森友学園の"格安"国有地問題、安倍首相が野党に猛反論「しどろもどろじゃないですよ!」

学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の国有地を格安で購入していたことをめぐり、民進党など野党は23日の衆院予算委員会で、同学園と安倍晋三首相や妻・昭恵氏の関係性について追及した。
時事通信社

学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が大阪府豊中市の国有地を格安で購入していたことをめぐり、民進党など野党は24日の衆院予算委員会で、同学園と安倍晋三首相や妻・昭恵氏の関係性について追及した。

民進党の福島伸享議員は、昭恵氏が森友学園が購入した国有地に新設を予定している「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長になっていた経緯や、同校の公式サイトに掲載されていた23日に突如として昭恵氏の挨拶文が削除されたことについて、安倍首相に見解を求めた。

■安倍首相、昭恵氏が「名誉校長を辞任した」と明かす

「瑞穂の国記念小学院」公式サイト。安倍昭恵氏の顔写真と挨拶文が掲載されていたが、削除された

福島氏の質問に対し、安倍首相は以下のように答弁した。

「妻は、講演の前の待合室で名誉校長になってくださいと言われたが断っていた。しかし、突然その場で籠池さんからそのように紹介され、拍手をされた。その場で『お引き受けできない』と言うことはできなかったわけであります」

「その後、これはお引き受けできないとお話ししたが、父兄の前でああおっしゃったのだから引き受けてもらわないとこまりますよということで引き受けた。その後、先方から何ら説明もなかった」

また、「妻としては名誉校長を引き受けていることによって、そこに通う子供たちやご両親に迷惑をかけ続けることになるので、辞任させていただくと申し入れた」と、昭恵氏が名誉校長を辞任したことを明かした。

その上で、安倍首相は「先方はからは『申し訳ない』という謝罪があった。『1日、2日しかつかっていない』という釈明があったが、名前を使わないとお断りしていたのに使ったということは、大変遺憾であり残念であると強い抗議をした」と述べた。

公式サイトから昭恵氏に関する記載が削除されたことについては、「こちらの申し入れに従って削除したということではないか」と答えた。

■安倍首相「私の名前を小学校に冠するというのは極めて不適切」

森友学園をめぐっては、「安倍晋三記念小学校」の名で学校建設の寄付金を募っていたことでも物議を醸している。

安倍首相は「名前が使われたことは極めて遺憾。その後事務所の方から正式に連絡を入れ」たと述べた。

これに対し福島氏は、昭恵氏が森友学園が運営する塚本幼稚園でおこなった講演で、「主人が、もし名前をつけていただけるのであれば、総理大臣を辞めてからにしていただきたい」と述べていたことに触れつつ、「総理をやめてから学校に名前をつけて欲しいと思ったことはないか」と安倍首相に問うた。

安倍首相は「そもそも安倍晋三小学校という名前をつけたいという(依頼があった)のは、私が総理大臣を辞めた後、一議員の時だった。妻に依頼があって、妻は『主人はそんなこと受けないと思いますよ』と答えたんですが、その方はそう簡単に引き下がらない方だった」と説明。

また安倍首相は、「たとえ私が自費で学校を作ったとしても、安倍晋三小学校なんかにはしないですよ。常識で考えて当たり前じゃないですか」とした上で、「(籠池氏が)非常にしつこい、熱心に言ってくる中において、家内が『もしかしたら総理やめたら気が変わるかもしれませんね』と、講演等の中のやりとりにおいて言ったことはある」と、昭恵氏の発言内容を認めた。

その上で、「私自身は最初から微塵も考えてはいない。自らの人生を省みて、私の名前を小学校に冠するというのは極めて不適切だと考えている」と述べた。

これに対して福島氏は、17日の衆院予算委員会で首相は籠池氏のことを「『いわば私の考え方に非常に共鳴している方』と同志愛を示していた」と問題視。また「昭恵さんも『こちらの教育方針は大変主人も素晴らしいと思っていて…』と言っていた」と指摘した。

■森友学園が運営する幼稚園では、園児がお漏らしをすると…

福島伸享氏

質問のなかで福島氏は、森友学園が運営する塚本幼稚園の教育方針に問題があると提起した。

福島氏は、幼稚園に通う園児の母親から聞いた話として、以下のような事例があったと紹介した。

「家に帰ってきた子供の水筒の水・お茶が減っていない。(子供に)聞いたら、お手洗いの回数が増えるからといって、給食の時にお茶を飲むと怒られるそうだ。海軍式の教育だとしてトイレの時間が決まっており、それ以外は行ってはいけない」

「子供だから我慢ができなくてお漏らしをしてしまうこともあるが、学校に替えのオムツやパンツを持っていくことは禁止されている。お漏らしをしたら職員室で、『僕はお漏らしをしました。まだ赤ちゃんです。すみません!』と言わないと替えのパンツを貸してもらえない」

「理事長は公立小学校に行ってはいけないと言っていて、受験に失敗した子がいると『〇〇さんは受験に落ちました』と朝の朝礼で名指しして立たされる」

福島氏は「トイレに行かせないというのは文科省の見解でも体罰であるとされる。この学校のどういう教育方針に共感されたのか」と追及。

これに対して安倍首相は「私が存じ上げているのはパンフレット等で理念として掲げられているもの。私はこの学校がやっていることは詳細について全く承知していない」と答弁した。

質問の最後、福島氏は「政治家の口利きなかったと断言できるか」と詰め寄った。

安倍首相は「(土地の売買について)私と家内、事務所も一切関わっていないと申し上げた。もし関わっていたら私は政治家として責任を取ると明言した。他の政治家が関わっていたかどうかは、私について質問がないので…」と回答。

委員会室で「しどろもどろだ」とヤジが飛ぶと、安倍首相は色をなして、「しどろもどろじゃないですよ!私は自民党の全議員の行動を把握していませんから。政治家といえば民進党だって共産党だってありますよね。民進党の諸君が何をやっているか。私は当然答えられない」と猛反論。

「私と家内は売買と認可には全く関わりはない。私が申し上げられるのはそこまでです。国会議員の関与と言われてもわからない。総理大臣として答える立場にない」と答弁した。

■「隠蔽というのは失礼ですよ!」安倍首相が激昂

民進党の今井雅人議員は、「(瑞穂の国記念小学院)ホームページを見たら、昭恵氏の記述が削除されていた。また隠ぺいするのかと思った」と述べた。

これに安倍首相は「隠蔽というのは失礼ですよ!」と語気を強めて反発。「私が隠ぺいしたんですか?私が森友学園のホームページに対して、私が隠ぺいしようがない。そういうイメージ操作はやめるべき」と発言した。

その上で「妻が名誉校長を最終的に受け入れることになったが、総理大臣夫人という肩書きを使うことは想定していなかった」と答えた。

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