キャリアアドバイスになってないアドバイス

ブログをやっているとよく相談メールを頂きます、特にキャリア相談。 メール自体は大歓迎なのですが、私に相談されても何も出てこないです。

ブログをやっているとよく相談メールを頂きます、特にキャリア相談。 メール自体は大歓迎なのですが、私に相談されても何も出てこないです。 だって、20代は日本企業でガンガン「輸出型キャリア」(こういうのです→『キャリアの下り方 - 1』)に邁進し、月の半分は海外出張、フランスでMBAまで取ったのに、子どもが産まれた後はさくっと建築インテリアデザイナーになるために一から学校で学び直したんですよ。 何も考えてなかったの丸出しじゃありません?(正確には、何も考えてなかったんじゃなくて、当時の私じゃ考えてもわからなかったのだが)

相談者が学生でキャリア相談を受けた場合、私はざっくりこんな風に思っています。

まず、私の就職なんて十ウン年前の話なのでそんなの聞いても意味ないです(フローレンス駒崎さんのこれすごくお勧め→『日経新聞:若者よ、君の20年後の飯の種は「今存在しない仕事だ」』。 「若者は基本的にイタい」、ってところがサイコー。 うん、私もイタかった、苦笑)。 世の中には若者つかまえて講釈垂れる暇な大人が沢山いるらしいので、精神論語る暇なオヤジも無視していいです。

私が重要だな、と思うのは、分野によりますが世界では高学歴化が進み、ある分野のトップレベルに近づこうとすると大卒では不十分、修士卒が求められるケースが多々あること(→『就活中の学生へ - 1』)。 分野によると思うので各自調べてください。

そして人のキャリアの軌跡を聞いてTwitterでRTして「ためになった」とか言ってずに、ケーススタディはほどほどにして、自分でバッターボックスに立った方が遥かに得るものがある、ということ。 二次体験はしょせん二次体験でしかないし、自分とは違う個性である他人の一体験談が(例えそれまでのバックグラウンドが酷似していても)、自分にも当てはまるかなんてやってみなければわかりません。

前向きな挑戦であれば、世の中、取り返しのつかない失敗なんてほとんどないし、そもそも失うものもたいしてありません。 多くのことはやってみて好きか嫌いかわかる、という種類のものだと思います(古賀洋吉さんのこれ→『愛の日記:経験が情熱を生む』)。 私だってロンドンに来る前はデザイナーになるなんて思いもしなくて、こんなエントリー(→『人生とはやりたいことを探し続けるプロセス』)書いてたくらいで、行動する人・発信する人のところに人や情報は集まってきます、情報を集める人のところではなく。

最後に、「他人の目から見て見栄えのするキャリア」を選ぶのはやめましょう。 私は数年前の就職人気ランキングで文系男子1位だった財閥系総合商社と理系男子1位だった電機メーカーに勤めたことがあります。 そのまま日本にいたら(そして男だったら)さぞかし見栄えのする(見合いウケする)キャリアだったでしょう。

そのマッチョなキャリアのまま欧州で同等の職に就こうとしたら「20代ヨーロッパ人男性・ハーバード(or オックスフォード)大卒・INSEAD MBA・トライリンガル・24時間働けます」な人たちとガチンコ勝負になり、子育て中のライフスタイルにも合っていなければ、その仕事に対する情熱がないこともわかりキャリアチェンジしました。

「見栄えのするキャリア」は何か壁にぶつかったとき、その壁を突破できるだけのエネルギーを生み出しません。 「安定した企業」も同様(→『統計を参考に個人のキャリアを決めてはいけない』)。

というわけで、人に聞いたところで答えは出てこないので、駒崎さんのコラムにあるように、思い切り背伸びして、「イタい」と言われながら、10年後・20年後の仕事をクリエイトしていけばいいと思います。

(2013年12月17日「世界級ライフスタイルのつくり方」より転載)