日本の子どもの貧困問題 広告費2億円を考える PART2

もし、あなたが、子どもの貧困に使われてた広告費2億円に対して「無駄遣いだ、やめたほうがいい」と思っているとしたら、あなたは一体、何に対して怒っているのですか?

〜「子どもの貧困」や「子ども・若者支援」を政争の具にしないということ〜

先日投稿したブログ

は、おかげさまで多くの方にお読みいただきありがとうございます。いろいろな意見もいただきました。

今一生様からは、ブログでご返答もいただきました。

やはり、私の拙い文章では言いたいことがうまく伝わらなく歯がゆいばかりですが、再トライしてみましたのでぜひお読みください。

確かに、広告費2億円で寄付が2,000万円弱しか集まっていないこと事態は決して褒められるべき事ではありません。

もっとうまいやり方もあるでしょう。

それでも私があのブログを書いたのは、皆さんに「子ども」について、もう一度冷静に考えていただきたいからなのです。

もし、あなたが、子どもの貧困に使われてた広告費2億円に対して

「無駄遣いだ、やめたほうがいい」

と思っているとしたら、

あなたは一体、何に対して怒っているのですか?

子どもの貧困のために2億円の広告費が使われたことを怒っているのですか?

それとも、2億円という税金が投じられたことに怒っているのですか?

2億円もかけて2,000万円しか寄付が集まっていない、コストパフォーマンスの悪さに怒っているのですか?

確かに,非難されるべき税金の使い方かもしれません。しかし、税金の無駄遣いは、これだけですか?たくさんの税金を使って成果が上がっていない事なんて、他にもたくさんあるのではないでしょうか?

なんで、子どもの未来応援基金の広告費だけ、国会議員がフリップまで使って質問して、さらにそれをメディアが,これ見よがしに取り上げるのですか?

例えば、オレオレ詐欺の名称変更に一体どれだけの費用がかけられたのでしょう?

「母さん助けて詐欺」に名称変更しましたが、

などという不名誉な称号を与えられています。

さらにその後の被害も、名称変更した2013年も、2014年も、被害額も被害件数も増加しています。

これなんて、コストパフォーマンス悪いとかいう問題じゃないでしょう?

じゃ、どこかの議員が国会で

「母さん助けて詐欺なんて名称変更までして○億円も使ったのに、名称も定着してないし、被害も減ってないし、どんな無駄遣いなんだ」

と質問しましたか?

メディアがこんなに派手にとりあげましたか?

「あんな金を使うなら、あの広告費を被害者の弁償に使った方が良かった」

とか、みなさん、考えた事ありますか?

私は、いつも思うのですが、どうして日本国民は、子どもの事に対するお金だけ、あんなに厳しく見るのでしょう?

民主党政権の子ども手当のときも(私は子ども手当賛成派です)子どもに対する現金給付を増やしても、それがちゃんと教育に使われるかわからない。子どもだけに使われずに、家族の食費になるかもしれないし、そのお金で旅行に行ってしまうかもしれないし、親の酒代やパチンコ代になるかもしれないから、子どもへの手当はダメだ、と多くの、本当に信じられないぐらい多くの人が言っていました。

でも、お金に色はついていません。子どもへの給付に使われるお金も、高齢者の年金の補充に使われるお金も同じ税金なんですよ。

平成27年度は、一般会計から11兆1,116億円のお金が年金の補充に使われています。(http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2015pdf/20150302089.pdf)これも同じ皆様から集めた税金です。

高齢者の方々が、年金でお酒を飲んだり、パチンコをしたり、世界一周旅行に行ったり、グルメをしたりしても、誰も文句をいいません。そして、多くの方は、年金をもらっても貯金をしています。

食べ盛りなのに満足に食べられない子どもがたくさんいて、パートの仕事を2つも3つも掛け持ちしてそれでも全く生活に余裕がなくて、子どもに十分な教育を受けさせることができない家もたくさんあって、夏休みに給食がなくなると体重が減ってしまう子どもや、虫歯になっても歯医者に行けない、目が悪くなっても眼鏡をつくれないような子どもや、どうしてもお金が用意できないから友達と一緒に修学旅行に行く事をあきらめなければならない子どももたくさんいるのに、「財政が厳しいからそこに回すお金はない」と切り捨てられています。

その一方で、税金を年金という形で支給してもらって、それを貯金している方がたくさんいらっしゃいます。

私は、「だから年金を減らせ」と言いたいわけではないのです。

みなさんに、子どもも高齢者も公平にみてください、と言いたいのです。

「2億円」というお金が無駄遣いだというのなら、子供の未来応援国民運動の広告費よりも、もっともっと無駄なお金はたくさんありませんか?

国会議員を減らすのはどうでしょう?

もろもろあわせると、議員1人に1億円/年ぐらいのお金がかかるそうです。民主党さんと自民党さんが政権争いをしていた時には、どちらの党も

「うちは国会議員を3分の1減らします」

「いやいや、うちは2分の1にします」

と威勢のいい事をいっていたではないですか?

