政治家のレベルを底上げするために、私たちができることは

政治家が、わかりやすいスピーチができないことは日本にとってとても大きな損失だと思う。
黒岩揺光

私たちが選ぶ政治家って、何でこんなにコミュニケーション能力が低いのだろう。今回の公文書書き換え騒動で、財務省が書き換えを認めた直後、麻生財務相は、辞任した佐川前国税庁長官の人事について「適材適所だった」と言った。かと思えば、次の日には、「(文書書き換えの)最終責任者は当時理財局長だった佐川」と言った。公文書書き換えの責任者が適材適所のはずがない。支離滅裂もいいところだ。

私はこれまでのブログで、安倍首相の会見や小池都知事の党首討論でのスピーチの質が低いことを指摘してきた。人前で話すことが重要任務の一つであるはずの政治家が、わかりやすいスピーチができないことは日本にとってとても大きな損失だと思う。

現在の政権を支持する人たちが一番多く掲げる支持理由が「他よりよさそうだから」である。要するに、人材が極端に不足しているのだ。なぜ担い手がいないのか?様々な要因があるだろうが、私は、人前で自分の主張を話すことを好む人が少ないからというのも、大きな理由の一つだと思っている。私が「人前で話すのって楽しいよね」っていうと、日本では結構な確率で変人扱いされてしまう。

私も、昔は演説するのが大嫌いだった。日本は人前での話し方を学ぶ機会が乏しく、小学校や中学校では、毎週の様に全校集会でつまらない校長先生の話を黙って聞かされてきた。15歳で渡米してからは、英語に自信がなかったから、もっと嫌いになった。授業で発言するなんてほぼ皆無だった。

それが、大学3年生の頃、転機を迎えた。「パブリックスピーキング」という講義で、人前で話す方法を実践方式で学んだ。週一回の講義では、毎回、学生全員が皆の前でスピーチをし、教授や他の学生からフィードバックをもらった。スピーチの構成、声やジェスチャーの使い方、目線などについてアドバイスをもらっていくうち、自分のスピーチが上手くなっていくことを実感できた。以降、私は講義中の発言回数が一気に飛躍し、クラス内で仲の良い友達ができるようになった。

色々な人とのコミュニケーションを楽しめるようになった私は、9カ国に16年滞在し、毎日新聞や国連で働き、一昨年日本に戻った。就職面接も、国際会議も、結婚式も、自分の講演会も、とにかく、人前で話すことが楽しくて仕方ない。にも関わらず、日本では人前で話すことが罰ゲームみたいになってしまっている。この楽しさを一人でも多くの人と共有したいと思い、個別コミュニケーション指導塾「寺小屋オンライン」を立ち上げた。人前で話すのは嫌だけど、式典や面接で話さなくてはいけなくなり、どうしたらいいかわからない方、是非、いつでもご連絡してきてください。

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