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世界のビジネスモデルを変革する起業家の出現を期待!:研究員の眼

少子高齢化という厳しい環境のわが国にとって必須であると考える。

2017年12月18日 10時54分 JST | 更新 2017年12月18日 10時54分 JST
The LIFE Picture Collection/Getty Images

私たちの日々の生活を考えてみると、過去20年前よりも新しくスタートした製品やサービス、ビジネスモデルによって、大きな影響を受け変化していると感じる。以下に幾つかの典型例を挙げてみよう。

今や、オフィスでも家庭でも、情報の検索、文書や表グラフ、プレゼンテーション資料の作成に使用されているパソコン(PC)の基本OS (Operating System)については、1995年発売のマイクロソフト社によるウインドウズ95がエポックメーキングな製品であった。それを共通規格とする互換機を各メーカーが生産開始したことによってパソコンは一気に普及した。

携帯電話の機能に加えて、上記PCの機能も併せ持つスマートフォン(スマホ)の本格的な普及は、2007年のアップル社によるiPhoneの発売が歴史に残る大きな出来事といえよう。さらに上記のPCやスマホの基本的なデバイスとして活用した様々なサービスが広く普及・浸透している。

その一つは、1994年創業のアマゾンを代表とする電子商取引(eCommerce)の著しい普及であろう。当初の書籍(紙媒体)のみならず、今や、電子書籍の普及や、日用品、家電、食品など数多くの商品の購入に広く利用されている。さらに、地図情報も含めた情報検索の最大手グーグルは1998年の創業である。

また、2004年のフェイスブック、2006年のツイッター、2011年のLINEなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も短期間に世界中で普及している。加えて、配車サービスのウーバーや民泊のAirBnB、自転車シェアリング、AIスピーカーなど次々に新しい製品・サービスが出現している。

上述の各社による製品・サービスは、LINEを除き、主に米国企業を担い手としているが、他方、中国は、今やeCommerce (電子商取引)の世界最大規模の市場となっている。

その中でBATと総称される、バイドゥ(百度:2000年創業)、アリババ(阿里巴巴:1999年創業)、テンセント(騰訊:1998年創業)の三大インターネット企業グループの存在感は大きく、単にeCommerceのプラットフォームの提供・運営にとどまらず、アリペイ(支付宝)やウィーチャットペイ(微信支付)など支払・決済機能においても革命的な変化をもたらしている。

販売品に偽物が多い、買い手が購入代金を支払わないケースも多い、物流も遅れているなどといわれていた中国で、わずか5-10年の短期間に、屋台の焼き芋や、市場(いちば)での野菜の購入、社寺のお賽銭などを含む広範な売買や支払いがスマートフォンで行われるようになると誰が予想しただろうか。 

以上、インターネット企業による革命的ともいえる製品・サービスの短期間での普及について述べてきた。このような急激な事業の発展によって、大手のインターネット企業は巨大化しているが、インターネット企業の株式時価総額のランキング(2017年5月末時点)の上位10社は、下表のように米国と中国の会社が独占している。

AOL

因みに、わが国企業の中で最大の株式時価総額を有するトヨタの時価総額が約20兆円、NTTや三菱UFJフィナンシャル・グループが10兆円前後の規模であるのに対し、左記5位のテンセントは約35兆円の規模となっている。

本稿で述べたインターネット企業については、多くの企業が歴史の浅いスタートアップ企業であり、若い創業者=起業家の画期的な構想をビジネスとして事業化し成功している。それらの企業は、独自の「エコシステム」(関連する企業群が有機的に結びつき共存共栄する仕組み)の中心となっているケースも多い。

過去20年くらいの短期間で、私たちの生活は、上記のような企業によって、急激な変化を遂げており、次の20年にはさらに大きな変化が生ずるものと予想される。

かつて、日本のソニー、松下(現パナソニック)、ホンダなど多くの企業が、若い起業家のアイデアと努力で世界の人々のライフスタイルを変える大きな貢献を行ってきた。

第4次産業革命といわれるこれからの時代に、世界のビジネスモデルに革命的な変化をもたらす日本人起業家が出現することを期待したいと思う。

それは、サムスングループのイ・ゴンヒ氏の主張する「天才経営」(1人の天才が10万人の暮らしを支える)に通じるものがあり、少子高齢化という厳しい環境のわが国にとって必須であると考える。

優れた企業家を生み出すには、本田宗一郎氏(ホンダ)が述べているように、上からの制約がなく独自のアイデアを考え実行できること、盛田昭夫氏(ソニー)が主張しているように、常に子供のような好奇心をもって物事をみること、が大切であると考えられる。

そのためには、柔軟で自由な発想を育てる教育、新たな事業アイデアの障壁となる法規制や慣行の撤廃・緩和、新たな取り組みへの投資家・評論家・マスコミ等による理解とサポートが不可欠であろう。

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(2017年11月30日「研究員の眼」より転載)
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