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超高齢社会の悲劇 「老老介護」を知っていますか?

2013年05月05日 22時21分 JST | 更新 2013年05月20日 21時18分 JST
Noel Feans

 超高齢社会を迎えた日本では、夫婦がそれぞれ介護者・被介護者となる「老老介護」が増えている。介護疲れから殺人事件を起こすケースもあり、決して看過できない状況だ。2つの殺人事件を例に老老介護の問題を考えてみたい。

 1件目の事件は今年1月、神戸の市営災害復興住宅の一室で起こった。産経デジタルの記事によると、

母親(93)を殺害したとして、兵庫県警垂水署は10日夜、殺人容疑で神戸市垂水区名谷町の無職、李正子容疑者(68)を逮捕した。李容疑者は「母親から『認知症なので殺してくれ』と毎日言われていた。枕で口と鼻をふさいだ」と供述しているという。逮捕容疑は8日ごろ、市営災害復興住宅7階の自宅で、母親の育子さんを殺害したとしている。李容疑者は10日夕、JR垂水駅前の交番に出頭。署員が自宅を確認したところ、育子さんが介護ベッドの上で死亡していた。

産経デジタル 2013.1.11 01:38)

 2件目は2012年2月、大阪府枚方市で妻が寝たきりの夫を包丁で刺し殺した事件。産経デジタルは以下のように伝えた。

 「あんただけ先には行かせへんで。私もすぐに行くよ」。今年2月、寝たきりの夫=当時(84)=の腹に深々と包丁を突き立てた妻(83)は、静かにつぶやいた。大阪府枚方市の自宅で介護していた夫を刺殺したとして殺人罪に問われた妻に、大阪地裁は裁判員裁判の判決公判で、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の温情判決を言い渡した。結婚以来60年間、仲むつまじく連れ添った夫婦の運命は一体、どこで狂ったのか。

産経デジタル 2012.9.17 18:00)

 介護に関する情報を提供しているポータルサイト「オアシスナビ」は、

夫婦や兄弟姉妹などの間柄で、高齢になった要介護者を同じく高齢の介護者が介護をしている状態を「老老介護」といいます。老老介護のケースは、たとえば介護サービスへ頼ることに抵抗があり、自分ひとりで介護しているといった場合があります。高齢になると体力や筋力が衰え、健康状態であっても介護を行うのは次第に難しくなっていきます。介護サービスをうまく利用しながら在宅介護が行えている老老介護の現場もありますが、介護の疲れなどから介護者が要介護者を殺害してしまったり、あるいは一家心中でふたりとも命を絶ってしまったりといった、深刻な問題に発展するケースもあるのです。

と老老介護の現状を説明している。

 さらに、要介護者に認知症の症状が現れた場合、介護者と要介護者の間での意思疎通が難しくなり、体力面だけでなく精神面でも極限状態に追い込まれることがある。食事や排泄処理などといった非常にプライベートな分野のため、配偶者や家族以外の手助けを拒否する傾向もある。そのため、自分だけで何とかしようと思い詰め、結果的にトラブルになってしまうこともある。

 同サイトでは「共倒れのリスクから抜け出す」とし、

限界を感じて自分の子供や近所の人にSOSを出すことは、悪いことや恥ずかしいことではありません。世間の目を気にして、介護サービスの利用を躊躇する必要もないのです。 また周囲も、老老介護をいつか自分たちにも訪れるかもしれない問題と捉えていくことが大切です。老老介護は、高齢化の問題とともに社会全体で考えていかなければならない問題なのです。

と訴えている。

 高齢化が急速に進むことへの不安感を抱きつつも、老老介護を身近な問題として捉え、積極的に関わっていこうという意見もある。

 内閣府の「平成24年版高齢社会白書」によると、我が国の総人口は1億2780万人(2011年10月1日現在)。そのうち、65歳以上の高齢者人口は過去最高の2975万人(前年2925万人)。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.3%(前年23.0%)で「超高齢社会」となった。白書では「世界のどの国も経験したことがない高齢社会を迎えている」とその深刻さを表現している。2060年には高齢化が40%近くまで達すると見込まれ、この先、老々介護は身近なところにどこにでもある当たり前の現象になっていくだろう。

 老いは避けられない。しかし、その時を迎える前に私たちに準備できることはきっとある。

☆「老老介護」について、コメント欄で貴方の声をお聞かせ下さい。

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