安保法制と特定秘密保護法の組み合わせで起こりうること

7月16日、安保法案が衆議院を通過した。強行採決だった。国民の理解が得られていないと言われる。でも私は、国民はだんだん理解してきていると思う。だから世論調査でも、反対が増えているのだ。

7月16日、安保法案が衆議院を通過した。強行採決だった。

国民の理解が得られていないと言われる。でも私は、国民はだんだん理解してきていると思う。だから世論調査でも、反対が増えているのだ。

法案の最大のキモでもある、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」の認定要件についてさえ、安倍総理の答弁は、採決の日までぶれ続けた。

そして答弁に窮すると、最後はいつも「総合的に判断する」と言う。

こんな基準では、時の政権の裁量で、何とでも武力行使ができてしまう。

さらに、昨年から施行された特定秘密保護法がある。

武力行使をするに至った経緯の詳細が「特定秘密」に指定されてしまえば、仮にアメリカへの攻撃を契機とした戦争に参加することになったとしても、一体どうして参戦することになったのか、その真実は国民に知らされることなく永久に闇のままとなってしまう可能性が高い。

攻撃が本当にあったのか、どちらが先に撃ったのかを客観的に確定することは実は簡単ではない。過去の歴史を振り返ると、いわゆる自作自演で戦争を開始した例も少なくない。

だからこそ、武力行使の要件を法律上明確にして「歯止め」を設けると同時に、戦争のきっかけとなった経緯(他国に対する攻撃の実態など)について、国民が知り、検証できる仕組みが必要なのだ。

しかし、今回の法案では、集団的自衛権が行使できる「存立危機事態」の認定要件はあいまいなままだし、特定秘密保護法では、何を特定秘密にするかは「行政の長の裁量」に大きく委ねられている。

だから、武力行使には、原則、国会の承認が必要と法律に書いていても、特定秘密保護法で国会議員が知ることも制限されれば、正しく承認しようがない。

要は、他国への攻撃を契機とした他国間の戦争に、「日本の存立を脅かす明白な危険がある」と言われて、「知らないうちに」、「よく分からないうちに」日本が巻き込まれていく可能性が否定できない法体系になっている。

ここに憲法違反の疑いの本質がある。

これまでも法案の採決が強行されることはあった。しかし、これほど問題の多い、そして憲法違反が指摘される法案が強行採決されたことは初めてだろう。

これから何ができるのか、廃案にするにはどうすれば良いのか。

今、私は本気で考えている。

たまき雄一郎ブログより転載)

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