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「東京ゲームショウの主役はコンパニオンではない」 ゲーム会社社長が怒りをぶつける理由とは

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日本最大級のTVゲーム展示会「東京ゲームショウ」のあり方について、ゲーム業界内部から苦言を呈する声が出て大きな話題になっている。

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東京ゲームショウ2016のコンパニオンを撮影する人(Bloomberg via Getty Images)

福岡市のゲーム会社「サイバーコネクトツー」の松山洋(まつやま・ひろし)社長(45)が「“キャバクラゲームショウ”やめませんか?」と題したブログを9月19日に発表した。松山社長は、18日まで開催された「東京ゲームショウ2016」で女性コンパニオンの肌の露出が多すぎることに対して「露出の高い美女でお客様を釣るのはやめようぜ」と訴えた。

東京ゲームショウと言えば、美しいコンパニオンが多数登場することでよく知られ、各ニュースサイトもコンパニオン画像集の記事を掲載している。ハフポスト日本版も9月15日に「コンパニオンの美しさには仮想現実もかなわない」という記事を載せた。

そんな中で、すでにTVゲーム業界の慣習ともなっている「東京ゲームショウのコンパニオン」に松山社長はなぜ切り込んだのか。27日にサイバーコネクトツー社の東京スタジオで直撃した。


■「ここまでエスカレートすると問題にしないとおかしい」

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サイバーコネクトツーの松山洋社長

――あのブログを書いた経緯は?

今から5年ほど前に中国でゲームのイベントがありました。オンラインゲームを中心に、幕張メッセのような大きな会場できらびやかなブースを作っていてすごい熱気でした。たくさんの人だかりで、「これはすごいな」と近づいてみると、ゲームの試遊機はガラガラで、水着というか、ほぼ裸のコンパニオンの女性が立っていて、その撮影に人が群がっていました。「なんだこのイベントは!」と思いましたね。ブースの盛り上がりを作るためとはいえ、何を売りにするかという主従関係が逆転していました。こんなにゲームをないがしろにするようなイベントに二度と参加するまいと思っていました。

肝心の東京ゲームショウもここ3〜4年、年々ちょっとずつ女性コンパニオンの衣装の露出度が上がってきています。どこかの会社が始めたらそれが盛況だったので、他のゲーム会社も続くようになってしまった。

「中国のようにならないといいな」とずっと思っていました。もちろん頑なに一線を守っているメーカーがある一方で、大手のゲーム会社にも2〜3年くらい前からは露出の多いものを着るところがでてきました。今年のゲームショウに行ったら各社がもっとエスカレートしていて、これはあかんなあと思っていて。

――ゲーム画面撮影ができないから、コンパニオンを撮っているという意見もありましたが

それがどうしたって話ですよね。ゲーム画面が開発中だから撮影禁止というのは、各社さんがレギュレーションで決めている話であって、だから「撮るものがない」とは、何をしに来てるんだって話ですよね。ゲームショウに来たよっていうSNS用の写真なら、玄関の写真でも撮って帰ればいいじゃないですか。写真撮影会ではないのに、なぜ何かを撮って帰らないといけないのかなと。

――その場でしかできない体験をするためのイベントだということですね

そうですね。周りにもよく「(あなたの意見に)賛否両論ありますよね?」って言われますが、賛否の否ってありますか? 私は全く感じないですね。賛同する意見ばかりだなと感じていました。ただ、何でも揚げ足を取る方はいて、「写真を撮るものがない」という人や「東京ゲームショウは子供向けじゃなくて大人のためのイベントなんだから、大人向けでいいじゃん」という人もいた。大人も楽しんで良いけど、子供も楽しんでいいじゃんと思っています

――もし東京ゲームショウが大人向けとして割り切ると弊害はありますか?

そうなると、どんどん変な方向に行きませんか? それだったら日を変えて「アダルトゲームショウ」をやった方がいいと思いますよ。それはよそでやるべきだと思いますよ。何で一緒くたにするの?と思います。

――モーターショーなど他業種のイベントでも、同じように露出度が高くなっているという指摘もありましたが。

それはモーターショーの話なので、特に意見はないです。「ゲームショウがそうなるのは嫌だ」と書いただけなので。モーターショーがそうだから、ゲームショウもそれでいいというのは意見としてなってないと思います

――これまで他社に言っても聞く耳を持たれなかったですか?

そういったやりかたをしていない会社は理解を示しました。でも、自分がやっている会社はなかなか言いにくいんじゃないでしょうか……。まあ、ギリギリのラインでやっているとは思うんですよ。露出も裸で歩いているわけではないんですが……。ここまでエスカレートすると問題にしないとおかしいなと思いました。「変だな」「おかしいな」と思っている人はたくさんいると思います。

――それでブログを書いた?

