「京都議定書」と「パリ協定」を世界で最初に批准し、地球温暖化対策の鍵を握る国は?

太平洋上に浮かぶ、海抜の低い島国にとってみれば、地球温暖化による海面上昇はまさに死活問題です。

1. 世界最速の批准国

1997年のCOP3(Conference of the Parties : 国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)で決まった「京都議定書」。

それから18年後。2015年のCOP21で決まった「パリ協定」。

190カ国以上が気候変動枠組条約に加盟していますが、京都議定書とパリ協定、ともに世界最速で批准している国があります。

です。

海の上に浮かぶBar@フィジー

太平洋上に浮かぶ、海抜の低い島国(ツバルやキリバス、フィジーなど)にとってみれば、地球温暖化による海面上昇はまさに死活問題です。

今月初め、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明。

フィジーの首相は「温暖化に脆弱な国の市民にとって深い失望」との声明を発表しました。

実際、フィジーでは毎日のように気候変動の記事が紙面をにぎわせており、普段は温和なフィジー人たちも怒りをあらわにしています。

今回のパリ協定離脱について、近所に住むフィジー人(31歳・男性・銀行員)に感想を聞いてみたところ、

「自己中心的すぎる。米国の雇用状況改善のために地球環境を破壊するなんて馬鹿げてる。僕たちはそのとばっちりを食らってる」と。

2. 世界初! 環境難民の受け入れ表明

2014年、フィジーの大統領は水没の危機にあるキリバスを訪問し、キリバスの国土が沈むようなことがあれば、キリバス国民全員をフィジーで受け入れる覚悟がある旨の発言をしました。「我々は困っている隣人に背を向けることはない」と。

また、2015年、フィジーの首相はツバル(世界で最初に沈むと言われている国)を訪問し、同様の受け入れ宣言をしています。

3. 小さな国の大きな挑戦

2016年2月、フィジーは南半球史上最強のサイクロン(ウィンストン)に襲われ、電柱や大木が倒れ、多くの家が倒壊し、人命(44名)も奪われてしまいました。あれから1年以上経ちましたが、いまだに復興が遅れている地域も多くあります。

サイクロン被害を受けた家

フィジーだけでなく世界的に起きている異常気象がもたらす自然災害は、温暖化が原因の1つとされています。COP22の期間中、フィジーの首相は「トランプ氏は態度を改め、指導力を発揮すべき。フィジーを訪問し、温暖化の脅威をその目で見て欲しい」と訴えました。

「二酸化炭素の排出量」の世界トップ5は、中国、アメリカ、インド、ロシア、日本です。フィジーの排出量なんて微々たるものです。

今年11月にドイツのボンで開催予定のCOP23ですが、フィジーは議長国という大役を務めることになりました。地球の命運をかけた、小国による命がけの挑戦は続いていきます。

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