私は、いつ国会議員の数が減るのだろうと、ワクワクしてまっているのですが、一向にその気配はありません。「1票の格差」にすり替えられて、6人減らす、いや8人だとしょぼい話にいます。

野党の議員の方々には、子どもの貧困の広告費2億円が無駄だと質問する前に、

「議員定数はいつ削減するんですか?」

と与党を責め立てて欲しいと心から思っています。

私は今度配られる、低所得高齢者への一律3万円の支給をやめたほうがよっぽどいいと思います。あれは3400億円ですよ。

2億円なんてしょぼい話じゃありません。

3万円を高齢者に我慢してもらって、それを子供の未来応援基金に入れればいいんです。

そうすれば、3400億円の基金が出来て、年利0.1%で運用しても毎年3.4億円を使えます。年利1%で運用すれば、34億円です。

せっかく質問の時間が使えるのなら、2億円じゃなくて、3400億円を少しでも減らすように質問するなり、交渉するなりした方が、金額換算すればよっぽど「コストパフォーマンス」がいいと思いませんか?

なんで、子どもの分の無駄遣いは質問して、高齢者の方は質問しないのでしょう?本当は、子どものために使われた2億円を無駄だといいたいんじゃなくて、与党の失敗(私はまだまだ失敗だとは思っていませんが)をこれみよがしに取り上げるためじゃないのかしら?高齢者のことを言わないのは、やっぱり選挙が控えているから?などと考えてしまいます。

確かに、もっと良い広告方法があるかもしれませんし、反省するべき点もあるでしょう。だけど、そういう視点で見れば。ほかにも同じような、それ以上の無駄遣いは一杯あると思います。

もう一度冷静に考えてください。一体何に怒っているのですか?

子どもの事にお金が使われたから怒っているのですか?

みなさんは普段意識していないから気がつかないかもしれませんが、日本では「子ども」の事にお金を使おうとするときだけ、国民全体から反対運動とでもいうようなバッシングがおこります。

「そんなお金は無駄だ。」「ちゃんと使われるかどうかわからない」

そういう声を聞いて、日本の子どもは

「自分たちは大切な存在だ」

と思えるでしょうか?

貧困の子どもたちをどうにかしようと使った2億円を、貧困の子どもたちのために作った基金を、ものすごく無駄遣いのように声高に論じられて、子どもたちは楽しく生活できるでしょうか?

確かに2億円は大きな金額です。しかし、6分の1の子どもが貧困状況にあるのです。その子達を少しでも良くするために使ったことに日本国中あげて「けしからん」と言ったら、貧困状況にある子どもたちは、ますます声をあげられなくなります。自分たちは邪魔な存在だと感じてしまいます。

みなさんは、テレビや新聞や、SNSから流れてくるそういう情報に触れる子どもたちの事を考えたことがありますか?

ようやく高校に入って、仕事で大変なお母さんを少しでも助けるために、たくさんバイトをして,疲れて帰ってきてテレビをつけたら「子どもの貧困対策 無駄だ」とかいうニュースが流れていたら、どんな気持ちになりますか?

本当に無駄なのは、何なのかを論じることもなく、子どものお金に関してだけ、それも2億円という、他の無駄遣いよりもよっぽど額が小さいものをとりあげて、なんでわざわざみんなで無駄無駄の大合唱をするのはどうしてなのですか?

私は本当に理解に苦しんでいます。

2億円が惜しいと思うのなら、高齢者に配るお金を、一律3万円から、2万5千円に減額しませんか?

それだけで567億円 余裕が出ます。

今、国会周辺を賑わしている「保育園落ちたの私だ!」のデモも同じではないでしょうか?。待機児童問題は、政府も重要だと考えているし、行政も保育園を作るための予算をつけています。

それなのに、保育園は増えないのです。なぜなら、保育園を作ろうとすると

「子どもが来るとうるさいから,保育園を作るな」

という反対運動がおきるのです。

ゴミ焼却場やパチンコや火葬場が出来るというのなら反対運動もわかりますが、保育園に対して反対運動があるなんて、私はびっくりしました。

待機児童の原因は、政府ではなくて、「子どもはうるさい」と思っている私たち市民の意識の問題ではないでしょうか?

ベビーカーを押していると邪魔者扱いされ、電車の中では畳みなさいと言われる(これは畳まなくて良くなって本当に良かった)、マタニティマークをつけていると

「妊娠は病気じゃないのに、座ろうとしている」

と、まるでマタニティマークをつける事を悪い事のように言う。

こんな国が他にあるでしょうか?

子どもを産んで良かったと思えるでしょうか?

