10兆円超の経済対策ー低所得子育て世帯への特別給付で内需拡大と中小企業支援を!

この少子化の時代、最も国に貢献し、まっさきに褒められ優先されるべき人々が,最も苦しんでいるというおかしな現象を引き起こしている。

参議院議員選挙が終わり、公約にあった経済対策、アベノミクスを加速させるために10兆円超の経済対策を実施するそうだ。

①「1億総活躍社会」の加速化につながる政策

②21世紀型インフラ(社会資本)整備

③中小企業支援などの英国EU離脱問題対策

④熊本地震や東日本大震災からの復興・防災強化

の4点が盛り込まれるらしい。

私は、この経済政策のひとつとして、低所得世帯の子ども一人当たり10万円の特別給付を行うことを提案する。対象は18歳以下(高校生相当)の子どもまでを対象にするべきだ。日本では児童手当も15歳までしか支給されないが、一番お金がかかるのが高校生。アルバイトにも限度がある。ぜひ高校生までを対象に一人当たり10万円を支給して欲しい。

低所得家庭の子どもへの現金支給がどれほど素晴らしい効果を出すか、ここに挙げてみよう。

1.確実に消費に回るので、デフレ脱却インフレ効果がある

低所得の子育て世帯は、本当に厳しい生活をしている。預貯金がほとんどないようなギリギリの家庭もたくさんある。配った現金は間違いなく、日々の食費や生活費、子どもの学費や入学準備金(制服や体操服など)で使われる。

生活保護や就学援助世帯にも入学準備金などは支給されるが全額が出るわけではなく、個人負担が相当な額があり、本当に皆さんご苦労されている。このような必要性の高いところに現金を配れば確実に消費に回る。

高齢者に3万円を配ってもタンス貯金が増える確率が高いが、低所得子育て世代なら、確実に消費につながる。

2. 中小企業や小売業への経済対策になる

配ったお金の大半は、食費や日々の生活用品、洋服やインテリアなどの必要品、そして教育費に回る。スーパーなどの小売り業や生活用品を扱うドラッグストア、高級品ではない衣料品店、家具店、塾などの教育産業、そして制服やランドセル、学習机、辞書や参考書、本、電子辞書やパソコンなどに回る。スマホを買って、勉強動画を見たり、アプリで勉強するようになるかもしれない。

ようやく家にインターネット回線をひいて、家でパソコンを使って勉強したり、いろいろな事を調べられるようになるかもしれない。

たまには、外食できるようになるかもしれない。

子育て世帯の消費の大半は、日々に直結したものであり、小売り業や中小企業がその消費の恩恵に預かれる。

自動車や住宅減税などはまったく恩恵に預かれない世帯でもあり、現金給付が最適である。

3.子ども一人当たり10万円のインパクトが多子家庭サポートにつながる

国の最重要課題である少子化対策。現状日本では、子育てと教育への国の財源負担が少ないために、子育てにかかる費用のほとんどは、親の負担になっている。一人一人の子育てに多額のお金がかかるために、「産み損」というような、子どもを持てば持つほど困窮に陥るという、大変な事態になっている。

この少子化の時代、最も国に貢献し、まっさきに褒められ優先されるべき人々が,最も苦しんでいるというおかしな現象を引き起こしている。

まじめに夫婦で一生懸命働いても、生活費が足りず、子どもたちに十分な教育を受けさせる事が出来ず、大学進学もままならず……という負の連鎖に陥りやすくなる。

こういう状況の中で、どうやって子どもを沢山産もうと思えるか?

たった、一度の経済対策ではあるが、子どもの数だけ手当がもらえるのであれば、子どもがたくさんいて良かったとちょっとだけでも実感できる。高齢者特別給付金だって、一人当たりで配ったのだ。子どもへの特別給付を世帯にではなく、子ども一人一人に配って欲しい。

4.保育園を作るのとは違って確実に実行できる

1億総活躍社会の実現のために、女性の社会進出は非常に重要であり、待機児童問題が喫緊の課題であることに異論はない。率先して取組むべきである。

ただ、保育士の待遇改善,給与を上げることなどは恒常的な課題であり、緊急の経済対策と馴染みが悪い。保育園を作ることはとても良いが、こちらは既に予算が十分あるのに、住民の反対で作れないという状況であり、お金ではすぐに解決できない。保育園を作るために近隣住民に多額の協力感謝金を払うとか、それういう方策はあるかもしれないが、あと味が悪い。

それにくらべて、低所得世帯の子どもに特別給付金を配ることは、誰の反対もなく確実に実行できる。

今回、選挙の際にも言われた「庶民に恩恵がないアベノミクス」という汚名を払拭するためにも、今回の経済対策の目玉として、低所得世帯の子どもたちへの特別給付金10万円を是非実現して欲しい。

どこに給付のラインを引くかが難しいが、例えば住民税の課税額などを基準にしてはどうだろう。子育て世帯で、住民税が15万円以下(これだと夫婦で子ども2人で年収500万円以下ぐらい)あたりではどうだろうか?

児童のいる世帯の平均年収が約673万円であるから、平均を大幅に下回っており決して贅沢ではないだろう。6人に1人の子どもが貧困状況にある日本だからこそ、対象を絞り過ぎるのではなく、きちんと必要なところにインパクトのある金額で届くようにすることが大事である。

参議院選挙では、各党が子育て世代への支援、子どもの貧困への取組みを訴えてくれた。今こそ、それを形にして国民に示し、選挙に行って良かった、と思ってもらえるチャンスである。

現状、地方の港湾整備、農産物の輸出促進のための加工施設建設など、業界団体からの意向を強く感じさせるメニューがならんでいるが、ぜひ、そこに子どもへの支援を加えていただけるよう、強くお願いする次第である。

みんな! まずは、子どもにお金を回してもらおう! ぜひ、経済対策の目玉として、子育て世代への支援を多いに期待する。

あわせて、政府には緊急の経済対策ではない部分でも、子どもの貧困対策や給付型奨学金の創設などには積極的に取組んで欲しい。

引き続き、現場の声をお伝えしながら、よりフィットした政策になるよう、国民全体がきちんと見届けていくことがとても大事だと、あらためて感じている。

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