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「准保育士」導入すべき? 「保育士」の規制緩和は必要か

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(画像はイメージ)「准保育士」導入すべき? 「保育士」の規制緩和は必要か | Marvin Fox via Getty Images
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不足する保育士を確保するために、保育士の補助を行う新たな資格制度を導入するべきか。「准保育士」という言葉が話題を呼んでいる。

政府の産業競争力会議雇用・人材分科会で3月14日、准保育士という新しい資格を設けることが民間議員から提案された。准保育士は、国家資格の保育士と異なり、子育ての経験があれば取得しやすくなる民間資格となる。主婦層の働く機会を増やすとともに、保育所の質の向上させることがねらいだ。

しかし、育児中の保護者らが作る「保育園を考える親の会」は4月8日、准保育士の制度に反対する意見書を厚生労働相らに提出。准保育士の制度を作るよりも、賃金水準の低い保育士の待遇改善を求めたという。テレ朝ニュースが報じた。

育児中の母親ら「賃金が安い『准保育士』の保育労働市場への流入によって、保育に従事する者全体の賃金水準までもが低下し、人材確保がさらに困難になるでしょう」

 

保育士は、2013年6月の平均月収が21万円余りと待遇を理由に仕事をやめる人が多く、人材確保のため改善が求められています。

 
(テレ朝ニュース『「准保育士より保育士の待遇改善を」育児ママら訴え』より 2014/04/08 16:58)

■保育士の給与を引き上げにくい理由

厚生労働相の資料によれば、2017年末には保育士が約7.4万人不足するとされており、政府は対応を迫られている。保育士確保の対策として、保育士の資格を持っているが現在は保育士として働いていない「潜在保育士」の掘り起こしや、離職者を減らすための研修実施などが挙げられているが、給与面での保育士の待遇を改善することも喫緊の課題だ。

しかし、なかなか保育士の給与を上げにくい状況がある。

保育士の給与を上げるためには、その元手が必要だが、行政が保護者が支払う保育料の上限を設定しており、その上限を超えると行政から補助金が下りなくなるのだ。

保育所が預かることができる子供の人数は、保育所の広さや保育者の数で、決められるため、ひとつの保育所が得られる収入には限りがある。そのため保育士の給与を上げるためには、「保護者が支払う保育料の上限を引き上げる」、「ひとりの保育者が、預かることができる子供の人数の規定を増やす」、もしくは「行政が支払う補助金の額を引き上げる」などの対応が必要になる。

政府は「子ども・子育て新制度」の予算で、保育士の処遇改善を行う予定だった。しかし、新制度の財源が不足するとわかったため、保育士の給与アップについては、当初の最大5%増から3%増にとどめることになった。

政府の子ども・子育て会議は現在も、保育所に支給する補助金の額や、利用者の支払う保険料について議論が行われており、今後保育士の処遇についても算定するという。

■准保育士は何のために生まれたのか

実は、准保育士の話が出たのは今回が初めてではない。2007年の第1次安倍内閣時にも、当時の規制改革会議の中で登場している。なぜ、このタイミングで准保育士は再び議題に上がったのか。

当時、准保育士の提案を行ったのは、人材派遣事業を展開するパソナ。保育士の受験資格を規制緩和することが目的だった。大卒や短大卒であれば専攻の内容にかかわらず、実務経験がなくても保育士の試験を受験できるのに対し、中卒や高卒の人は実務経験がないと試験を受けることすらできない現況をおかしいと考える人が、同社の社員や登録者に多かったためだ。

同社が行ったアンケートによると、「気持ちと熱意のある方には資格や知識は必要だと思うが学歴は関係ない」という意見や「専攻にフィルターがかかっていないのであれば学歴は意味が無い」などのコメントが寄せられたという。

2007年当時は、実務経験についても児童福祉施設に限られており、その児童福祉施設も採用自体が少なかったことから「最初からシャットアウトされているのではないか」とのコメントも出ていた。

当時、パソナに派遣社員として登録する人のなかには、子育てが一段落した30代、40代の人もおり、自分が子育てで経験したことを、社会貢献のひとつとして活かすために時給800〜900円でもやりたいと考える人がいた。しかし、資格が無いために保育の現場には派遣しにくかった。そこで、准保育士などの資格を作り、保育所で補助的な仕事をしながら実務経験を積んだ後、正規の保育士としての受験資格を得るような道筋がつくれないか、という提案が行われたのだ。

■准保育士=保育支援者? 保育の「周辺事業」に携わる人材を強化

2013年、第2次安倍政権は「待機児童解消加速化プラン」を発表。2017年度末までに、約40万人分の保育の受け皿を作るとしている。

2014年度は「待機児童解消加速化プラン」をさらに推進するため、地域住民や子育て経験者などを、保育所のなかで清掃、給食の配膳などの業務を担当する保育支援者(仮称)として活用するために72億円(国費36億円)の予算を計上。保育支援者を活用することで保育士の負担軽減をはかり、離職の防止や質の高い保育につなげるとしている。准保育士は、保育支援者に位置づけられるのか。

2014年4月9日、衆議院厚生労働委員会で答弁した田村憲久厚生労働相は、「現在の保育所の人員規定(配置基準など)で、保育士と准保育士を置き換える考えはない」との考えを示した。准保育士の名称は「どうでもいい」としながら、「ちゃんと資格がある人のところに、子育て経験のある方が研修を受けて活躍されることがあってもいいのではないか」と述べた。

■准保育士への意見

一連の准保育士に関する報道をうけて、インターネットには「待機児童を減らさないと」という賛成意見や、「やはり保育者の待遇改善が先」とする反対意見などが上がっている。

なお、「保育園を考える親の会」の会員で、子供を一時預かりで亡くした女性は、自身のブログで「育児経験を有していることは、保育に従事する能力は全く別なもの」と指摘する。2014年度予算が約80億円計上されている家庭的保育事業では、保育者(いわゆる保育ママ)は「保育士又は研修により市町村が認めた家庭的保育者」とされており、必ずしも保育士の資格を持っているわけではない。

【※】准保育士という制度を設け、保育に関わる人を増やすべきか。あなたのご意見をお寄せください。

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