今年3月のワールドベースボールクラシック(WBC)で活躍したサムライジャパンの主力選手たちが、レギュラーシーズンで不振に陥っている。これについて、日本の野球界はしっかり総括し対策を取らなければ、次から出場してくれる選手がいなくなるのではないか。
WBCで日本代表は全部で7試合戦った。ほぼ毎試合先発出場して打線を牽引したヤクルトの山田、広島の菊池、DENAの筒香、日本ハムの中田、巨人の坂本、ソフトバンクの松田の去年と今年の成績を比べてみた。
6選手の昨年の平均打率は299。しかし、7月10日時点の今年の平均打率は264と大幅に調子を落としている。一般的に打率は打数を重ねるほど下がっていくものだから、今年のシーズン終了時にはさらに下がっている可能性がある。
6選手のうち、昨年の打率を上回っている人はおらず、2年連続トリプルスリーの山田は打率223とセリーグで最下位だ。昨年本塁打王の筒香は5月末までの46試合で4本しか本塁打を打てなかった。
WBCで正捕手だった巨人の小林は、打率が1割台で規定打席に到達できず、日本代表どころか巨人の正捕手の座に居座ることすら危うくなっている。
投手も心配だ。WBCで多くの投球回数を投げた、巨人の菅野、ソフトバンクの千賀、ロッテの石川のうち、規定投球回数に達しているのは菅野だけ。千賀はケガで2度戦線離脱し、石川は1勝8敗と不調。
昨季までチームの主力だった山田や石川の不調が影響しているのか、ロッテとヤクルトがそれぞれ各リーグの最下位に沈んでいる。
平成の怪物として知られたソフトバンクの松坂が2009年のWBCに出場して以来、全く活躍できなくなったことは野球ファンの記憶に新しい。
そしてそれ以降、メジャーリーグの日本人選手のWBC出場が激減し、このままだと日本のプロ野球選手も出場を辞退するようになってしまうかもしれない。
世界の野球チャンピオンを決定するイベントに野球大国の日本の選手たちが出場したくなくなるのだとしたら、これこそ大問題だ。他の国の野球制度はどうなっているのか?日本の制度が選手に無理をさせていないか。
松井秀喜や黒田博樹などのスター選手がWBC出場を拒み続けた理由は何なのか。私が批判し続けている甲子園制度を含め、WBCが日本の野球のあり方を考え直す良い機会になってくれることを期待したい。