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ASKA容疑者、56歳の逮捕 覚醒剤犯罪の高齢化は本当?

2014年05月20日 16時34分 JST
Shutterstock / DenisNata

覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕された人気男性デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA(本名・宮崎重明)容疑者は、56歳だった。5月に入り、同法違反で福岡県春日市の57歳の小学校校長と40歳の神奈川県警の巡査部長が相次いで逮捕されている。こうした事件を受け、中高年層に覚醒剤汚染が広がっているという報道もあったが、ネットではそれを疑問視する声が上がっていた。

覚醒剤を乱用してきたのはどの世代なのか? ASKA容疑者の年齢の推移に注目しながら、犯罪白書をひもといてみた。

■昭和30年代〜40年代は20代、30代の若者が乱用

ASKA容疑者が生まれたのは、1958年。その2年後にあたる1960(昭和35)年の犯罪白書によると、1955(昭和30)年から1957(昭和32)年にかけて、各年度とも20代が最も多く、52%〜57%と5割以上を占めていたという。

ASKA容疑者が15歳のころである1973(昭和48)年の統計では、30代が最も多く40.8%を占めていた。次いで、25歳〜29歳の25.7%、20歳〜24歳の16.5%の順となっており、20代と30代で検挙人員総数の83.0%を占めていた。

そして、未成年者の乱用も社会問題化する。1980(昭和55)年の犯罪白書によると、1979(昭和54)年では、24歳以下の若年成人・少年が22.8%を占めていた。「前年と比べると、20~24歳の若年成人では13.4%から13.8%へ、19歳以下の少年では8.0%から9.0%へ、その比率はいずれも上昇している」とあった。この時、ASKA容疑者は21歳となっている。

■昭和末期から平成になると30代が最多、40代以上も上昇

その5年後の1985(昭和60)年の犯罪白書によると、1984(昭和59)年では30代が最多。続いて、20代、40代以上、少年の順だったという。「一方,年齢層別構成比の推移を見ると、40歳以上の者の占める比率が、年々上昇する傾向を示している」と指摘している。

さらに5年後の1990(平成2)年。犯罪白書によると、1989年では20代が最多。続いて30代、40代、50歳以上、少年の順だった。ただし、「一方、年齢層別構成比の推移を見ると,40歳代と50歳以上の者の占める比率が共に年年上昇する傾向を示している」とあり、すでに中高年の増加が指摘されていた。ASKA容疑者は30代となっている。

5年後の1995(平成7)年の犯罪白書によると、1994年は30代が25.6%、次いで25歳から29歳が19.9%、20歳から24歳も19.9%だった。ASKA容疑者が36歳の頃だ。

この4年後の1999(平成11)年の犯罪白書でも、1998年は引き続き、30代が最多で28.6%、25〜29歳で21.6%、20〜24歳で19.6%となっている。

■1990年代後半から一貫して中高年層が増加、再犯率も

これまで見てきたように、2006(平成18)年の犯罪白書によると、1976(昭和51)年から2005(平成17)年までの30年間では、20代と30代の比率が高いのが目立ったという。

1977(昭和52)年から1984(昭和59)年までは30代の比率が最多。1985(昭和60)年以降は20代が最も高かったが、2002(平成14)年以降は再び30代が最も高くなっていた。また、1997(平成9)年以降、50歳以上の占める比率は一貫して上昇、2005(平成17)年には、12.6%となっている。

ASKA容疑者が50歳となった2008(平成20)年では、50歳以上が占める割合はさらに増加、13.4%となっている。2年後の2010(平成22)年も増加傾向にあり、14.8%だった(「平成23年中の薬物・銃器情勢」)。

2014年3月にまとめられた「平成25年の薬物・銃器情勢」でも、50歳以上は20.2%まで伸びており、「20歳代以下の減少傾向、50歳以上の増加傾向がそれぞれ継続し、再犯者の構成比率の上昇も継続している」と指摘している。

こうして犯罪白書をみていくと、再犯率や汚染の背景などの分析は必要だが、確かにASKA容疑者と同じ世代が若い頃から中高年になっても、覚醒剤を使い続けているような印象を受ける。

■覚醒剤と縁が切れない中高年の乱用者

これらのデータを専門家はどう読み解くのか。薬物問題に詳しい小森榮弁護士は、ブログ「弁護士小森榮の薬物問題ノート」で、中高年の覚醒剤汚染を取り上げてきた。5月13日の「中高年の薬物問題」という記事では、近年、若年層の乱用者が減っていることについて、次のように分析している。

2000年を過ぎた頃から数年間、日本に流入する覚せい剤が減り、末端での密売価格が高騰した時期があり、覚せい剤乱用者が目に見えて減少したのですが、この時期にとくに著しく減少したのが若年層でした。乱用歴の浅い若者から順に、覚せい剤から離れていったのです。

また、中高年の乱用者が増えていることについては、こうみている。

中高年の覚せい剤事犯者の多くは、若いときに使い始め、何度か逮捕され、服役もして、それでもまだ覚せい剤と縁が切れないといった人たちです。覚せい剤事件での逮捕・服役を繰り返し、人生の半分ほどを刑務所や留置場で過ごしながら年齢を重ねた人もあります。仕事も、家族も失い、付き合うのは覚せい剤にからんだ仲間だけ。なけなしの生活保護費を覚せい剤に費やしてしまう人たちも少なくないのです。

覚醒剤は常習性があることも知られている。どんな年代であっても、一度たりとも乱用しないことが求められる。

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