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2015年01月16日 22時07分 JST | 更新 2015年03月17日 18時12分 JST

中国、最大のイベント「春節」を前に景気低迷の予兆?

多くの中国人が心待ちにする年間最大のイベント「春節」であるが、中国の政権担当者にとっては祝ってばかりもいられない状況は今後も続きそうである。

 皆様は年末、どのような過ごし方をされただろうか?実家に帰ったという人もいるだろうし、旅行に行ってきたという方も多いだろう。いずれにせよ日本人にとってお正月は一年で最も長い休暇のとれる特別な時期のひとつだ。

 一方、お隣の中国でこの日本のお正月にあたるのが春節(旧暦のお正月)であることはよく知られている。この春節の時期は中国において、一年で最も消費が盛り上がりを見せる時期でもあることはよく知られている。しかし2015年の春節は近年と異なる様相を見せており、2015年の中国経済変調の兆しかとささやかれ始めている。今回は春節を前にして変調のみられる中国経済についてみていきたい。

世界中へ影響を与える春節の中国人消費

 前述の通り、そもそも春節とは旧暦におけるお正月であり、2015年は2月18日から24日迄がその期間に相当する。この期間には中国国内だけでなく、世界中の中国人が帰省し、家族や友人とお祝いをして過ごすのが一般的だ。そして例年、この時期にはプレゼント消費が盛り上がりを見せ、特にシャネル、エルメスなどの高級品が一年で最も多く売れるのもこの春節の時期である。また近年の高級品についての「倹約令」のため、海外在住中国人が故郷に帰る際に、これらの高級品を「お土産・プレゼント」として海外で購入する場合も多く、日本でもこのような春節消費の恩恵を受ける百貨店が少なくない。

 このように、近年、春節の時期の中国人消費は日本をはじめとした世界中の消費にも大きな影響を与えているのである。またこのような民間消費だけではなく、この時期は企業の投資が活発化する時期でもある。例えば、資源開発向けに需要大きい建機においても、売上の40%が春節の時期に集中するなど、メーカーにとって非常に重要な時期となっている。

今年の春節は例年と光景が異なる?

 しかし、今年はこの光景が少し異なったものになるかもしれない。その理由はこれまで中国経済を牽引してきた消費の伸びの鈍化が明らかになりつつあるからだ。これを示すのが9日、中国統計局から発表された2014年の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数である。2014年のCPIは2.0%の上昇にとどまり2009年以降最低となっており、3.5%以内という中国政府が掲げる目標をも大きく下回る結果となった。また2014年の卸売物価指数は前年比1.9%減、特に12月は前年同月比でマイナス3.3%と下落幅は拡大傾向にある。

 さらに前述の建機についても、需要低迷が明確になっている。この傾向は2014年の春節以降、徐々に顕在化が始まっており、2014年3月期の中国建機市場はピーク時の2011年3月に比べ4割減となっているとされる。

 このような状況により、中国建機メーカーの多くがターゲット市場の見直しを迫られており、市場拡大を狙った海外展開もここ最近急速にすすんでいる。

 これら指数の下落に見られる、企業活動の停滞は近年の中国における電力消費量の推移にも表れている。昨年7月、中国国家エネルギー局の発表では、前年比での電力消費量低下が明らかとなっている。この電力消費量は、中国経済の動向を見る上で極めて信頼性の高い指標であるといわれており、中国経済減速を示す、もう一つの象徴であるといえるだろう。

中国国内のインフラ投資の減速が大きな要因

 このような物価下落や需要低迷の背景にあるのが、中国国内でのインフラ投資の減速である。シャドーバンキングによる隠れ債務の増加は近年大きく問題しされていたが、中国の地方政府による債権の新規発行抑制が始まっているのだ。例えば、江蘇省と新疆ウイグル自治区の地方政府がインフラ投資会社による新規債権を「保障しない」方針を打ち出すなど、すでに債権新規発行中止は数百億円に上ると言われる。この措置が、今後の中国経済にとっての大きな減速要因となることは間違いないだろう。

 また、不動産販売の不調も、鉄鋼、セメント、建材、家具など関連産業の消費減速の要因となっている。

 もちろん、中国政府もこのような経済減速に対し手をこまねいてばかりではない。昨年9月には、中国人民銀行が住宅市場のテコ入れのため、住宅ローン優遇策をさらに11月には、銀行貸し出と預金の基準金利引下げを発表した。これらの目的は不動産市場の急激な落ち込みを防ぎ、景気を下支えすることであるのは間違いない。

 そして、このような政策の影響もあってか、中国の住宅在庫水準もピークであった2014年7月の18.7ヵ月から、11月には14.6ヵ月と落ち着きつつある。

 このような数字を根拠に住宅販売市場が大幅に下振れするリスクが限定的との見方がある一方、この2015年は上記の利下げをはじめとする「アメ」と倹約令、新規債権発行などの「ムチ」をバランスよく使いこなすことが求められる非常に難しい局面に入ったことも確かである。習政権がこの局面にうまく対応することができなければ、一気に経済のバランスが崩れ、景気低迷につながる可能性も大きい。

 多くの中国人が心待ちにする年間最大のイベント「春節」であるが、中国の政権担当者にとっては祝ってばかりもいられない状況は今後も続きそうである。

(ZUU online)

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