【ご提案】『子どもの日』はすべての大人が子どもの未来を考える日にしませんか? Vol2

貧困状況で育つ子どもたちは、どんなに頑張っても「チャンス」が巡って来ない社会になっています。

『子どもの日』は、子どもがいる人もいない人も、子育てを終えた人もこれからの人も、すべての大人が子どもたちのすこやかな成長を願う日にしませんか?

みなさんに、子どもたちのことを考えていただくきっかけとして、2010年より低所得の子どもたちに向き合ってきたキッズドアの現場で見られる子どもたちの様子を、ショートエッセイにして5月1日から毎日1話ずつ、7話連続で配信します。

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<子どもの貧困ショートストーリー>

第2話:「お母さんにこれ以上無理させたくない」

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「本当は大学に行きたいけれど、やっぱりお母さんにこれ以上無理はさせられないんです。」

無料学習会に通うBちゃんはスタッフとの進路相談でうつむきながらつぶやきました。彼女は非常に優秀で、成績は常にトップ。卒業式では生徒代表にも選ばれるような子でした。

Bちゃんのお家は母子家庭で、生活保護を受けています。

実はキッズドアの学習会に通ってくださるご家庭の半数以上が母子家庭。

日本では子どもを持った女性が再就職する際、正社員の職につく事が難しく、低賃金のパート労働や不安定な派遣労働につかざるを得ません。

養育費を受け取っている家庭は2割もなく、お母さんが働き詰めてなんとか生活をやりくりしています。その結果、体を壊される方も非常に多い。

「母子家庭でお母様が働いていない」のはご病気などで「働けない」ご家庭なのです。

Bちゃんの夢は「教師になること」。そのためには大学に行く事が必要です。

優秀なBちゃんなら、将来国立大学に進学する事も十分可能です。なんとかBちゃんの夢を叶えたいと、スタッフもボランティアさんも情報収集し、Bちゃんと一緒に様々な検討をしました。

生活保護を受けているご家庭でも、「世帯分離」という仕組みを使えば大学進学は出来ますが、学費や食費など生活にかかる費用はすべてBちゃんがアルバイトで稼いだり、奨学金を借りなければなりません。

お母さんの生活保護費も減額です。大学進学は出来ますが、二人にとってますます厳しい生活が何年も続く事になります。

「お母さんにこれ以上無理はさせたくないんです。」

最終的に彼女は進学の道を諦め、商業高校へ進むことを決めました。

「一度就職してお金を貯めて、それからいつか大学へ行って先生になりたいです。」

と話してくれたBちゃん。まずはいい就職が出来るように、高校で勉強や資格取得に励んでいます。

給付型の奨学金があればBちゃんも大学進学を目指したかもしれません。

どんなに成績が優秀でも,今の日本では「貧困の連鎖」から抜け出す事は難しい。貧困状況で育つ子どもたちは、どんなに頑張っても「チャンス」が巡って来ない社会になっています。

Bちゃんとの出会いは、私たちに学習支援だけではなく、社会の制度を変えていくことの必要性も教えてくれました。

Bちゃんがいつか教師になる夢を叶えられる様、私たちもずっと見守り続けたいと思います。

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♪♬♪祝!子どもの日WEEK♪♬♪

『子どもの日』はすべての大人が子どもの未来を考える日にしよう

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