていましたが、、

主治医からこれまでにも「使える抗がん剤はあと一剤しかない」こと、「その抗がん剤(FOLFIRINOX)は副作用がかなり強い」ということ、「チャレンジする選択肢も、やらない選択肢もある」ということを遠回しに伝えられてきました。自分なりにFOLFIRINOXについて情報収集もしてみました。

私の気持ちは「やらない」に傾いていました。

もうしんどい思いしたくない。

次の抗がん剤だって延命でしかない。

延命にすらなるかわからない。

ベッドで苦しむだけで何もできない、治療費がかかるだけの妻/母親になんの意味があるだろう?

そんなことを、ぐるぐるぐるぐる考えていました。

まぁ、簡単に言うと、半分あきらめてたわけです。

昨日は私が最後の診察だったので、久しぶりに主治医とゆっくり話せました。

私の主治医は患者の気持ちを大事にしてくれる優しい先生で、再発告知のとき、私が治療をやめたいと言ったとき、そして昨日、大事な決断の場面はいつも、どんなに忙しくても、ちゃんと時間を取って話を聞いてくれました。

昨日も30分以上はしゃべってたなぁ(・_・; ほぼ雑談で笑ってばっかりでしたが。笑

もちろん、次の抗がん剤に関わる大事な話もたくさんできました。

死生観、先生が今まで診てきた患者さんのこと、がんは何が起こるかわからない病気であること、治らないだろうなぁと思っていた患者さんが治ってしまった話。膵臓がんの残酷な現実もきちんと伝えつつ、心が折れてしまわないように少しだけ希望のある話も混ぜてくれました。

そして「よく考えてきて。息子さんの入学式が終わったら、教えてね」と。

病院から家まで、考えながら歩いて帰りました。ほぼ「NO」に傾いていたFOLFIRINOX。

でも昨日は「やってみようかな......」と思いました。

先日、キャンサーペアレンツのオフ会で、いろんな状況を抱えていたり、克服したりした皆さんとお会いしました。その日から少しずつ、自分の気持ちが変わってきたことに昨日気づきました。皆さんのお話を聞かせてもらって、私これでいいのかな?と思ったのです。

みんな私よりもっと大変。

でも誰も投げやりなこと言わない。

もちろん、投げやりになる日もあるでしょう。

ずっと前向きな人なんかいない。

でも皆さんが、自分よりかっこよく見えたのです。

治る/治らないじゃない。死なないことが勝ちではない。

そうじゃなくて大事なのは今、どんな風に生きるかなんじゃないのか?

チャレンジしなくてどうする!

どーーーしてもしんどかったら、やめればいいや。

半分あきらめていたけれど、キャンサーペアレンツで出会った皆さんと主治医のおかげで、チャレンジしてみようと思えました。治らなくても。延命にもならなかったとしても。

帰って夫や息子、両親にも相談しましたが、みんな「とりあえず一度はやってみるのがいいと思う」と

言ってくれました。

私は膵臓がんで、まだ35歳で、幼い息子がいて、すごく不幸に見えるかもしれない。

でも私には私の味方をしてくれる人がいっぱいいるのだから、安心して生きればいいんだ、と思えました。

がんばろ。

がんばります。

死ぬときは前のめりだ!

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(第14話へつづく)

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