新生児育児を満喫しよう その8 日本では新生児をなぜ家に閉じ込めるのでしょうか?

日本では生後一か月までは新生児はママと一緒に家の中にいることを推奨されています。

私は2016年、長男出産後に前妻を亡くしたため、産後の育児を夫婦で楽しむという経験ができませんでした。翌年に今の妻と再婚し、2018年4月23日、次男が無事に誕生しました。前妻とは成しえなかった、夫婦の共同育児を今度こそ満喫しようと思います。

日本では生後一か月までは新生児はママと一緒に家の中にいることを推奨されています。新生児の免疫力がまだ低いことや出産で疲弊したママの体力回復などが理由です。しかし、欧米では、逆に、外で新鮮な空気を吸うことは赤ちゃんにとってもママにとっても良いことだと推奨されています。無論、人混みや急激な気温の変化などを避けるという注意喚起はされますが、「一か月検診までは家の中でゆっくり休みましょう」というようなことは言われません。

毎日何かしらの運動をしなければいけない「運動オタク」の私にとって、「1か月間、家の中で過ごしてください」と言われることは、拷問以外の何物でもありません。丸一日家の中にいるだけでも、気が滅入ってしまいます。さらに、そこに、生まれたての赤ちゃんがいたら、なおさらです。

シングルファザーとして長男が生まれた直後から育児に携わりましたが、何をしても泣き止まない長男を外に連れ出したり、車に乗せたりすると、泣き止むことが頻繁にありました。新鮮な空気や車の振動が、長男と私、両方を救ってくれたのです。

病院から退院後は、自分たちで食事作りをしなくてはいけません。しかし、1歳の長男と新生児を抱えながらは大変です。次男の生後10日目、私は妻に、「今日昼ご飯、どこかに食べに行こうか?」と尋ねてみました。妻は「レストランに行って、帰ってくるだけなら、長い時間外にいるわけじゃないし、そこまで体の負担にならないからいいよ」と返答しました。「病院ではずっと運ばれてくる物を食べるだけだったから、自分で好きな物を選んで食べてみたい」とのことです。私が車を運転し、食事中は私が次男を抱っこし続ければ、妻にかかる肉体的負担はほとんどありません。家の中にいたって、トイレに行ったり、シャワーを浴びたりするわけで、体を動かす量はほとんど変わりません。都会と違って、田舎は人混みに入り込むなんてことはまずないため、赤ちゃんへのリスクもそこまで高くありません。

私たちは、長男が保育園に行く平日の昼休み、週に2回ほど外食するようになりました。次男は私が抱っこ紐で抱えながら食べ、妻にはできるだけリラックスしてもらいました。そうすると、妻が「昨晩は3時間おきにお乳をやったの」とか、「夜はうんこがはみ出して」とか、家にいるときよりも、口数が増え始めます。恐らく、家にいると、私も妻も「あ、洗濯しなきゃ」「あそこの掃除しなきゃ」「晩御飯どうしよう」などと常に考えてしまうため、なかなか夫婦でゆっくり話すことができません。育児中の親にとって家は「仕事場」です。サラリーマンが職場で家族とゆっくり話せないのと同じです。

三日前は、イタリアンに行きました。そしたら、妻が「私、絶対産後うつになると思っていたの」と話し始めました。私が「なんで?」と聞くと、「去年、お母さんが亡くなったでしょ。赤ちゃんと二人きりになったら、お母さんがいないことばかり考えてしまうようになると思っていた。でも、ようこうが、入院中に個室に移してくれたり、常にそばにいて話を聞いてくれたり、こうやってレストランに連れ出してくれたり、子どもを抱っこして寝かせてくれたりしてくれるから、何とかやってこれている。ありがとう」と言ってくれました。嬉しいですね。

「生後一か月間は家の中で休みましょう」というのは、赤ちゃんとママの体調を気遣ったメッセージなのかもしれませんが、実際は、このスローガンこそ、赤ちゃんとママを追い詰めているのかもしれません。