ちょっと過激な書き方をして、タイトルも「キャバクラゲームショウ」とあえてズレたものにしました。キャバクラがどういう物かは分かってるし、会場がキャバクラのように接客をしているわけじゃないのも分かってる。でもそういう書き方をしないと、みんな問題視しないだろうなと。

――問題提起としてあえてやったと?

はい。

――「キャバクラのホステスに失礼ではないか」という意見もありますが。

ブログにも書きましたが、キャバクラやコンパニオンというその道のプロの人に対して敵意も悪意もないですから。主旨が違うし読み解き方を誤っていると思います。もちろんうちは開発会社であり、ブースも出してないですから「何をえらそうに…」と言われる方も一部いらっしゃいましたけど。ブースを出してないと意見の一つも言えないのかって話ですから、それも無視してよい意見ですね。


■「こういうイベントなんだ」と思われちゃう

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――コンパニオンの露出が増える弊害は、カメラマンが集中して会場が混雑することでしょうか?

それは問題提起の入口としてはそう書いたんですが、本当に言いたいところはそこじゃないです。ネットで「東京ゲームショウ 画像」と検索すると、出てくるのは、ほとんどがコンパニオンの写真ばかりですよ。

――確かにそうですね。私もゲームショウというとコンパニオンが主役のような印象がありました。

メディアも悪いんですよ。結局、ゲームの記事よりもコンパニオンの写真を掲載した方がページビューが稼げるでしょ。東京ゲームショウの主役はコンパニオンですか? 違うでしょ、主役はゲームでしょ。だから、これを何とかしたいんですよ。だって今までゲームショウを詳しく知らなかった人が、東京ゲームショウを検索して出てくる絵がこれだったら「お姉ちゃんがいっぱいいるイベントなんだ」としか見えない。ゲームのイベントに見えないですよね。これが嫌だと言ってます。

――全てのエンタメ系イベントがこうなっているわけではない?

たとえば同じくゲームも扱っているジャンプフェスタはそんなことになってないし、子供たち向けのイベントにそんなにお姉ちゃんがいたら、お父さんお母さんが困惑するでしょ。

――たしかに東京ゲームショウが大人向けのイベントというイメージが固まってしまう恐れはありますよね?

ごっついカメラを持って、コンパニオンを撮りまくってる人というのは、実際にはほんの一握りです。来場者の大半はゲームを楽しむために来ています。でも一部の方々がメディアも含めて、コンパニオンの写真を祭り上げるじゃないですか。

今年の東京ゲームショウには過去最高の計28万人のお客さんが来ましたが、コンパニオンの写真目当てで来ている人は、ほんの一握りでしかないのに、東京ゲームショウで調べるとそういう写真ばかり出てくるから、「こういうイベントなんだ」と思われちゃう。家庭用ゲームの売上げが国内では厳しくて、日本のゲーム業界が力を合わせて盛り上げて行こうという中で、何で変な方向に行っちゃうのだろうと。業界自体がそういうことをしているのが嫌なので、ちょっとこの辺で言っておかないといけないなと思って言いました。

――ゲームショウのコンパニオンの露出が激しくなった背景には何がありますか?

1社が始めて、別の1社がそれに続いて、じゃあもっと…の流れでどんどん加速していったように感じます。「ゲーム自体に魅力がなくなってきてるから、そうやって人を集めるしかないんじゃん」という人がいますけど、私は全くそうは思わない。コンパニオンがいなくたって、ちゃんと東京ゲームショウは盛り上がると思います。言いたい人がそう言ってるだけだと思います。

――そういう指摘は当たらないと?

はい、みんな自信を持って出展しているわけですから。だから、そう言われかねないことを何でするの?という思いはありますね。多くの人はゲームが目的で来ているわけですから、コンパニオンの撮影をするためだけに来ている人は、ほんの一握りですから。

――弊社もそうですがゲームの記事よりも、コンパニオンの記事の方が読まれる傾向があります。

それは本質的に、東京ゲームショウ関連の記事ではトップだからといって、みんながゲームよりコンパニオンに興味があるのではなくって、どんな題材でも女の子の写真があれば見られるってだけでしょう。それは東京ゲームショウのコンパニオンだから見ているのではなくて、きれいなお姉さんが好きだから、その写真がある記事を見ていると。だから世の人はみんなそうやって見ちゃうだけで。

――それを東京ゲームショウでやる必然性があるのかということですか?

だから、ないですよ。全くないです。ゲームのコスプレでブースの世界観を盛り上がるのはいいと思うんですけど、結果としてそのキャラの衣装の露出が高いという場合は有ると思います。でも、単純にコンパニオンのユニフォームの露出をどんどん上げて行こうというのは違うなと思いますね。

■参考用:東京ゲームショウ2016・コンパニオン画像集

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東京ゲームショウ2016年のコンパニオン
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