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中国の大気汚染:精子の数や不妊率に悪影響か

2013年11月11日 13時57分 JST | 更新 2013年11月11日 13時57分 JST

中国が、環境より経済を優先してきたツケを払っている例については、これまでも紹介してきた。スモッグのために学校が休校になったり、8歳の子供が肺がんと診断されたり、人口密集地域でこれまでにないほど空が暗くなったりなどだ。

しかし、中国の将来にとってさらに厄介な悪影響が生じつつあるのかもしれない。男性の精子に影響が出ている可能性があるという報告があるのだ。

『テレグラフ』紙が11月7日付けで報じたところによると、上海にある精子銀行が入手する精子のうち、世界保健機関の基準を満たしているのはわずか3分の1だという。精子銀行がある上海の瑞金医院(Ruijin Hospital)に所属するリ・チェン博士は、2012年にこの問題についての研究報告を出し、過去10年にわたる環境の悪化が精子の状態悪化につながっていると述べている。

さらに、中国の国営通信社、新華社が2012年末に報道したところによると、出産適齢期にある人々の不妊率は、20年前には3%だったが、現在はこの率が約12.5%まで上昇しているという

医学界では以前から、大気や水の汚染レベルの上昇と男性の繁殖力の低下には相関関係があると疑われてきた。だが、実際の影響や、女性の受精率に対する悪影響の度合いははっきりしていない。

精子の減少が大々的に注目されるようになったのは、『China Business Review』が、「スモッグは人間の生殖能力と免疫機構に影響を与える可能性がある」と題する記事を公開した11月5日のことだった。この記事は、中国気象局中国社会科学院が発表したレポートを取り上げ、気候変動の進行と、地球に有害な二酸化炭素排出を減らす方法について説明するものであり、受精率については少しだけ触れた程度だったが、PM2.5などの影響を人体の画像を掲載して具体的に表示したことで、人々の懸念をかきたてた。

この記事の内容は、人目を引こうとしてやや大げさに書かれていたかもしれないが、受精率は、大気や水の質の著しい低下によってもたらされる数々の健康問題のひとつに過ぎない。肺がん、免疫不全、心疾患、死亡率の上昇など、他にも問題はあるのだ。

この数年、中国では汚染指数の急激な増加が見られている。中国政府は、石炭の使用や、道路を走る車の数に制限を設けているが、効果は得られていない。さらに政府は、汚染レベルを下げた自治体に現金を給付するといった策まで講じているが、効果はほとんど上がっていない。

『ニューヨーク・タイムズ』紙は、経済成長は環境を犠牲にしなければ成し遂げられないものではないと指摘している。だが、健康への懸念が拡大する中で、政策の転換が行われるかどうかは、中国が何に優先度を置き、どの程度政府の決定に対して市民に負担を負わせるつもりなのかにかかっている。

[ Antonia Blumberg(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

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