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忍び寄るサイレント・キラー「糖尿病」とどう向き合うか?

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2007年の厚生労働省国民健康・栄養調査で日本の糖尿病人口は890万人と推定された。さらに2010年には1000万人の大台を超えたものと予想されている。この50年間で実に40倍という激増ぶりである。もはや、「誰しもが糖尿病になりうる時代」に突入していると心得ておくべき状況なのである。その一方で、2011年の厚生労働省患者調査によると、医療機関を定期受診している糖尿病患者数は270万人に留まっている。少なく見積もっても糖尿病有病者の約半数、多く見積もれば約3/4が無治療状態に置かれていることになる。

なぜ糖尿病は放置されやすいのか?それは、糖尿病の大多数を占める2型糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状がないからである。しかし自覚症状のない時期にも、腎臓、網膜、脳、心臓などの重要臓器の血管系が少しずつ冒されていく。糖尿病網膜症で失明する人は年間約3000人、糖尿病腎症で人工透析導入に至る人は年間約1万6000人にも上る。またそうした合併症の結果、比較的最近のデータ(1991-2000年の10年間;堀田饒et al.糖尿病50:47-61, 2007)でも、糖尿病の人の平均寿命は約10年も短くなってしまっている。糖尿病が"サイレント・キラー"と言われる所以である。

糖尿病の発症を自覚症状から察知することは非常に難しいというのは医師の間では常識である。しかしながら一般社会でそのことがどのくらい正しく認知されているかは甚だ心許ない現状である。たとえば厚生労働省のホームページに「糖尿病をチェックしてみよう」というサイトがあるが、こうした情報から「当てはまる自覚症状がなければ大丈夫」と考えてしまうのは誤りである。大事なことなので繰り返すが、糖尿病の発症の有無を自覚症状ベースで語るのは間違いである。

糖尿病の診断には血液検査が必須である。糖尿病やメタボリックシンドロームの激増を受けて2008年から特定健診制度が始まり、全保険者に40歳以上の被保険者の健診実施が義務化された。しかしながら健診受診率は40数パーセントに留まっており、しかも40代など比較的若年層の健診受診率はさらにその半分以下である。

このような中、比較的最近、技術革新により登場してきた微量血液検査装置を活用し、糖尿病の早期発見につながる簡易糖尿病スクリーニングを、薬局-医療機関間の地域医療連携として行っているのが「糖尿病診断アクセス革命」というプロジェクトである。「糖尿病診断アクセス革命」では、指先の自己穿刺により得られる、ごく微量(1μl)の血液からHbA1cを測定し、糖尿病予備群相当以上(HbA1c≧6.0%(国際標準値))であれば連携医療機関に紹介している。HbA1cとは、赤血球中のHb(ヘモグロビン)に糖分がどのくらい付着しているかを見たもので、過去1-2ヶ月の平均血糖値を反映する検査項目である。2010年10月の開始以来、これまでに東京都足立区と徳島県とで総計2000名以上の方々(糖尿病治療中の方は対象外)に検査を受けて頂き、実に約3割が受診勧奨(糖尿病予備群相当以上の疑い)となった。また、糖尿病疑い((HbA1c≧6.5%(国際標準値))の割合も約8人に1人と高率であり、総じて非常に優れたスクリーニングシステムになっていると言える。

「糖尿病診断アクセス革命」は「町の薬局を健康ステーションに」という薬剤師の先生方の熱い思いに支えられ、活動してきたが、全国に広めていくにはまだ課題も残されている。今後の課題については次回に述べたい。

「糖尿病診断アクセス革命」の詳細については、プロジェクトホームページも併せてご参照ください。