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ナイジェリア税関の組織犯罪――豊富な裏金と被害者の身辺を調べ上げる情報力

2014年02月17日 02時18分 JST | 更新 2014年04月17日 18時12分 JST

「アフリカ最大の人口を抱え、高成長を続ける」ナイジェリアに、日本は出遅れていると言われますが、中国人もテロのために数年前より減っており、ビジネスでも苦戦しています。人口すら机上で膨らませた数字に信憑性は低く、政府機関が犯罪組織と化しているのです。

自社ブランドのバイクを組み立て生産しようとした時、中国から到着した積荷が保税倉庫内で盗まれ、調べているうちに、ナイジェリアの税関は日常的に汚職や犯罪があふれていることが分かってきました。

難癖をつけて没収した積荷を入札処分した売上が行方不明、職員が安値で落札して荒稼ぎ、関税を国庫に納めない、半分は幽霊職員だった(その給料は誰かのポケットに)などなど。

後払いで輸入したコンテナを税関が没収し、輸入者が別名義で格安に落札するという詐欺もありました。外国の輸出した会社はほとんど泣き寝入りで、破産した日本人や、自殺したインド人経営者もいます。

私達が積荷を盗まれた事件では、東京から急遽ラゴスに戻った夫を見て、マネジャーが翌日から出社しなくなったのですが、社員全員が窃盗を事前に知っていたようです。

税関や通関業者と示し合わせた社員が経営者の留守中に空のコンテナを受け取り、配送後に倉庫で盗まれたように見せる手口が他にもあったのです。その経営者は自宅を担保にした銀行ローンで輸入していたため家も失い、病院で死にかけていました。

同じ手口を繰り返されないように、私達が税関の犯罪を追及していると、億単位の裏金を自由に動かす税関は警察や司法を買収し、民間人を使って次々とトラブルを仕掛けてきました。

店で商品を買って出た人を追いはぎが襲ったり、社員を買収して他社に顧客を回させ、収入源を断つための営業妨害が続きました。一方で、私達が窃盗を自作自演していると吹聴されました。日本の仕入先にとっても、政府関係者の発言の方が信用があり、政府機関が組織的に犯罪を行っているとは信じ難いことだったのです。

税関相手の裁判で夫が勝負服にしていたYシャツを狙われたこともあります。クリーニングに10点以上出して、1枚だけ黒いYシャツが1週間遅れて戻ってきたのですが、法廷に行く朝、夫が着た途端、「気分が悪い」と座り込んでしまいました。ドライクリーニングとは違う刺激臭がしました。毒物が染みこませてあったのです。

アフリカの人は大まかだと思いがちですが、ナイジェリア人は実に細かい観察力で、接触する人や親戚、出入りの業者などまで調べ上げます。

大統領や警察トップに直訴し続けて、税関の窃盗は発生から2年8ヶ月も経って書類送検されましたが、通常2週間で起訴か不起訴か決定するというのに、検事は延々と引き延ばします。その検事は給料では買えないはずの高級車を買い、海外旅行に出かけました。

そんな中、 油田地帯の工場予定地そばに建築中だったゲストハウスの前に、隣村の男が違法ガソリンスタンドを建て始めたと電話が入りました。狭い土地に家を建てるといって購入し、ガソリンのタンクを埋め始めたのです(写真1)。敷地が足りないので住民の生活道路を横切り、その先の他人の土地にまで勝手に穴を掘り出しました。

(写真1)

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建築許可も偽造なのに、警察は動きません。著名な人権派弁護士の事務所に依頼して建築差し止め訴訟を起こしましたが、担当の若い弁護士は裁判を途中で放り出して退職。裏金をもらって独立開業したようです。建築はどんどん進み(写真2)、ガソリンスタンドは今も営業しています。

(写真2)

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ガソリンスタンドの経営者は起訴されたのですが、誘拐され、身代金を払って解放された後も「脚にケガを負って切断した」「インドで治療中」などと言って、公判も止まったままです。

抵抗する被害者の身辺を細かく調べ上げ、ラゴスから離れた場所でトラブルを起こして疲弊させるため、地元のならず者を焚きつけた人がいたのです。