ネットで服を売るアイドルゆうこす 目指すのは次世代の「ジャパネットたかた」なのか

「ライブストリーミング経由での収入は、私の収入の多くの割合を占めています」
Go Furuya/ HuffPost Japan

「モテクリエイター」として知られる、元HKT48のゆうこすさん。Instagram、Twitter、YouTubeなどのSNSのフォロワー数は76万にのぼる。

ゆうこすが「今もっとも注目しているSNS」としてビジネスを展開しているのがライブ配信サービスだ。彼女がインターネット上で洋服の生地感やデザインを視聴者に伝えれば、次々と商品がさばかれていく。

「Liveで服がどんどん売れる時代になる」と語るゆうこすさん。

ジャパネットたかた創業者の高田明氏が1990年代以降築いたテレビショッピングのように、今後はネット上の「ライブコマース」が主流となるのだろうか。手応えと今後のSNSの見通しを聞いた。

■ライブコマース時代、「個人が試される」

——前編ではInstagramの活用法について、ゆうこすさんに聞きました。ネットの生放送の配信で商品を売るライブコマースは「テレビショピングのウェブ版」なのでしょうか。

テレビショッピングとの圧倒的な違いは、購入者と販売者との距離感ですね。ライブコマースにはコメント機能がついていて、リアルタイムで会話ができるので必然的に、視聴者との距離が近くなって、買って見たい気持ちの背中を押してあげやすくなります。

私がライブコマースで売っているのは主に洋服なのですが、画面越しで伝わりづらい生地感やデザインのディテールを伝えるために、ひたすら喋りまくっていますね。実物が手に取れない不便さや不安感をリアルタイムに払拭してあげられるのがライブコマースの良さだと思うんですよね。

——ライブコマースに関して、中国では、不適切なコンテンツの配信が横行して利用禁止となった例もありました。ライブ配信でモノの売買をするリスクはありますか。

ウソじゃないけど、盛って大げさに言ってしまったり、曖昧なまま情報を伝えてしまったりする危険性は大いにあると思います。洋服を説明する時に、ウールをカシミヤと言ってしまうとか。悪気がなくても、わざとじゃなくても、生放送なのでそのまま流れていってしまい、ユーザーに誤解を与えてしまうリスクはあるのかなぁと思います。

先ほどおっしゃっていた不適切なコンテンツというのも、客寄せのためにわざと配信するのはもってのほかですが、配信者が意図していない状態で、例えば下着が映りこんでしまったりとか、そういうリスクは常につきまといますよね。

Go Furuya/HuffPost Japan

——そういったデメリットもありながら、著書の中ではライブストリーミングを「最も注目しているSNS」と書いていましたね。

そうですね。現状、ライブストリーミング経由での収入は、私の収入の多くの割合を占めています。

特にこれから、ライブコマースでの消費がどんどん活発になる時代に突入する中で、発信する個々人のスキルが「いよいよ問われるな」と強く感じています。生放送なので、言葉にも気をつけないといけないし、色々な判断をその場その場でしながら、大前提である楽しいコンテンツ作りをしないといけません。

発信する人次第で、いいモノでも全然売れなかったりするので、個人の力量が試されますね。

それこそ、テレビショッピングのジャパネットたかたの高田さんがライブコマースしたらどうなるんだろう。どんな風にコメントをピックアップして読むんだろう。すごく勉強になりそうですよね。

Go Furuya /HufffPost Japan

■SNS疲れは自分へのウソからはじまる

——「誰よりもSNSが大好き」「SNSをやめたいと思ったことは1秒もない」と断言するゆうこすさん。一方で、世の中には"SNS疲れ"という言葉もあります。

私は良くも悪くも思ったことをそのまま書いているので、SNS疲れを感じることが全くないのかなと思います。

SNS疲れって、発信する人の「ウソ」から始まってるんじゃないかと思うんですよね。好きでもないことを無理して発信したり、楽しくもないのに「楽しい〜」って発信したりすると、自分にウソつくことになるから疲れますよね。取り繕うとやっぱり疲れます。

——ウソをついたり飾ったりせず、ありのままの投稿だけをし続けられるのは、元アイドルで知名度があり、フォロワーが多いゆうこすさんだからでは?

それはすごくよく言われるんですけど、自分としてはむしろ逆だと思っています。今の私のフォロワーさんたちは、私がHKT48に所属していたことを知らずにフォローし始めてくれた人がほとんどだと思います。

実は、HKT48を辞めて自主イベントを開いた時に、来てくれたファンがたった3人だったんです。HKT48のメンバーとしてアイドル活動を始めた時には、番組出演もCD発売のスケジュールも全部決まっていて、最初の握手会では長蛇の列ができていて、というところからのスタートだったので、その感覚に慣れてしまっていて、さすがに来場者3人という現実には面食らいましたね。

そういう経験を経ているので、私個人を好きになってもらうことの難しさもありがたみも両方身にしみて理解しているつもりです。

SNSのフォロワーのみんなは、会ったこともない私にあたたかい言葉をかけてくれて。応援してくれる一人一人のフォロワーさんに大切さを実感しますね。本当にSNSがなかったら、そういうの全然目に見えなくて「テレビに出なきゃ、雑誌に出なきゃ」ってすごく焦っていたと思います。

——とはいえ、心ないコメントを付けられたり、逆に思ったように反響を得られないとガッカリしたりしますよね。

全くないと言えばウソになりますけど、気にしすぎないのも大事です。心が折れそうになった時こそ、投稿をやめちゃったりネガティブな発信に逃げるんじゃなくて、フォロワーの大切さを思い出します。

SNS投稿なんて、失敗したら消したっていいわけですし。そんなに怖いモノじゃないですよ。それより、ファンの期待や信頼を裏切るとの方がずっと怖いです。

——多くの"SNS疲れ"している人はもしかしたら、期待していた反応とちょっと違う反応がくると、そこでめげて発信をやめてしまっている人なのかもしれないですね。

そうですね。みんな石橋めっちゃ叩いて、叩きすぎて、コンクリートみたいにカチカチになってしまっていると思います。でも本当は、石橋を叩きまくって壊れて落ちて、這い上がって、また修繕工事して...、ぐらいの方がいいと思うんです。

SNSだけじゃなくて、何事もそうだと思うんですけど、失敗して初めて気付けることってたくさんあるし、修復してまた頑張ればいいし。SNSの場合、何度だって投稿し直せるわけですし。

SNSを使って発信したい、少しでも影響力を持ちたいと思う人は、やって見る前から怖がったり疲れたりしないで、どんどん投稿して、どんどん失敗してほしいなって思います。

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▼ゆうこす(菅本裕子)さんプロフィール

1994年5月20日生まれ。「モテクリエイター」と宣言。

タレント、モデルとしても活躍し、20代女性を中心にInstagramで紹介した商品が完売するなど、カリスマ的人気を誇る。

2017年、9月に『SNSで夢を叶える〜ニートだった私の発信力の育て方〜』(KADOKAWA)を発売。『#モテるために生きてる!』(ぶんかしゃムック)も発売中。

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