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宮崎駿監督の「引退」に対する希望論みたいなもの

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以前も宮崎アニメについては、触れたことがありますが(「バルス」とアイドルとお祭り)、『J-castニュース』が配信していた「宮崎駿監督の『引退宣言』は本当なのか ネットでは『これで何度目?』『引退後の新作楽しみ』」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

宮崎駿監督の「引退」について「各メディアが大々的に報じている」が「ネットでは『またまた引退宣言かよ』と冷ややかな反応だ」という記事です。

「監督は新作を発表する度に『引退宣言』をしているため、そのうち撤回するはず、といった書き込みがネット上に多数出ている」そうです。

そして、『千と千尋の神隠し』の完成会見でも引退表明をしたことや、『もののけ姫』の完成報告会で、「第一線から退くことを明かし」た例などを挙げています。

これについて、「スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが2003年3月28日付けのスポーツ紙のインタビュー」を引用し、「毎回、全身全霊を打ち込むから、そうなってしまうのですよ」 という意見を紹介しています。

つまり、「映画の完成、そして公開まで疲労困憊の極地に至ってしまい」、「全て出し切ってしまってこれ以上の製作は無理だと『引退宣言』してしまうが、暫くすると心身が充実し始めて『また製作したい』と思うらしい」ということとしております。

2 希望論

これは大変良くわかる話です。そして、何だかんだ言って(私がアニメを見なくなった理由)私も宮崎駿監督の作品は大好きなので、是非そうあってほしいと思っております。

実際ネットでこうした書き込みが寄せられているというのは、何だかんだ言って皆今後も宮崎監督の作品を見たいと思っているからで、「引退」を受け入れられない(受け入れたくない)という気持ちが強いことの現れかと思っています。

ストーリーだけでなく、小さい所(コミカルな独特の動きなど)にも拘った作りは、子供にも大受けで、こうした見せ方は今さら当たり前すぎる言葉しか出てきませんが、「見事」の一言です。

3 制限

宮崎監督の引退を制限するものとして、スタジオジブリの存在があり、薄給で有名なアニメーターが多い中、きちんとした給料を出せる会社を創った氏の功績も見事です(これに関連して手塚治虫が死去した際に、虫プロがアニメの安売りを始めたことを批判したのは有名な話かと思います)。

結果、彼らの給料を払っていけるだけの作品を制作しなくてはならなくなり、こうしたプレッシャーが一定の質の作品をつくってこられた面はあるのではないでしょうか(『ガッチャマン』は大コケでも黒字?)。

そして何だかんだ言って「ジブリ=宮崎駿」という看板が大きな宣伝になっていることは間違いなく、宮崎監督の引退を制限する要因になっていたと考えます。

4 最後に

ただ、こうした責任感だけで、あれだけの作品が創れるはずもなく、宮崎監督が本当にやりたいこと、撮りたいことがあるが故というのは本当のところかと思います。

そして、元記事のインタビューにある様に、毎回引退宣言をするほど、全身全霊をかけるからあれだけの作品を作り上げることができる面は否定できないと考えます。

ただ、悲しいのはこの逆は必ずしも真ではないことです。つまり、凡人は努力してもそれがモノになるとは限らないという話で、努力をすればそれだけで良いというわけではないのが、現実なのが何とも言えないところです(「自然分娩」と努力至上主義)。

(※この記事は、2013年9月3日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)