みなさん、少子化を率の問題として捉えますが、実は数のほうが重要です。

1973年の第2次ベビーブームで209万人産まれていた赤ちゃん(第一次ベビーブーム1949年は269万人)が、2014年には100万人です。予測によると2050年には55万人です。

赤ちゃんが55万人になった社会を想像してみてください。その中で女性は半分、27万人しかいません。ここから出生数100万人(つまり今年です)に戻そうとしたら、全員が4人産まなければならないんですよ。

少子化は本当に国の存亡をかけた問題ですし、日本の赤ちゃんはすでに絶滅危惧種に一歩足を踏み込んでいると言っても過言ではないと思っています。

今ならまだ、間に合うかもしれません。

すべての子どもが、いきいきと成長して、みんな「子どもを産みたい」と思えて、若者には、結婚して出産できるだけの所得を得られる仕事を作って行けば、まだ間に合うかもしれません。

残念ながら、子どもは自分たちで声を上げられません。大人のやることに理路整然と反論する知識も技能もありません。選挙権だってないのです。

ただ、じっと大人の発言を、テレビやネットから流れているニュースを見たり聞いたりしているだけです。

OECD加盟25ヵ国の15歳に実施した調査によると、日本の子どもは、29.8%の子どもが「孤独だ」と感じており、これは2位のアイルランド(10.3%)、3位フランス(6.4%)と比較しても突出しています。

子どもたちに、このような深い孤独を感じさせているのは、私たち大人であるということを噛み締めて、もう少し自分たちの発言や行動を考えてみることが大切ではないでしょうか?

アメリカではスクールバスは救急車よりも優先されるそうです。

==引用===============================

アメリカでよく見かける黄色いスクールバス。スクールバスはどんなときでも優先となります。前方を走っているスクールバスが停車し、赤いフラッシュが点滅したら、後続車は停車しなければいけません。またスクールバスが対向車線にいて停車した場合にも、バスの側面から赤いSTOPのサインが出ているので、停車しなければなりません。小学生の乗降が終わり、スクールバスのフラッシュライトとSTOPサインが消えて動きだせば、発進可能です。

===============================

誰かが書いたブログに「いいなぁ」と思ったことがあります。

いろいろな問題を抱えるアメリカで、しかしどんなビジネス街でも、スクールバスが停まり、STOPのサインが出ると、全ての車が子どもたちが安全に渡りきるまで停まっている。この様子を見ると、「この国の未来は大丈夫だ」と幸福な気持ちになる、 そんな内容でした。

アメリカでは「チルドレンファースト(子ども最優先)」ということが当たり前になっているそうです。だからこそ、子どもが熱を出せば、どんな大事なミーティングでもキャンセルすることを誰もとがめないそうです。

日本では、どうでしょう?

万引きの記録ミスで,高校入試であり得ない間違いをおこし、その結果自殺をしているのに、「反省しています」などという陳腐な言葉が出るだけで、未だにだれも責任をとっていないことに、非常に違和感を覚えます。

毎日のように,虐待のニュースが流れます。

こんな国で、子どもは幸せになりますか?

もし、国の無駄遣いを責めたいのなら、コストパフォーマンスの悪さを訴えたいなら、もっともっと額が大きくてインパクトのあるものはたくさんあるのに、なんで「子どもの貧困の2億円」だけが,国中からバッシングを受けなければならないのでしょうか?

アメリカが「チルドレンファースト(子ども最優先)」なら、まるで日本は「チルドレン ラスト(子どものことは最後に)」というような振る舞いに戸惑いを覚えるのです。

私が長々とブログで言いたいことはそういう事なのです。

最後に、今一生様からは、私どもキッズドアの活動やHPの内容に関しても厳しいご意見をいただきました。すべては代表を務める私の力不足でございます。私に対するご批判は甘んじて受けますが、現場で日々、子どもや保護者と向き合うスタッフやボランティアの方々は、本当に子どもたちのために、献身的に活動くださっております。どうか、最前線のスタッフやボランティアに不利益が生じない様、子どもたちへの誤解が生じないように願うばかりです。

日本の子どもの貧困問題 広告費2億円を考える PART1 はこちらです。

もっと、日本の子どもの貧困を知りたいと思ってくださったなら、

子どもの未来応援プロジェクト

ぜひ、私たちの活動を知ってください。

NPO法人キッズドア http://www.kidsdoor.net/

3月14日、15日には,子どもの貧困に関わる団体が15団体も集まるシンポジウム「Kids' Day JAPAN」があります。無料です。ぜひ来てください。

https://www.facebook.com/events/1133750863302464/

例えば、高校生がこんな素敵な子どもの貧困のサイトを作ってくれました。とても読みやすくわかりやすいので、ぜひ見てみてください。

(なんとコンテストで最優秀賞,文部科学大臣賞などをとったそうです)

SITK子供貧困サミット

まずは知る事です。

そして、とにかく何かしたいと思ったら、まずは月々1000円からのキッズドアのマンスリーサポーターになってみませんか?

クレジットカードがあれば、今すぐネットからできます。

子供の未来応援基金に、あなたが寄付することもできるのですよ

自分は、「子ども」に対してどうしたいのか、政争の具として切り取られた一部の事だけをみるのではなく、もう少しだけ真剣に考えてくださると本当にうれしいです。

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