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「国家・Google・Appleが個人を支配する時代」どう生きる? 伊藤穣一・川上量生・まつもとゆきひろが語る

2013年09月29日 01時31分 JST | 更新 2013年09月29日 01時45分 JST
The Huffington Post

角川アスキー総合研究所が27日、東京都内でシンポジウムを開催。伊藤穣一・MITメディアラボ所長、川上量生・ドワンゴ代表取締役会長、まつもとゆきひろ・Rubyアソシエーション理事長が登壇。テクノロジーと社会の未来像を語った。

■「無意識ともやりとりできるデバイスを」

MITメディアラボの所長を務める伊藤穣一さんは、無意識の領域の重要性を強調。名門校・MITの学生ですら授業中に脳波がほとんど動いていない、という実例を挙げ、意識下ではなく、自分を「騙す」ことが重要とし、たとえばゲームをやっているつもりが実は教材だった、など他のことを忘れて没頭する「フロー状態」になったほうが学習効果が高いと述べた。

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同じようにテクノロジーも無意識の領域へ進出する可能性を指摘し、「メガネのように意識化で見る動作がいるものより、脈拍や心拍を測って状態をモニタする、無意識の活動を計測するもののほうが可能性を感じる」などと語った。

■「国家がネットをコントロールしようと思えば、アクセス規制しかない」

ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さんは、現時点でのネット空間を誰が支配しているのかというテーマで話した。

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法整備は国単位で行われているが、インターネットに国境はない。現状、ネットについての規制はサーバーのある国の法律が適用されることになっているため、海外にサーバーさえあれば、違法のコンテンツを配信し放題になってしまう。強制執行するにも、手出しができないのだ。川上会長は、こうした流れをもはや止めることができないという。

「国家がネットを規制しようと思ったら、中国がやっているように『グレートウォール』(※中国当局のネット規制を万里の長城になぞらえた通称)をやるしかない。それがもっとも理にかなっている」

また、AppleやGoogleといった巨大プラットフォーム企業が国境をまたいで多くのユーザーを、自分たちのルールに従わせることができる、事実上の国家になると指摘。今後は、国家とこうした巨大なプラットフォーマーがネットを支配していくだろう、とした。

■「プログラムは『自由』を守る手段」

まつもとゆきひろさんは、かつて部屋一面を占めたコンピュータがパソコンになり、そしてそれがスマートフォンになり、というコンピュータの歴史を振り返りながら、「今後、コンピュータは人の目に見えないくらいに小さく、そして遠くなっていくだろう」と予測。これはGoogleのように、クラウド上にコンピュータが移っていくこと、そしてスマートフォンやウェアラブルデバイスのように、どんどん小型になっていくことを指している。

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このような時代になると、人はコンピュータの存在を意識しないまま、24時間ネットにつながった状態にいるようになる。人が自らコンピュータを制御するという意思を持たなくなると、GoogleやAppleのような、巨大なプラットフォーマーに支配される世の中になっていくだろう、とする。

こうした流れは、本来、インターネットを生み出した「自由」を失わせかねない。そこで重要なのが、「自分でプログラムを書ける」ということだという。自らがコンピュータを制御するリテラシを持つことで、この「自由」を守らなければいけない、とまつもとさんは強調している。

■すでにスマホの情報は国家にダダ漏れ?

この後、シンポジウムは伊藤さん、川上さん、まつもとさんのパネルディスカッションに移行。国家がネット支配を強めることへの懸念が主な話題となり、伊藤さんはアメリカのスノーデン問題を引き合いに出しながら、「もうすでに、スマホには国家が情報を抜くためのバックドア(抜け道)が用意されているはず。アメリカは自分たちが得た情報を他国とやりとりしてるでしょう」と現状分析した。

これに対してどうするのか。「これからはプログラムが書けないとダメ」とまつもとさん、川上さん、伊藤さんの意見の一致を見て、パネルディスカッションは締めくくられた。

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