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マレーシア航空:ブラックボックス発見で始まる「試練」、不明機回収は難航か

2014年04月10日 17時56分 JST | 更新 2014年04月11日 00時47分 JST
Reuters

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行方不明となっているマレーシア航空MH370便の捜索は、バッテリー切れで間もなく途絶えるとみられるフライトレコーダーの信号をもとに、捜索範囲を狭めつつある。しかし、「ブラックボックス」の発見は深海から機体を引き上げるという試練の始まりに過ぎず、テクノロジーの限界が試されることになる。

オーストラリア当局は5日に同機が発する可能性のある電子信号を探知していたが、8日にも新たな信号を2回探知。ブラックボックスのバッテリーは通常1カ月と保つとされているが、既にその寿命を2日過ぎている。

レコーダーの発見は、単に機体の所在特定に役立つだけではない。機器にはコクピットのデータが記録され、クアラルンプールから北京に向かっていたはずの同機に何が起きたのかや、同機が航路から何千キロも外れて飛行した理由を解き明かす鍵にもなり得る。

米フロリダ州の水中音響発信装置メーカー、デュケイン・シーコムのアニッシュ・パテル氏は、「機器(の電源)は30日間もつようになっているが、設計上は数日分の余裕がある」と説明する。

同機捜索で最も重要なことは、ソナーを使ったより精密な捜索を行うために、電子信号を出来るだけ長く捉えて探す範囲を狭めることだ。

豪船舶「オーシャン・シールド」は現在、信号探知のために米海軍が提供した牽引型の「ピンガー・ロケーター」を使用。フランス当局によると、この機器は2009年に大西洋で起きたエールフランス機墜落事故の捜索活動で、非常に高い能力を発揮したという。

英海軍で潜水艦司令官を務めたマイク・デービス・マークス氏は、捜索プロセスについて「問題なのは(機体の)場所を突き止めることではなく、まず最初にどこを探すかということだ」と指摘。それは時間がかかり、大きな消耗を伴う作業となる。

捜索関係者は、1.08秒間隔で繰り返される9.3ミリ秒という短い信号を、海からの雑音や別の捜索船が発する音と区別しなければならない。

デービス・マークス氏は「他の船舶や低空飛行の飛行機は言うまでもなく、天候といった環境音やくじらなど海洋生物の出す音、エビがはねる音など、あらゆる雑音が存在する」と語る。

<ロボット投入へ>

レコーダーの信号探知は、水深の浅い海域では比較的単純な作業だ。しかし、最大水深4500メートルにもなる深海では、非常に大きなチャレンジと言える。

レコーダーの信号が届く範囲の2倍という距離だけでなく、水深が深くなればなるほど、信号は不明瞭になって捉えるのが難しくなる。

信号には37.5キロヘルツという比較的高い周波数が利用されているため、到達できる範囲は限られている。水中では周波数の高い音が届く距離は短くなり、レコーダーの信号は2─3キロしか届かない。

豪船舶オーシャン・シールドは、米海軍のピンガー・ロケーターをケーブルで海中深くに投下し、信号を捉えようとしている。しかし、専門家は、こうした方法が船舶の機動性を低下させ、活動自体も遅れるというマイナス面を指摘する。

捜索範囲が狭まった場合に直ちに投入できるようスタンバイするのが、「ブルーフィン─21」と呼ばれる米潜水ロボットだ。この潜水機は、高性能のソナーで周囲の精細な音響画像を作成できる。昨年、日本沖で墜落したF15戦闘機の発見にも力を発揮した。

潜水ロボットが不明機の残骸とみられる物体を見つけた場合、光がほとんど届かない条件下で注意深く写真撮影を行うことになる。深海の闇で撮影した何千枚もの画像をつなぎ合わせるのは、ストレスのたまる長い作業になることも予想される。

<回収作業のコスト>

新たな信号が探知されたものの、MH370便の機体が早期に回収される見通しは小さい。エールフランス機の捜索には、ほぼ2年を要した。

また、今回は調査の役割分担をめぐって懸念が生じているが、不明機が見つかったとしても、最終的な回収作業がどのように行われるのかも不透明だ。エールフランス機事故でも、金銭的な問題からコストの安い船舶に切り替えるなどして、ようやく捜索を終了した。

米海軍は、機体回収への支援要請はまだ受けていないとしているが、専門家によると、エールフランス機事故でブラックボックスや遺体を引き上げた米海軍の探査機「レモラ6000」は数少ない選択肢の1つだという。

フェニックス・インターナショナル社が開発したこの無人探査機は、これまでも多くの深海探査に導入され、タイタニック号の調査などでもその能力を見せた。

しかし、エールフランス機は海底山脈の頂上付近にある平坦な場所で見つかった。インド洋の水深と地形から考えると、MH370便の回収作業はさらに困難が伴う可能性もある。

こうした深海作業は低コストでは実現できず、すでに航空史上最高になると予想される今回の捜索費用に加算されることになる。エールフランス機の回収作業にかかった費用は総額600万ユーロ(訂正)で、1日25万ドル以上を費やした計算になる。

[9日 ロイター]

*最後の段落の600万ドルを、600万ユーロに訂正しています。

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