米ネット広告市場でついに主役交代が、「検索からディスプレイへ」と「PCからモバイルへ」

大きな主役交代劇が米国のインターネット広告市場で起こっている。

モバイル広告費がデスクトップ(PC)広告費を昨年初めて追い抜いた。続いて、ディスプレイ広告費が検索広告費を今年中に初めて追い抜く。このような大きな主役交代劇が米国のインターネット広告市場で演じられていることを、今週公表されたeMarketerの資料が語っている。

インターネット広告を長く牽引してきた検索広告が、今年中にもディスプレイ広告に首位の座を引き渡す。eMarketerの予測によると、それぞれの広告費の推移は図1のように変わっていく。

(データ:eMarketer)

図1 米国の検索広告費とディスプレイ広告費

ディスプレイ広告には一般のバナー広告だけではなくて、伸び盛りの動画広告やネイティブ広告、リッチメディア広告も含んでいるため、今後とも高い成長率を見込んでいる。2016年には321億7000万ドルに達し、300億ドルに届かない検索広告費を抜き去ると見ている。ただ意外だったのは、検索広告がまだまだ成長を続けると予測されていることだ。後で述べるが、モバイル向けの検索広告費の急成長が支えていくようである。

もう一つの「PCからモバイルへ」の交代劇は、すでに知られているように昨年の話である。図2に示すように、一気にモバイル広告がデスクトップ(PC)を抜き去った後も、その差をドンドン引き離していく。少し前まで、広告単価の低いモバイル広告の将来を不安視する声もあったが、今やその心配を払しょく、これからはモバイル広告がインターネット広告の主役の座に就くことになる。

(データ:eMarketer)

図2 米国のモバイル広告費とデスクトップ広告費

検索広告費と動画広告のそれぞれについて、モバイルとデスクトップに内訳して広告費を予測していたので、それを図3のようにグラフ化した。目立つのは、モバイル(大半がスマホ)の検索広告費が勢いよく伸び続ていくことで、これならグーグルも安泰と言えるのかもしれない。注目の動画広告費(デスクトップ動画+モバイル動画)は、2015年が74億6000万ドル、2016年が95億9000万ドルになるという。それぞれ、全インターネット(デジタル)広告費の12.8%、14.3%を占めるようになる。皆が動画広告に注力するのもうなずける。デスクトップ広告は頭打ちで低迷しているが、動画広告費だけは図3で示すように伸び続けそうである。やはり、迫力のある動画広告は大きな画面のデスクトップで展開したいためか。

(データ:eMarketer)

図3 モバイルおよびデスクトップ別の検索広告費と動画広告費

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