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2018年09月26日 10時42分 JST | 更新 2018年09月26日 10時42分 JST

自分の子どもにお金ではなくあなたの時間を「投資」してみませんか?

そんなにすぐにうまく関係が作れるはずがない。

 私は16年間海外で暮らし、2016年に新潟県南魚沼市の故郷にUターンした。帰郷して一番大変だと思うことは、近くに暮らす80歳の父親との関係だ。会話が全くかみ合わず、時には怒鳴り合いの喧嘩になることもある。

 父と息子なのに、なぜ関係がスムーズにいかないのだろう。いや、よく考えたら、関係がうまくいく方が不思議ではないか。私の両親は共働きで、私は生後45日で託児所に預けられた。父親は当時、公立病院の院長をしており、毎日仕事で忙しく、2人でどこかに出かけた記憶はほとんどない。同じ屋根で暮らしてはいたが、ほとんど会話という会話をせずに、私は高校生になり海外へ飛んだ。

 別の国で人生の半分を過ごした私と、日本に80年暮らした父が、人生35年目にして、初めて定期的に会話をするようになった。そんなにすぐにうまく関係が作れるはずがない。

 そこで考えてみた。よく、子どもを大学まで行かせたいなら、教育資金が1000万円必要とか言われるが、親は子どもにどれくらいの時間を「投資」すべきなのか?よく、男性の育児参加は、男女平等の観点から語られることが多いが、経済的効果から分析した論考はあまりない。父親が子どもに投資する時間は、どれくらいの経済効果を生むだろうか?いや、逆に言えば、父親が子どもに十分な時間を捧げなかった場合、どれくらいの経済的損失がありうるのだろう。

 私は父親と喧嘩する度、結構な精神的ストレスを受け、その日の仕事に集中できないこともある。喧嘩して、話し合って、メールのやり取りをして、謝って、また喧嘩してと、それに費やした時間を、仕事に使えてたら、どれくらいの収入に変わっていただろうと思う。

 私には2歳の長男と0歳の次男がいる。私は平日の朝と夕と週末は仕事を入れないようにし、最低週60時間は育児に「投資」している。平日朝は長男の朝ご飯、着替え、オムツ替え、保育園の登園準備に送迎。長男が朝5時とかに起きたら、妻の睡眠を邪魔しないよう、近くの公園で遊んだりもする。平日夕方5時からは、長男の送迎、妻が料理している間、2児の子守り。次男を抱っこ紐に抱えながら夕食を食べ、妻がお風呂に入る間、2児を子守りしながら洗濯をし、妻と次男のお風呂が終わったら、今度は私と長男がお風呂に入る。そして妻が次男の寝かせ付けをし、私が長男の寝かせ付けをする。

 小さい子どもがいたら稼がなければいけないと言うが、私の収入は、子どもがいない時の半分以下。でも、私はお金ではなく時間を投資することで、それだけの経済的見返りがあると信じている。

 まず、私が会社勤めではなく、個人事業主になったため、保育園から「熱が出ました」との呼び出しコールにも対応可能だ。そのため、学生である妻の単位取得への影響を最小限にとどめることができる。もし、妻が留年でもしたら、1年分の学費がかかるうえ、その1年分の妻の収入がなくなり、数百万円の損失になる。

 それだけならまだいい。私が育児に関わらないことで、夫婦関係が悪化したり、妻が育児ノイローゼになった場合の経済的損失は計り知れない。休学や通院にかかるコストだけじゃない。その後、自信を喪失した妻が、子どもや同僚との人間関係に悩むことになれば、仕事を転々としなければいけないかもしれない。子どもの前で、私たちがいつも喧嘩していたら、子どもが精神的に病んで、学校に呼び出されたり、病院に一緒に行かなければならなくなるかもしれない。妻が安定した収入を得ることが難しくなるばかりでなく、子どもの経済的自立も遅くなるため、養育費が増額することもありえる。

 2人の娘がいる知人女性は、子どもが幼い頃、夫が海外に駐在していたため、ワンオペ育児で2人を育てた。ストレスから子どもに暴力を振るうことがしばしばあった。下の子が小学生になって軽い自閉症と診断され、高校の教師だった女性は職場復帰することなく、この子の育児にすべての時間を費やした。その子どもはすでに20代後半だが、仕事には就けておらず、いまだに養育費がかかっている。本来なら収入となるはずの女性の15年分の年収が差し引かれ、本来は必要のない娘の10年分の養育費がかかってしまった。数千万円の損失である。

 無論、夫が一緒に育児をしていたら、違う結果になっていたという保障はない。100パーセントのリターンが保障される投資なんてありえないのと同じことだ。

 でもこれだけは言える。育児ほどかけた時間だけ明確なリターンがくる仕事はないと思っている。時間をかけた分だけ子どもはなついてくれるし、愛情が深まっていくのがわかるのだ。私の父親がしっかり稼いだくれたおかげで私は海外で勉強することができた。それはいつも感謝している。

ただ、稼ぎを5パーセント減らして、その分、私との時間を増やしてくれていたらなあ、と思ってしまうことも時々ある。もう80歳だし、親孝行しなくてはいけないとは頭でわかっているのだけど、、、。