完全ローテク育児 - 1

たいして立派な育児方針などなくやってきましたが、ひとつだけ何度も易きに流れそうになりながら貫き通してきたことがあります。

今週、長男が4歳になります。

たいして立派な育児方針などなくやってきましたが、ひとつだけ何度も易きに流れそうになりながら貫き通してきたことがあります。 それは我が家では、子どもが一緒にいる時間は液晶画面を搭載したテクノロジー(テレビ・DVD・パソコン・iPhone・iPadなどすべて)を一切禁止しているということ(例外がひとつだけあるので、後ほど)。 テレビはもともとないし、iPadは子どものおもちゃになるのが目に見えているので買わず、パソコンとiPhoneは私と夫は子どもと一緒にいる間は使用禁止。

きっかけは長男が1歳半のときに起こった『iPhone中毒症』の事件でしたが、長男の行動を観察しながら見直した結果、すべて禁止にしました。

特に、雨の週末や兄弟喧嘩がひどいときなど「どれだけテレビやiPhone見せれればラクか」と何度も思いましたが、今ではないのが当たり前の生活になっているので、頑張った甲斐があったのかなーと思っています。 次の山場は長男が小学校に入り、友達が見ているテレビ番組が見られないことを文句言うときでしょうか(笑)。

完全禁止の理由は2つ。

(1) 子どもと一緒にいられる時間は限られているので、テレビなど中毒性が高いメディアを見せている時間がもったいないこと

(2) 子どもを観察した限り益より害の方が遥かに大きそうであること

まず1つめ。

イギリスではEYFS(The Early Years Foundation Stage、早期基礎段階)という0歳から5歳(義務教育就学)までの乳幼児期のケアと早期教育のガイドラインがあり、ナーサリー(保育園)もそのガイドラインに従っています(モンテソーリなど独自カリキュラムがあるところもあります)。 乳幼児の発達・学びの枠組みとして6領域があり、ナーサリーの保育者はこの枠組みに沿ってカリキュラムを組み、個別児童の評価を行います(『幼児教育・保育における「自己評価」の検討 - イギリスの評価システムに注目して - 』(四天王寺大学)という日本語レポートに詳しくあります)。

1. 個人的・社会的・情緒的発達

[人間関係の構築]、[自信と自覚]、[感情と行動のコントロール]

2. コミュニケーションと言語

[人の話を聞くこと]、[言語の理解]、[話すこと]

3. 身体的発達

[動作と操作]、[健康と自分のこと自分でできること]

4. 読み書き

[読み]、[書き]

5. 計算

[数と計数]、[形・空間・計測]

6. 世の中の事物に対する知識と理解

[周りの人々とコミュニティ]、[世界]、[テクノロジー]

(この評価基準がいいとか悪いとか絶対的なものはないのでしょうが)これだけの領域を全人的に人間形成が必要な幼児期に、上記テクノロジーアイテム(iPadなどの早期教育アプリを含め)は何を助けてくれるのかと考えてみました。 2. の言語の理解、4. の読み書き、5. 計算、などは学習アプリでできそう。

次に、親だからこそできることを考えてみました(自分が得意でもなく好きでもないことをやるのはリソースの無駄)。 2. 4. 5. は確かに結果が数値化できて目に見えやすいのですが、プロの保育者でもできそうだ。 むしろ親の出番は「家族で過ごすという楽しい経験」や「ナーサリーの小さい園内ではできない外の世界の体験」であり、1. 2. 3. 6. なのではないかという気がします。

また日頃ナーサリーではいろいろやっているのであれば、休日くらいは好きなこと・得意なことを思う存分やればいいんじゃないかとも思います。

そこで、うちでは何をしているかというと、まずなるべく兄弟で遊ばせる。 言葉で言うのは簡単ですが、実際はまだ次男が1歳半で放っておくとすぐおもちゃや絵本の取り合いになるのでしょっちゅう親の介入が必要。 DVDでも見せておけばラクなのにと思いながら、年の違う子と上手に遊び譲り合うスキル、子どもたち同士で話し合って解決するスキルは絶対必要なので、しょっちゅう叫んで2人を引き離しながらなるべく見守っています。

そして休日はとにかく1日中、外に出る。 長男はおそろしくエネルギーがあり余っているので、外でくたくたになるまで遊ばせます。 ストライダーかスクーターに乗って公園か河沿いに行き、ボール遊びをする、森みたいなところで探検ごっこする、のが定番。 雨の日はロンドン市内の博物館(子ども向けのところはとても多い)。 一緒に料理や掃除をするのも好きなので、自分でやれば早く済むところを休日は一緒にやります。

平日は朝8時から夕方5時半までナーサリーなので、それ以外の時間はなるべく手抜きをせずに一緒にいる、五感に刺激を与える(体験型にする)というポリシーでやってますが、まあラクではありません。 『子連れバカンスを劇的にラクにするTips』のような環境が日常的に整っていれば、どれほどラクかと思います。

長くなったので2つめは次回。

(2014年3月12日「世界級ライフスタイルのつくり方」より加筆・修正して転載)

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