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千葉県市原市に「市原湖畔美術館」オープン 地方の公立美術館再生の光になるか?

2013年08月09日 21時41分 JST | 更新 2013年08月11日 22時12分 JST
猪谷千香

「晴れたら市原、行こう」−−。そんなキャッチコピーで新たなアートの拠点を目指し、千葉県市原市が「市原湖畔美術館」を8月3日、オープンした。1997年に開館した市立美術館「市原市水と彫刻の丘」をリノベーションしたもので、2014年春に開催されるアートイベント「中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス」でも中心的な施設になる予定。今後は、改修前の2.5倍にあたる年間4万人の来館者数を目指す。地方の公立美術館は予算減や来館者数の伸び悩みから「冬の時代」と言われて久しいが、近年は新潟県や瀬戸内地方など地域の活性化にアートが力を発揮する事例もあり、今回のリニューアルに注目が集まる。

■展示室を増やし、レストラン棟を新設

2年の改修を経て生まれ変わった「市原湖畔美術館」は、その名の通り、レジャー客が多く訪れる高滝湖畔に立地する。自然豊かな環境と調和するよう、以前の仕上げ材をすべて剥がし、コンクリートの構造体を生かしたシンプルな建物にリノベーションされた。展示室を増設し、空調設備を強化、レストラン棟を新設するなど美術館としての機能もアップしている。

オープニング記念企画展は、「磯辺行久−環境・イメージ・表現-」。磯辺は環境をテーマに精力的な芸術活動を行なっている作家で、新作や未発表を含めた30点が公開されている(11月4日まで)。また、クワクボリョウタやKOSUGE1-16、木村崇人など旬の作家の作品が常設展示されている。

以前の「市原市水と彫刻の丘」は1995年にオープンしたが、97年の3万2000人をピークに来館者数は落ち込み、改修直前には1万6000人だった。市原市は2001年に美術館の活性化基本計画を策定、2013年4月の圏央道開通をにらんだ上で観光拠点を目指すために改修を進めてきた。

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■仕掛け人は「越後妻有アートトリエンナーレ」の北川フラム氏

そして、今回のリニューアルにあたり、美術館を運営する指定管理者となったのは、新潟県内で2000年から3年に1度開催されている大規模アートイベント「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の総合ディレクター、北川フラム氏が会長を務める「アートフロントギャラリー」だ。

新潟県十日町市の報告によると、2012年に開催された「越後妻有アートトリエンナーレ」は49万人を集客、新潟県内の経済波及効果は46億円に及んだという。北川氏はこの他、今年の春から秋にかけて瀬戸内海の島々を舞台に開かれている「瀬戸内国際芸術祭」の総合ディレクターも務め、アートイベントによる地域活性化の仕掛け人としても知られる。2014年3月から5月にかけて開催される「中房総国際芸術祭 いちはらアート×ミックス」の総合ディレクターでもあり、その中核施設になる「市原湖畔美術館」は、アートを通じた地域づくりが目標に掲げられている。

高度経済成長期からバブル経済期にかけて設置されてきた地方の公立美術館は近年、施設の老朽化や予算の縮小、展示のマンネリなどによって来館者数を減らしているところが少なくない。そのため、地域に根ざしたより魅力的な美術館として、リニューアルオープンに踏み切る美術館が出てきている。

「市原湖畔美術館」は公立美術館の未来を照らす“光”になるか。関係者の期待が高まっている。

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