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新社会人は「反省」してはいけない

2014年04月02日 17時30分 JST | 更新 2014年06月01日 18時12分 JST

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■「あの時、こうしておけばよかったな」

4月1日は全国各地で入社式が行われました。新社会人の皆様、本当におめでとうございます。

僕は社会人になって10年しか経っていない若輩者ですし、一つの会社に長く勤めたこともない駄目人間なので偉そうに社会人としての心得を説く立場にはありませんが、個人的には「あの時、こうしておけばよかったな」という反省はたくさんあります。

しかし、最近になってこの反省は、あまり意味がないものだということに気がつきました。なぜなら、大学を卒業したときも入学当初の自分を思い返して「あの時、こうしておけばよかったな」と反省していたし、このままいけばきっと10年後の自分も今の自分に対して同じような反省をすると思うからです。

ならば必要なのは過去を反省することではなく、「こうしておけばよかったな」という事柄に対して、「今」気がつく能力を身につけることです。でなければ、何歳になっても同じような反省(というかぼやき)を繰り返すイケてない人生を歩むはめになってしまいます。

■気付かなければいけない問題の本質

しかし、この能力の獲得を目指す際に難しいのは、ただ単にアンテナを高く張って、たくさん情報をキャッチすればいいというわけではないということです。

たとえば、もし僕が学生に戻れるとしたら、お金を貯めて留学してみたいなと思っています。他言語が話せれば今のライターという仕事においてもプラスになるし、何より多様な価値観に触れる大切さがこの歳になって身を以て実感できるようになったからです。今になって「ああ、あの時、留学しておけばよかったな」と反省しているわけですね。

しかし、ここで一つの問題に突き当たります。それは、果たして「あの時」の僕は「留学」という選択肢があることを知らなかったのだろうかということです。いや、それはあり得ません。周りに留学をしている友人もたくさんいましたし、留学で得られるメリットも十分に理解していたはずです。

つまりあの時の僕は、留学という選択肢の存在、情報をキャッチしていたうえで、あえて「しない」という選択をしていたことになります。当然ですが、いくら情報があっても、それを実行しようと思わなければまったく意味がないのです。

となれば、「あの時、こうしておけばよかったな」と反省する際に考えなければいけないのは、「あの時、こうしなかった自分」ではなく、「あの時、こうしようと思えなかった自分」であるはずです。行動を起こさなかったのが悪かったのではなく、行動を起こそうと思えなかった自分が悪かったのです。

この問題の本質に向き合わなければ、何度でも同じ失敗を繰り返すことになってしまいます。

■「あの時、こうしようと思えなかった自分」へのメッセージ

では、どうすれば「あの時、こうしようと思えた自分」になることができるのでしょうか。10年後の「こうしておけばよかったな」を先取りすることができるのでしょうか。

誰もが一度は、「頭の中は今のままで、過去に戻れたなら」と妄想するものですが、まさにそういう状態になることができれば誰もが反省や後悔のない人生が歩めるはずです。

残念ながら三十そこそこの僕には、その答えを導き出すことはできません。どなたか、聡明な方がいらっしゃりましたら、ぜひ教えていただきたいと思っています。

しかし、答えは導き出すことはできませんが、取るべき態度ならわかります。それは、今も10年後の「あの時」なんだということに対して敏感であり続けることです。今も「あの時、こうしようと思えなかった自分」であるかもしれないという思考の限界に対し、目を背けずに向き合う必要がある。

ですから、もし10年前、新社会人だった自分に言えることがあるとしたら、「反省してはいけない」ということです。「過去を反省してもいけないし、5年後、10年後の君も新社会人である『今』を反省してはいけない」。それが「あの時」の自分にかけられる唯一の言葉だと思います。

(2014年4月1日「Yahoo!個人」より転載)